ヴェイグ達はバルカの酒場にいた。
首都は相変わらず壊滅状態でほとんど機能していなかった。
その一因としてヒューマとガジュマが別々に作業をしていることにあった。
本来頭脳で指揮をとるヒューマが重い瓦礫を持ち上げ、本来肉体で活躍するガジュマが復興の手順等を考えていた。
お互いがお互いを頼ろうとせず、結果非効率性だけが生まれてしまう。
「これも思念の影響ってやつか・・・・・・」
ブライトが眉間に皺を寄せながら言うと、ヴェイグが黙って頷いた。
だが、ティトレイには何かが引っかかっているのか机の上で指をトントン叩いていた。
「なぁ、本当にこれは思念の影響なのか?」
「何言ってんのティトレイ。思念の影響で種族間で争いが起きちゃうからユリスを倒すんでしょ?一年前もそうだったじゃん」
マオは当然のように言うがティトレイは納得できないのか額を抑えた。
「いや、だからよぉ。ホントにユリスを倒してそれでハッピーエンドなのかよ?」
「ではお前は、ユリスをこのままにしておくのか?」
ヴェイグが冷たい口調で言うとティトレイは怯んだ。
「そういう訳じゃねぇ・・・・・・。ユリスを倒さなきゃいけないのは分かってるつもりだ。だけどよぉ・・・・・・。あぁもう何なんだよ!?この気持ちは!!」
「ティトレイ、俺はまだお前と出会って日が浅いがお前がヒトを大切にする人間だってのは知ってる。だけどユリスはヒトじゃねぇ。そこんとこ、間違えんなよ?」
「ブライト・・・・・・」
「ヒトじゃ・・・・・・ない・・・・・・」
俯くマオにルルは首を傾げる。
と、その時鎧が重なり合う音を響かせながら金髪の青年が酒場に入ってきた。
「ここにいたか」
「ミルハウスト!?」
ミルハウストの姿を見てヴェイグは思わず立ち上がった。
「王の剣の隊長から貴様等が戻ってきていると聞いたのでな。探したぞ」
「探したって、何でよ?」
フィオナが口を尖らせながら言うとミルハウストはユージーンとマオを見た。
「元老院への招集か?」
ユージーンが尋ねるとミルハウストは頷いた。
「ねぇミルハウスト。一つ聞いて良いかな?」
「何だ?」
「僕達が留守の間に行われた再審って分かる?」
「いや、お前達がいない間は再審等一つも行われていないが・・・・・・。そもそも再審を行うには大佐職以上5名、隊長1名、将軍1名の認可が必要となる。お前等が留守なのでは再審を行えるはずもない」
「じゃあさっき兄さんを連れて行ったのって・・・・・・」
ジンが心配になっていると突然マオがフォルスキューブを具現化させた。
「あれ?何だろうこのフォルス。留置所の方だけどこんな強力なフォルスさっきまで無かったヨ?」
「留置所にはジークさんもいますよね?大丈夫でしょうか・・・・・・」
アニーが心配そうに指を組むと、ミルハウストが口元に人差し指を当て静かにするよう促した。
すると、外から悲鳴が聞こえてきた。
「暴動かもしれん。止めに行くぞ!」
ユージーンの号令により一同は外に飛び出す。
遅れてティトレイも外に出ようとするが、後ろからヒルダに肩を掴まれた。
「残念で最悪だけど、私もあんたと同じ考えよ。なぜかは分からないけどね」
「ヒルダ・・・・・・」
「でもユリスを倒さなければならいのも事実。まずは思念を払う方法を探すのが先よ」
「あぁ、そうだな・・・・・・そうだよな・・・・・・」
まだ納得はできないが理解はしている。
二人はヴェイグ達の後を追って外に出ると全員上を見上げていた。
その空には濃霧越しに赤い斑点のような物が星のように並んでいた。
しかしその赤い点は各々バラバラに確実に動いている。
「まさか・・・・・・バイラスなのか?」
ミルハウストが驚愕していると城門へと続く階段の方から紫のツインテールのような髪型をした少女が歩み寄ってきた。
「バイラスの大群が迫ってるっていうのに天体観測?随分余裕ね。それとも自殺志願?」
マティアスは相変わらず殺意満々な笑みで声をかける。
「どういうことだ?あれが全てバイラスだと言うのか?」
ミルハウストは構わず尋ねると、マティアスはつまらなそうに溜息をついた。
「あれは飛行型のバイラスだけで、大群の中のほんの一部よ」
一部、ということは他にもいるということになる。
「もうバルカはバイラス達に完全に包囲されてしまっているの」
マティアスの言葉に誰もが驚きを隠せなかった。
「で、ここからが貴方達英雄の出番よ。北は私とこの金髪ロングが。東は残りの王の剣3人で守備するから貴方達は東と南に行ってちょうだい」
「北は2人で大丈夫なの?」
マオが心配するとマティアスは鬼のような形相で睨んできた。
「あら?なんならここで私の力を証明してみせま
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