「それで、話っていうのは?」
甲板にてカインはユージーンに訊ねると、ユージーンは拳をアゴにあてながら答えた。
「話というのはお前のフォルスついてだ」
カインは眉をピクリと動かし、ユージーンは続けた。
「これは俺の勝手な憶測に過ぎないのだが……お前がヒトの命を再生する時、自らの寿命を代償としているのではないか?」
「な…なんでそう思うの?」
カインは俯きながら拳に力を込めた。
「俺が死んだあの時、生き返る時に体の中へ生命の息吹が流れ込むのを感じた。だがあれは俺の生命ではなく、外部からによるものだと感じだ。残念ながら上手くは表現できないのだが、俺と同じくお前に再生されたジークの様子を思い返してみると俺の仮定は強ち間違っていないと思ってな」
ブライトとユージーン達が剣を交えている間、ジークは誰も死なないようにと心配していた。
例え死んだとしてもカインのフォルスにより再生できるのだから本来であれば杞憂であるのだが、ジークはそれにより削られるカインの寿命を心配していたのだろう。
そして、つい先刻もバイラスから攻撃を受けた傷もカインの再生を拒んでいた。
それを聞いたカインは拳をゆっくりと解くと、息を一回吐いた。
「さすが、勘が鋭いね。折角ジーク君も気を遣って気付かないフリをしていてくれてたのに」
「大きすぎる力には常に代償が付き纏う。それはフォルスも同様だ。氷や雷ならば大気中の水分が必要になり、炎ならば酸素が必要になる。それがお前の場合は生命力だとはな」
「唯一の救いは僕1人分の寿命全部を使わなくても命を再生できたことかな」
カインははにかみながら言うが、ユージーンは依然として険しい表情のままだった。
「他の者には言わないのか?特にブライトは心配するのではないか?」
「うん……。でも今は余計な心配はかけたくないんだ。全部終わったらみんなに話すよ」
「そうか……」
その頃にはまたティトレイが怒り出すのだろうなとユージーンは思いながらも頷いた。
「それに、今ここで置いていかれる訳にはいかないよ。どうせ、ジーク君は振り向いてくれないだろうけどさ」
「お前にしては弱腰だな」
ジークに関してはいつも強気だったカインが突然しおらしくなったことにユージーンは違和感を感じた。
「僕、ジーク君に必要だって言われて本当に嬉しかったんだ。あんなバカな真似をした僕をまだ必要してくれるヒトがいるんだって。でも……それはジーク君も一緒なんだ」
破壊のフォルスを手にしたことで最早壊すことしかできないと思っていたジーク。
しかし、そんな彼に護ってほしいと掛けられた言葉は彼にってどれだけ救いになったか。
同じ体験をしたカインはジークの気持ちが痛いほどよく分かり、分かるぶんだけいたたまれない気持ちになる。
「そういった事に関しては大した助言はできないが、今お前が慌てる必要は無い。お前らにはまだまだ時間があるのだからな」
ユージーンはカインの肩を優しく叩くと、カインはユージーンの顔をみた。
「ありがとう、ユージーン」
「なに、気にするな!俺もお前が仲間でいてくれたほうが心強いからな」
ユージーンは笑いながら言うと、カインはもう一度礼を言った。
そして一方でマオが向かった船室では修羅場が起きていた。
「ねぇマオ。なんであの時すぐに詠唱をとめたの?」
船室ではヴェイグ、アニー、ティトレイ、ヒルダ、ブライト、ジンの6人がカードで遊んでおり、その壁際では機嫌を悪そうにしたルルがマオに言い寄っていた。
今日はよく問い詰められるなぁと思いながらもマオは必死に質問した。
「あ、あの時って?」
壁に背を当て、とうとう追い詰められたマオは訊ねるが、ルルは頬を膨らませながら尚も機嫌が悪いまま答えた。
「マティアスが武器をしまえって言った時!あの時導術を使ってれば勝てたんじゃないの?」
「それは無理なんじゃないかな〜?もし反撃されたらただじゃ済まなかっただろうし……」
マオは後ろ髪をかきながら言うと、ルルは腕を組んで目線を逸らした。
「そんなこと言って……本当はマティアスのウィンクにときめいちゃったんじゃないの?」
確かにあの時マティアスはマオにウィンクしており、ちょうどそのタイミングに詠唱を止めたのは事実であった。
「だからって、それはないって!」
マオは声を張って否定するがルルは「…本当に?」と上目遣いでまだ疑っている。
「そういえばあの時、マオの顔が少し赤くなってたっけ。あっ、ティトレイそれダウトね」
「ほらやっぱりぃ〜!!」
「赤くなってないヨ!!そもそもジンはボク達より前にいたんだから見てる訳ないじゃん!!」
マオは火に油を注いだジンに向かって怒鳴ると、ティトレイが大量のカードを回収していた。
「いい
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