海岸から石畳の道路を歩くこと10分、フリィース家へと到着した。
「い、意外とかかったな……」
すっかり痩せこけたオーちゃんは声を絞りながら言うと、ルルもえらく息切れしていた。
「だって……オーちゃん……重いんだもん」
フリィース家は二階建てとなっており、正面の玄関から見て両脇に二つ小窓がある。
その内の右側の窓からルルは背伸びをしながら覗き込んだ。
するとキッチンが見え、中には誰もいなかった。
ルルは反対側の窓へオーちゃんを引き摺りながら移動し、同様に中を覗いてみると、リビングにはジンの姿があった。
「(2人ともどっか行ったのかな……?)オーちゃんちょっと待ってて」
ルルは無造作にオーちゃんを捨てると彼は花壇の角に頭を強打し「グエッ」という断末魔を上げて気絶した。
その間にもルルは玄関の扉を開き、中に入った。
家の中はキッチンとリビングが繋がっており、ジンはソファに座っていた。
「ただいま〜……」
「あ、お帰り、ルル」
恐る恐る入ると、9歳のジンが何食わぬ顔で迎えてくれた。
「どうしたの?なんか猫でも拾ってきたような顔をしてるけど」
それを聞いてルルは内心で「さすが、鋭い…」と思いながら先程から気にしていた不安をぶつけた。
「ジークお兄ちゃんと……お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんなら友達のとこ行ったよ。当分帰ってこないってさ。お兄ちゃんはお昼の買出し中。でもそろそろ帰ってくるんじゃない?今日はカレーだってさ」
「カレー!?私ジークお兄ちゃんのつくるカレー大好き!!」
「今更そんなこと言わなくても知ってるって」
ジンはメタ発言をしながらも笑うと、ルルは鼻歌混じりでリビングのソファに座った。
すると、タイミングを図ったように13歳のジークが買出しから帰ってきた。
「ただいま。外にこんなモノが落ちてたんだが……」
買い物袋を持つ手とは反対の手に掴まれていたオーちゃんはベロンと伸びきっていた。
「あ……」
すっかり忘れていたルルは一言漏らしてから急いで介抱し、水を顔に勢いよくかけると目を覚ました。
「貴様……殺す気か……?」
ルルは両手を合わせて謝ってから、ジークとジンに事情を説明した。
勿論ジークとチャリティの仲直りをさせるということは抜いて。
「そ、それでね?オーちゃんにもご飯を食べさせてほしいんだけど……ダメ……かな?」
ルルはえらく緊張しながら言うと、ジークは何も言わずに立ち上がりキッチンへと向かった。
「おい、何か言ったらどうなのだ?妹が訊いているのだぞ?」
「うっせーな。何で食べさせてもらうお前が偉そうなんだよ?」
水を飲んで多少復活したオーちゃんはジークに掴みかかったが、当然のごとく言い返されてしまった。
それからジークは溜息を吐いてからオーちゃんの手を払い、手を洗い始めた。
「まぁ、良いんじゃねぇの?どうせ今日は1人分余るところだったんだしな」
「あ、ありがとう…ジークお兄ちゃん……」
「なんでてめぇが礼を言うんだよ?」
またもや緊張しながら言うルルに対してジークは冷たくあしらうと買い物袋から食材を取り出した。
「ジン、あいつは何時もあんな調子なのか?」
オーちゃんは2人の間を見て、ジンに小さな声で訊ねた。
「うんそうだよ?まぁ色々と理由はあるんだけどね」
「そうか……。姉上との喧嘩の八つ当たりであるのならばガツンと一発かましてやろうかとも思ったが……そうか、何時もなのか……」
何処か寂しそうで、しかし羨ましそうに見るオーちゃんにジンは首を傾げたが、一つ疑問が浮かんだ。
「オーちゃん、お兄ちゃんとお姉ちゃんが喧嘩してるの知ってたの?」
オーちゃんがそれを知っているのは内緒だった。
もしオーちゃんが2人を仲直りさせようとしているとジークとチャリティに知られてしまっては第三者にまで心配されているということがお互いのプライドを傷つけ、余計に悪化してしまう可能性があったからである。
そのため、オーちゃんは急いで言い訳を考えた。
「し、知らん!断じて知らん!ルルからは何一つ聞いていない!!むしろ仲直りさせるなど、無謀なことこの上ないだろうな!」
少年が混乱する頭で必死に考えた言い訳だった。
と、そこへキッチンよりお声がかかった。
「そういやオーちゃんは嫌いな物とかあるのか?」
「あぁ、イカが嫌いだ」
「そうか、じゃあ今日はシーフードカレーだな」
そう言ってジークは買い物袋からイカを取り出すと、綺麗にさばいていった。
「待てぃ!」
オーちゃんは即座に後ろからジークの腕を掴むと調理を邪魔された彼は機嫌悪そうに振り返った。
「んだよ?」
「貴様人の話を聞いていなかったのか?俺はイカが嫌いだと言ったのだ。なのに何故イカを入れる?」
ジークは一
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