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第28話『再会と再戦』

群衆の中心から注意を引き付けるように手を叩く音が聞こえた。

「結局、力で示すしかないんじゃないかな?どっちが有益な存在なのかをさ」

「さぁ武器を取れ!武器なら山ほどある!」

トーマが天に手をかざすと数多の武器が音を立てて降ってきた。
群衆から黒い霧のようなものがドライアイスのようにいっせいに立ち込めた。

「させない!!」

フィオナは扇を開き突風を送ることで散在している武器を吹き飛ばした。
しかし、直後に逆風が武器をいくつか戻してしまう。

「邪魔はよくないなぁ」

サレの嵐である。

「やってやる・・・やってやる!!」
「またガジュマの強さを教えてやるよ!!」

群衆は武器をとる。
その中でも先程殴られた男性の周辺にいた人々はヴェイグ達を見た。

「あんたらも邪魔するってんなら敵だ!!」

「敵だと!?」

ヴェイグは大剣を抜かずに眉をしかめた。
さすがに一般人に刃を向くわけにはいかない。
そう思っていたが、ヴェイグの目の前を炎の風が通りすぎ、前髪が少し焦げた男は唾を飲んだ。

「言うの忘れてたけど、一応ボク王の盾所属の大佐なんだよね。暴動が起きた場合、鎮圧を指揮する権利があるんだけど、使ってほしいのかな?」

「・・・・・・マオ?」

大した怪我もなかったルルは首を傾げた。
いつものマオではない。
口調は穏やかだが脅しをかけるような行為は滅多にしないことをルルは知っている。
考えられるとしたらその滅多なことがマオに起きたのか。

「グズグズするな!邪魔なやつは片付けてしまえ!!」

トーマの怒号により群衆は声を上げ、武器を振り上げた。

「くっ、トーマ・・・・・・」

ユージーンは奥歯を噛み締めながら槍を抜いた。
暴動が始まったためスクランブルは解除され、中心には進めそうだ。

「サレェェエエエ!!!!」

ヴェイグは大剣を抜くと幾つもの刃を交わしながら中央へと突進した。
ジーク達も暴動を止めるため峰打ちにして気絶させようと武器を構えた。

屈強な男の拳をカインは受け止めると足を払い、浮いた体を地面に叩きつけるように投げつける。
これで男は白目を向いて気絶したが、受け止めた両手がジンジンと痛んだ。

「これが思念による力か・・・・・・」

思念にとりつかれると信じられない力が発揮されるようになる。
例えばいつもピーチパイを焼いてくれていた近所のおばさんが大剣を振り回す青年の首を締め上げることさえ可能になるのである。

しかし気になることが一つあった。
この大量の武器は一体どこにあったのか。
トーマが磁のフォルスで浮かせていたのかもしれないが、武器を壊さないためにも降らせるにはそんなに高くには浮かせていないはずである。
だったら誰かの目に留まりそうなものだが誰も気付かなかった。
もし、宙に誰かいて、その人物がトーマの合図と共に落としたのだとしたら。
ジークはふと上空を見上げてみた。

するとそこには黒い霧を吸い込む白い球体、しかもヒトが1人入れる大きさのものが浮いていた。
その大きさからして悪い予感しかしない。
そして、その球体にヒビが入りはじめた。

「みんな上を見ろ!!」

ジークの声に合わせて上を見上げた。
ヴェイグももう1人かわせばサレの目の前だったが、上を見上げた。
その時、サレはニヤリと笑みを浮かべていた。

「こ、これは・・・・・・」

ユージーンが驚愕している間にも黒い霧を吸収し続ける白い球体にヒビが入っていき、ヒビが一周すると球体が割れるのと同時に光りが満ちあふれた。

「うまくいったようだな」

先程まで騒いでいた人々がバタバタと倒れていくのを気にもとめず、トーマは腕組みしながら光りを見つめている。
その光りの中からは白い髪が全て上に逆立ち、全身白色、周囲にピンクの目玉のようなものを二つ対称的に浮遊させている少年が現れた。

「おはよう、虫けらども」

真っ白な少年は宙に浮いたままヴェイグ達を見下ろした。

「あ?誰だ?って顔してるな」

「想像はつくが、まさか・・・・・・」

ブライトは喉を鳴らしながら唾を飲むと、少年はゲラゲラと笑った。

「そうさ、俺様はユリスだ!お前達が本土を留守にしていたおかげで思念をたっぷり吸収して成長したのさ!」

「話し方は退化しているように見えるがな!」

ブライトは声を張って言うがユリスは鼻で笑うだけだった。
そこで別の質問をヴェイグがなげかけた。

「お前は以前戦った時も十分強かった。何故成長する必要がある?」

「そんなの決まってるだろ?確実にお前等ヒトを滅ぼすためだ。ただ俺様が一人一人殺して回るのはただのお遊戯にしか見えないだろ?だから思念を使うのさ。人間どもが争えば勝手に数は減る。俺様が何もしなくても勝手に滅んでくれるんだぜ?しかも放出された思念を吸収す
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