それから数日が経ってから、オーちゃんとチャリティがほんの半日姿を消していたことがあったのだが、チャリティは何食わぬ顔で戻ってきたがオーちゃんの行方を知る物はいなかった。
捜索をしようという意見も出たが、チャリティが何の根拠もないまま放っておいても大丈夫だというので、そのままオーちゃんの捜索は打ち切られ思い出の人物となった。
「てな訳だ」
ブライトはここまで昔話を話し終わると、全員ジークを見た。
「あんた、変わりすぎじゃない?」
ヒルダはジト目で言うと、ジークは肘を自分の太股についた。
「どこがだよ?つうか、ルル。そんなところじゃ寒いだろ?隣来いよ」
ジークは隣に座っているジンを押しのけたが対面でマオの隣に座っているルルはそっぽを向いた。
「私はここで良いの!」
その様子を見て一同は今ブライトの話に出てきたジークとルルが、現在の2人とあまりにもかけ離れているため全員ブライトを疑った。
「お、俺は嘘は言ってねぇぞ?ここまで話したんだからルルも思い出しただろ?」
ブライトは冷や汗をかきながらルルに確認したが、彼女は相変わらず眉間にシワを作っていた。
「思い出したような……そうでもないような?」
「あれだけ振り回しておいて忘れるなんて、よっぽどあの時兄さんに褒められたのが―――」
自分のポジションを死守することができたジンが笑いながら言っている途中、ルルの伸ばした如意棒に鳩尾を突かれ、後ろにひっくり返ってしまった。
それをジークが助け起こしていると、何時の間にやら夜も更けてきたため簡単に食事を済ませ、各々の船室へ戻っていった。
そして翌日の昼頃、船は大きな岩山の前を通りかかった。
その岩山は大陸にある山とは違い三角形になっておらず、プリンのような形をしていた。
エアーズロックをイメージしてもらうと早い。
「な、なんだこりゃ〜……」
船首にいたティトレイが大きな口を開けていると、隣のブライトは腕を組みながらニヤリと笑った。
「そろそろ降りる準備をしろよ?いよいよ到着だ!」
どうやらこの楕円形の岩山がジーク達の故郷である島の目印らしく、ティトレイは急いで全員に降りる準備をするよう伝えに行った。
それから船は岩山をぐるりと旋回し、裏に廻りこむと、そこには縦長の島が繋がっていた。
広さは大体キョグエンからノルゼンまでの大陸を抜き取ったような広さで、形も縦長だった。
先程見た岩山の直径はこれの大体半分である。
港についたヴェイグ達は久しぶりの大地に背伸びをしながら降り立ち、辺りを見回してみた。
すると、空は青く澄み渡っており、街には何本もの河が流れていた。
しかし、それは河ではないらしく、この島は小さな浮島一つ一つを橋で繋げることで一つで島として形成されており、街というよりは集落に近いと説明された。
そのため、この集落の長は酋長(しゅうちょう)と呼ばれている。
そんな説明をブライトがしていると、遅れてマティアスも欠伸をしながら降りてきた。
「ようやく着いたのね。ていうか、ヒトが少ない気がするのは私だけかしら?」
マティアスに言われてみると、確かに集落に住むヒトが全然見当たらなかった。
普通港とは活気があり街人も何人か賑わっているはずなのだが、ここには誰1人としていなかった。
「妙だな、いつもなら外のヒト珍しさに何人かは見物に来ているはずなんだが……。これも思念の影響か?」
ブライトは周辺に散在する木材の欠片や壁の傷を見ながら一騒動あったのだろうと推測した。
「少しいいか?さっきっから気になる事があるのだが……」
ヴェイグは先程から存在感を遠慮なく発揮している岩山を指差した。
「あの山は何なんだ?普通の山とは形が違うようだが……」
「あぁ、あれか?あれは元々山じゃねぇんだ。1年前まではここらの島と同じ高さだったんだが、急に隆起したんだ。ちなみにあそこには女王貝っていう集落のシンボルが祀られててな?満月の日に祈りを捧げると願い事が叶うって言われてんだ」
「ちょっと待ってください?女王貝って確か……」
ブライトが女々しいこと言っちまったぜと照れている傍らでアニーはディスカバリー図鑑を開いた。
そして迷うことなくページをめくると、一つの項目を指差した。
「あった……。これですよね!?」
アニーが開いたページには確かに女王貝と書かれた文字の下に写真が載せられていた。
そして、それをワールドマップと照らし合わせるとそのディスカバリーは地図の遥か南東の隅に点となって記されていた。
「今私達がいるのって、ここってことですよね?」
「おぉそうだな。改めてみるとちっせぇな〜」
「どうりで遠い訳だぜ〜」
ブライトは眼を細めながら地図を眺め、ティトレイは肩をグルグルとまわした。
すると、ルルもその地
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME