宮殿の入り口である鉄製の大きな扉の前には2人の門番が立っていた。
門番はブライトの姿を確認すると、すぐに扉を開きブライトは舌打ちした。
「お見通しって訳か」
ブライトは意味深なことを呟いてから宮殿の中へ入ると、ヴェイグ達もそのあとに続いた。
扉をくぐり青いカーペットを踏みながら進むと、そこには巨大な樹が一本立っていた。
宮殿の高い天井を突かんとばかりに伸びる大木からは無数の枝が伸びており、葉は青々と茂っていた。
よくみるとこの宮殿には扉というものは先程入ってきた入り口のみにあり、壁にいくつか窓があるだけであった。
そう、まるでこの大木を包み隠すかのように宮殿が建てられたかのようだった。
そして、頂上の枝が小刻みに揺れると、そこからバサッと鳥のようなものが飛び出し、大木を旋回すると、一番下に位置するヒトの頭より少し上の高さの枝に着地した。
その鳥ように見えたものはフクロウのような姿をしており、しかし背中はすっかり曲がっていた。
「ホゥ、いつまでそこで呆けとるつもりじゃ?」
「「フクロウが喋った!!」」
マオとティトレイが驚きの表情を浮かべると、フクロウは顔を顔を顰めた。
「フクロウじゃねぇよ。アレがこの集落の酋長だ」
ブライトが指差すと、フクロウのガジュマは偉そうに胸を張る。
「酋長のケナードじゃ。英雄諸君、ようこそクインシェルへ。民に代わって歓迎しよう」
ケナードと名乗ったホクロウは翼を起用に胸に当て、お辞儀をした。
だがすぐさま険しい表情へと戻す。
「じゃが、今回は特例じゃ。昨今外からのヒトが増えたからとは言え、自ら他所者を招きいれるなどあってはならぬことじゃ。余計なものまで連れてきおって……」
ケナードは掘りの深い顔でマティアスを睨んだが、彼女はウィンクで返した。
「俺達をここに呼んだのはそれを言うためだけか?」
ブライトは投げやりに問うたが、ここでヴェイグに疑問が浮かんだ。
「ブライト、俺達はいつケナードさんに呼ばれていたんだ?少なくとも俺は初対面だが……?」
ヴェイグはアニーやユージーンを見渡すが、心当たりはないというように首を横に振るばかりであった。
「この爺さんは『千里』のフォルスを持っててな、どんなに遠くの出来事も見ることができんだよ。だから俺がお前等を連れてくることだって知ってたし、俺が敢(あ)えて爺さんに会わないようにして集落から出て行こうとしていたことも分かってたって訳だ」
ブライトがケナードに会わないようにしていたのは、今のような説教から回避するためだと後で彼は付け加えた。
そもそもこの集落に外海のヒトを入れた時点で大罪であり、処罰は逃れられないためブライトは最悪の事態を想定していた。
そこで、無駄な時間と労力を費やさないためにもケナードとの面会は避けたかったのだが、先手を打たれた。
しかし、今回は特例にするとのことのため、ブライトの心配は杞憂に終わった。
「わしはここで全てを見ておった。無論、ラドラスの落日から始まったユリスの一件もな。そして、闇の力に関してもじゃ」
『闇の力』という言葉を聞いて、ヴェイグ達6人以外は何のことか分からず、フィオナはどこかで聞いたようなと脳をフル回転させた。
「闇の力とは即ち聖獣の力。聖獣とは遥か昔、ヒューマを殲滅させようとしていたゲオルギアスを封印した存在じゃ」
「そういえば、カインを探している最中にビビスタ辺りでそんな名前聞いたな」
ジークは一緒に旅をしたガイドさんの話を思い出しながら言うと、マオは優しい声で言った。
「それはきっとフェニアがいた塔の近くを通ったからだね。それと、ゲオルギアスが悪者みたいに言われてるけど、本当は違うんだよ?確かに大昔はヒューマを滅ぼそうとしてたけど、1年前はユリスを倒すために力を貸してくれたんだ」
「今のユリスに対抗するにはやはり聖獣の力が必要じゃ。ヤツも何かフォルスを持っているのかは分からんが、ヤツの行動だけはわしの眼を持ってしても見ることはできん。じゃが、聖獣の力は既にこの地上には存在しない。そうじゃな?」
ケナードがヴェイグ達を見ると、6人は黙って頷いた。
「今聖獣の力を宿しているのはそこにいる6人だけじゃ。他の者が付いて行ったところで足手まといになるだけ。……何を言いたいのか、分かるな?ブライト」
そう、酋長がブライト達を呼んだ理由というのはこれを伝えるだめだった。
お前等は足手まといになるだけだから、ここに残れと。
だがブライトからの返答は意外なものだった。
「俺だってそれぐらい分かってるさ。流石に聖獣の存在なんざ知らなかったし、そんなでけぇもんの助けがあってようやくユリスを倒せたってのも初耳だ。だが、そんなもの知らなくたって俺達とヴェイグ達の間に何かが決定的に違うの
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