「みんな無事のようだな」
ヴェイグは確かめるように言い、全員頷いた。
「南の方は全て片付けたわ」
ヒルダがカードを見ながら言うがジンは息を切らしていた。
「ジーク、お前は留置所から1人でここまで来たのか?」
「あ、あぁ・・・・・・」
ユージーンの質問によりジークに冷や汗が流れた。
うまく誤魔化せと言われたがどう誤魔化したものかと。
「な、なんか向こうの手違いだったらしくて、兵士の人が責任を感じて送ってくれたんだ」
「あんな中進んで来れるなんて、よっぽど訓練されたヒトなんだね」
「あぁ、俺達も知らない屈強な兵士がいるということは心強いことだ」
2人が信じてくれたことによりジークはそっと胸をなでおろした。
しかし、それを見逃さなかったフィオナが眉をしかめた。
「私も東側にいたんだけど、なんか大砲撃ってくるバイラスがいたわよね?それもジークが倒したの?」
「は?いや!あれは2人で協力してなんとか倒したって感じだったな!ヒヤヒヤしたぜまったく!!」
「ふぅ〜ん・・・・・・」
「だが妙だな」
ブライトは考え事をするかのように腕を組み、マオは首を傾げた。
「何が?」
「よく周りを見てみろよ。さっきまで大群を成してたバイラスが今じゃほとんど残ってねぇ。それもバカでかい亀が消えてからだ」
「つまり兄さんが倒した亀が司令塔だったってこと?」
ジンが推理するがブライトは首を横に振った。
「いや、指令まではできないはずだ。だが、ボス的な存在が消えたことにより他のバイラスが逃げ出した可能性はあるかもな。だが俺が引っかかっているのは亀が出現した場所だ」
「スールズ、俺達が最も油断していた方角だったな」
ヴェイグの言葉にブライトは首を縦に振った。
「あぁそうだ。まるで俺達の布陣を見抜いていたかのような奇襲だった。分かるか?奇襲ってのは奇を狙うから奇襲って言うんだぜ?」
「ということは何だ?バイラス達が作戦を立てて襲ってきたってのかよ!?」
「いえ、正確にはバイラスを操っていた何者かがいるんだと思います」
アニーの言う何者かには全員が心当たりがあった。
世界中のバイラスを操ることができる存在など一つしかない。
「ユリスか・・・・・・」
ヴェイグの言葉に誰も肯定も否定もしなかった。
する必要が無い。
沈黙が全員が同意見だということを語っていた。
「そういえば、マティアスさん達は無事でしょうか?」
「無事なんじゃない?」
心配するアニーとは裏腹にマオは腕を後頭部で組みながら軽い調子で答えた。
「ダメだよマオ!マティアスだって女の子なんだから心配してあげなきゃ!」
ルルは胸の前で二つの拳を握って力説するとマオは折れ、北門へ向かってみることにした。
北門の城門前にはマティアス1人が背中を向けて立っており、ミルハウストの姿は無かった。
「ナイラ、状況を報告してちょうだい」
マティアスが誰ともなしに言うと、マティアスの足元から伸びる影の中からまるでプールから出てくるようにヒトが出てきた。
そのヒトは腰まである長い黒い髪でスラッとしたスタイルをしておりどうやら女性のようだった。
「バルカ城を包囲していたバイラスは散り散り。もう危険はなさそう」
「そ。だったら・・・・・・」
マティアスはふと振り返った。
すると、門の中にいたマオ達とばったり目が合った。
そして、今まで気付いていなかったのかナイラと呼ばれていた女性もこちらに気付くと一瞬で姿が消えた。
そして、次に姿が見えた時には先頭にいるヴェイグの目と鼻の先の距離におり、手にはクナイが握られていた。
そのクナイはヴェイグの右目を捉えようとしていたが、すんでのところで氷の壁に阻まれていた。
よく見ればジーク達全員を囲むように氷のドームが完成している。
「なぜ見えた?」
「見えてはいない。ただの経験則だ」
そう、ヴェイグ達は一瞬の隙を突いて懐に入る戦法をマティアスで経験している。
マティアスの知り合いという情報から導き出される悪い予感が見事に的中した。
ナイラは一歩後退するがメガネ越しに見える赤い瞳からは殺意しか感じられない。
「私の姿を見られた以上、消えてもらう」
言い方は静かだったが冷静な分気味が悪く、クナイは鋭く光った。
そしてそのクナイが再び氷壁に突き刺さると、氷にヒビが入り砕け始めた。
(先程と同じ所をピンポイントで狙ったのか!!)
ヴェイグは既に大剣を構えているが、相手の俊敏さを考えると相性が悪い。
ここはジークかティトレイに前に出てもらいたいところだが氷の崩落によって逆に足止めをくらっている。
「ちぃっ!!」
ヴェイグは決死の覚悟で大剣を振るう。
しかし、ナイラはヒラリと避けると跳躍する。
そこへ天から薙刀が振り下ろ
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME