テストはその日の夜まで続いた。
「あ、頭から煙出そう・・・・・・」
フィオナは机に伏していると後頭部に冷たい感触を感じた。
頭はそのままで手だけで確認するとビニール袋に入った氷が置かれていた。
「ありがとう」
「それは俺じゃなくてヴェイグに言えよ」
フィオナはジークに礼を言うが素っ気なく返されてしまった。
だが今フィオナが顔を上げれば顔を赤くしたジークの顔が見られる訳だが顔を伏した状態のほうが心地いいフィオナはジークのレア顔を眺めずに会話を続ける。
「勉強なんて久しぶりかも」
「ここ数年いろいろあったもんな」
「それもあるけど、ラジルダでは町が無くなる前からあまり学校へは行っていなかったのよ」
フィオナは「あまりジークのことを責められないかもね」と顔を上げて苦笑いしたがジークは疑問に思い顔をしかめた。
「別に学校が嫌いだった訳じゃないのよ?ただ学校に行ってもガジュマの子とヒューマの子が喧嘩ばかりしていたから行っても授業どころじゃなかったし、私もそんな環境に嫌気がさしてたってところかな」
「そうか・・・・・・」
やはりフィオナの生活環境にヒューマとガジュマの差別は根付いている。
それを思うと気がとても重くなった。
それでも今笑っている彼女は種族間のことをどう思っているのだろうか。
「採点終わったぞ〜」
「はやっ!!」
ブライトが赤ペンを動かし始めてから5分もしないうちに終わったことにマオが驚愕するがブライトは気にせずに答案用紙を返していった。
「教師2人で何十人もの生徒を見てんだ。採点だって早くなって当たり前だろ?つうかユージーン、あんたは受けなくても良かったんだぞ?」
「うむ、俺も自分の実力を知りたかったのでな」
ブライトは一通り返却し終わるとホワイトボードの前に立った。
「まぁ1番は当然ながらユージーンな。で次がジーク」
「あんたって頭良かったの!?」
最初に驚愕したのはフィオナだった。
「その反応は失礼だろ。地味に傷つくぞオイ」
「だがジーク。お前は学校へは行っていなかったのではないか?」
ヴェイグも納得いかないのか確認するとジークはため息をついた。
「学校へ行かないぶん家で勉強してたんだよ。じゃないとやることないからな」
「家で勉強・・・・・・その発想は無かった・・・・・・」
なにやらプリントを持つ手をわなわなと震わせるフィオナにジークは嫌な予感を感じた。
「で、逆に1番残念なやつがいる。俺も0なんて点数をつけたのは初めてだ」
「ちょっと点数まで言うことないでしょ!?」
ガタッと立ち上がったのはフィオナだ。
それを見て全員がフィオナに可哀想な視線を向けた。
そこでようやくフィオナは自爆したことに気付き、静かに座った。
「まぁ・・・・・・そういう訳だ。今日は解散。授業は明日からな」
これで今日一日のスケジュールが全て終わり、アニーは両腕を上に伸ばして背伸びをした。
そこへ突如船室のドアが勢いよく開かれた。
「正直に答えなさい?私に薬を盛ったのは誰かしら?」
口調は落ち着いているものの目は本気モードのマティアスがツインテールのような触覚を揺らしながら入ってくるとホワイトボードの前で仁王立ちした。
「薬って?マティアス、どこか悪いの?」
ルルが率直な疑問を投げかけるとマティアスは額に手を当てた。
「そういう薬じゃなくて、私が言っているのは睡眠効果とかそういう悪意の薬のこと」
「何かあったんですか?」
「私としてはアニー、あなたが1番怪しいのだけど・・・・・・良いわ、あったことを全て話すわ」
マティアスは一度全員の顔を睨んだ。
「昨晩私は何時もどおり寝たわ。それがどういうことか目が覚めたらもうこんな時間じゃない。これは誰かが私を暗殺しようと睡眠薬を盛ったとしか考えられないわ」
「お前こんな時間まで寝てたのかよっ」
ティトレイが突っ込むとマティアスは虎をも殺すような目つきでティトレイを睨み、ティトレイはヴェイグの後ろに隠れた。
「それってマティアスが寝坊スケなだけなんじゃないの?」
マオが軽く言うとマティアスが投げたペンがマオの額にスマッシュヒットした。
「マオー!!」
ルルは即座に気絶したマオに駆け寄る。
「どうやら貴方達は白のようね。ただ少しでも怪しいと思ったら木っ端微塵にしてやるから覚えておきなさい」
そういってマティアスは船室を出ていくとバアン!と勢いよくドアを閉めた。
「いつにも増して機嫌悪いわね。昨晩はあんなに上機嫌だったのに」
「まったくだな」
ブライトとヒルダは顔を見合わせ、その後自然解散となった。
夕食をすませた後、フィオナは重い足取りで甲板へと向かった。
やはり先程のテストの結果が頭から離れず気分転換でもし
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