翌朝、一同は学校の校門前に集まった。
昨夜一騒動起こしたヒルダとマティアスも何食わぬ顔で肩を並べており、ジークは安心した。
「それで、これからどうする」
校門に寄りかかりながら腕組みをしているヴェイグが問いかける。
しばらくの目的であったユージーンとブライトの思念の問題は解決し、残るはユリスをどうするかという問題だけである。
「ユリスを探そうにも見当が付きませんし……」
「酋長も分からないって言ってたもんね」
アニーが頬に手を添えながら言うとルルも頭の犬耳を下に垂らした。
「だったら情報収集するしかないんじゃないかしら?」
マティアスは呆れたように赤紫の髪を掻き上げながら言うと、全員は注目した。
「バルカは今あんな状況だけれど、それでも首都なだけあってヒトの数は圧倒的に多いわ。情報の量も期待できると思うんだけれど」
「でもよぅ、バルカに行ったら元老院の奴等に見つかってマオが召集されちまうじゃねぇか?」
そう、今はマティアスが監視という形で同行しているがバルカに戻り元老院の手の者に囲まれたら逃れようがない。
しかしマティアスは自信満々にティトレイに向かって指を差した。
「その心配は無いわ!あんたらみたいなのを護衛に付けても何のメリットもないことは同行してみて良く分かったから報告しておいてあげる。むしろ、護衛に付けたほうが心配だわ」
ティトレイはその言葉に苛立ちを覚えたが拳を強く握り、こらえた。
「ふむ、ではバルカへ向かうか」
ユージーンが冷静に言うと一同は頷いた。
「そうと決まればますば港だな!また長い道のりだが、弱音吐くんじゃねぇぞ!」
ブライトは笑いながらフィオナの肩を叩いた。
「うっさいわね、私そんなに文句言わないわよ」
「フィオナって自分で言ってて自覚無いんだネ……」
マオがフィオナに聞こえないように呟いた後、一同は港に向かって出発した。
そして夕暮れ時に港へ着くと、いの一番に彼女は口を開いた。
「長い!!『パッと行く?』とか無いわけ!?」
それに対して待ってましたと言わんばかりに教師は歩み寄る。
「パッと着いたじゃねぇか」
「私達の歩く距離が変わってない!確かに文一行で着いたけど、その一行でどれだけ歩いたと思ってんの?バカでしょ!?」
フィオナの文句をブライトが面白がって聞く中、一同は最後の橋にさしかかった。
この橋を渡れば船の停留所へと行けるのだが、その橋を占領するかのように2人の男が立っていた。
「あいつら……」
ジークから見て右に立っている男は金髪の髪をしており、左の男は金髪の髪を更にモヒカンにしていた。
どちらもヒューマである。
「よぅジーク〜。またどこかにお出かけかい?」
金髪の男が不良の定番のような台詞を吐きながらジークに歩み寄り、モヒカンの男もツバをペッペペッペ吐きながら近付いて来た。
「そりゃ居づらいよなぁ、ここに居てもチャリティさんを殺した罪で延々問われ続けるんだもんなぁ」
台詞だけ聞けば同情しているように聞こえるが顔はニタ付いており、しかし憎しみの表情も見え隠れしていた。
「……で?」
ジークは眉をひそめながら問うが手からは黒いオーラが立ち込めていた。
いくら感情が高まろうとも本人の思い通りに使用できないフォルスがこの時ばかりは反応している。
その珍しさにヴェイグ達は見守っていたが、金髪の男が動いた。
「でも安心しろよ。俺達はフルぼっこにさせてくれれば許してやるからよぉ!!」
金髪の男は拳を振り上げながら駆け出し、拳を突き出す。
しかしそれはジークに背を向けたカインの手によって止められた。
「何かなカイン君、この手は?」
「お前等の相手なら僕で十分だ。面倒だから2人一緒においでよ」
カインは空いてる左手で挑発すると、モヒカンの男は木刀を片手で構えた。
「ヒャッハー!汚物は消毒だぁ!!」
世紀末のような事を叫びながら、2対1の戦闘が始まった。
が、ものの数秒で世紀末コンビはフルぼっこにされた。
「まっ、だてに世界滅亡とか企んでなかったってことだね」
「カインの勝ち台詞、あれで良いのかしら?」
パッパと手を払うカインを見ながらヒルダはユージーンに訪ねると彼は「う〜む……」と唸るだけだった。
「てめッ、カイン……。お前もチャリティさんを殺したジークを恨んでんじゃねぇのかよ……?」
「確かに恨んでたさ。でもジーク君はチャリティさんを殺してなんかいない。あれは事故だ」
「んなもん詭弁(きべん)じゃねぇか!」
「何とでも言えば良い。だけど、ジーク君に手を出すならまずは僕を倒せるようになってから出直してくることだね」
カインは何とか立ち上がろうとする世紀末コンビを見下しながら言うと、金髪の男は舌打ちをした。
「…
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