【Bチーム】
ユージーンとマオは槍とトンファーを構えると、フィオナとブライトも扇と銃を構えた。
ただしブライトの場合はいつもの二丁拳銃ではなく、右手には銃口が2つ横に並列しているショットガンを左手にはグリップから弧を描くように伸びた刃物が付いた拳銃を装備していた。
「なんか、ブライトって戦う度に武器が変わるよね……」
マオは呆れた風に言うが確かに彼はバイラスとの戦闘時には二丁拳銃を使い、この前説教をされた時はグローブを使っていた。
グローブを使う時は使う時で特別な理由があると後からジークから聞いたが今回はまた別の理由があるのだろうか。
「おまえらには最初から本気出せとか怒鳴っておいてなんだが、これが俺の本来のスタイルなんだわ」
ブライトが言うにはジーク達を追うためにクインシェルを出る際に装備で相当悩んだらしい。
「俺はこう見えて導術主体だから後衛タイプなんだよ。だが俺が後衛に回ったら生徒達を護れねぇだろ?」
クインシェルを出る直前のブライトには当然ながらジーク達がどのような状況にあるのか分からない。
凶暴なバイラスに襲われるかもしれないし盗賊等に襲われる可能性もある。
更にカインを止めるとなれば説得で終わることは考えにくい。
というよりブライトの教育方針上説得で終わらせるという考えは無かった。
そのため前衛の第1戦線で戦えるよう二丁拳銃を選んだのだと言う。
しかしジークがカインに対抗するために人見知りなのにもかかわらず必死に英雄達に協力を仰いでいたことを知り、バルカで拳を交えたことで英雄達の強さを知った。
故にブライトは安心して自分の実力を発揮できる後衛に戻ることができたのだ。
「今回は説教でもなければ喧嘩でも無いからな。実戦同様殺す気で行くから覚悟しとけよ」
「え?ちょっと待って。じゃあ私が前衛やるの?」
「当たり前だろうが。後ろから突風が来るっつうのに敵に突っ込めるティトレイ達の気持ちが俺には分からんね」
実はこれまでもブライトは背後から来る突風が怖かったらしく、思い出してみればフィオナが風を出す時はいつもブライトは後ろで詠唱をしていた。
「味方になんか当てないわよ……」
弾丸が背後から飛んでくるほうがよっぽど恐いんじゃないかと思いながらフィオナは身の丈ほどの扇を開いた。
そしてそれが戦闘開始の合図となる。
「いっくよ〜!」
マオは早速詠唱に入るとユージーンは駆け出した。
まずはマオの詠唱を止めなければならないと考えたフィオナは扇を後ろに引き、溜めを作る。
ユージーンを越えてマオに届かせないとならないためマオが詠唱を終える前に届くか分からない。
更に今マオが詠唱している導術が下級の場合間もなく術が発動してしまう。
だが今はとにかくダメ元でも扇を振るしかない。
(間に合って!)
まだユージーンとの距離は8mほどあるがフィオナの願いも虚しく、マオが片手を振り上げ口を開きかけた瞬間である。
フィオナの背後より爆音が聞こえたと思った瞬間、青空に掲げられたマオのトンファーが弾かれ宙を舞った。
時間にして戦闘開始から数秒も経ってはいないだろう。
「弾を込める仕草は見えなかったが?」
不覚にも後衛への攻撃を許してしまったユージーンは煙が上がっているショットガンの銃口をにらめ付けた。
「そりゃ弾なんて込めてねぇからな。ベテランほど偏見を持ちやすいってのは弱点だぜ?ユージーン」
そう、ブライトのショットガンに金属の弾丸は存在しない。
彼のフォルスである重力を利用すれば銃身内の空気を圧縮し強固な弾丸を作成することができるからである。
後はトリガーを引くだけで弾は発射され、弾数に制限もない。
ショットガンという激しい衝撃が伴う武器を片手で扱えるのも彼が手元で繊細な重力コントロールを行っているからである。
「金属の弾も使えるが、どうせユージーン相手じゃ意味ねぇだろ?」
鋼のフォルスを持つユージーンに対して鉛のような物は何に利用されるか分からない。
ならば実体の無い攻撃のほうが有効性は高い。
「マオ、いけるか?」
「ん〜……もうチョイかな?」
ユージーンの意味深な問いにマオは首を傾げて答える。
「質問に質問で返すのは感心せんな」
ユージーンはマオに口癖をお見舞いしてから再び駆け出した。
同時に大気の温度が下がったのかフィオナは一瞬寒気を感じたが気にせず扇を左から右へと大きく振る。
風の刃を伴う突風が迫るとユージーンは真横に飛ぶことで突風をかわし、更に直進を続けた。
「よく見てるわねっ!」
フィオナは再び突風を送るがユージーンは真横に飛んでから直進するという行動を繰り返す。
フィオナが作る突風は一見広範囲に見えるが弱点がある。
それが直線的なものでしかないという点である。
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