「ヒルダ、やはり角を折ったのは失敗だったな」
(また角か・・・・・・)
ジークは少し気になったのか頭の耳がピクっと動いたが、今は戦いに集中することにした。
「確かに、後悔はしているわ」
ヒルダは表情を崩そうともせず、次の詠唱に入った。
「いくぞカイン!」
「あぁ!」
ジークとカインは足並みを揃えてトーマに接近するが、絶対の防御に自信のあるトーマは最早動こうともしない。
ただ胸の前で腕をクロスさせるだけで彼の見えざる鉄壁が完成する。
「「双撞掌底破!!」」
ジークは右手、カインは左手を突き出し掌底破を叩き込む。
それを同時に行い、同じタイミングで闘気を破列させることにより簡易式の秘奥義と化す。
「バカなっ!!」
破烈する闘気に質量があるはずもなく、磁力で防げないトーマは背中から地面に倒れ込んだ。
同時に、爆風により吹き飛んだため距離もできた。
しかし、それでもダメージは浅いのか即座に立ち上がろうとする。
「させるかよ!!」
既に膝立ち状態だったトーマをティトレイのフォルスにより地中から伸びたツタがトーマの四肢を縛り、まるで操り人形のように固定する。
「大地よ答えよ、敵を砕け」
そしてヒルダの詠唱が終了する。
「確かに後悔はしてる。でも生憎、失敗だったとは思っていないわ。ストーンブレイク!!」
トーマの周囲を囲むように岩の塔が隆起し、最後にトーマ自信を突き上げるために中央の岩が隆起する。
しかし地面との相性はトーマにとって抜群に好都合と言える。
足元に磁力を集中させることにより衝撃を緩和させ、岩が引っ込んだ所へ着地する。
地面が隆起したことによりトーマを縛っていたツタはちぎれ、トーマを拘束するものはもうない。
「ぁあ?」
だが、奇妙であった。
中央の岩は既に地面へと戻った。
しかし、トーマを囲うように出現した岩の塔は依然として砦のように立っている。
「ユージーンか・・・・・・」
トーマの憶測通り、壁の外では隆起した岩にユージーンがフォルスを流すことにより固定していた。
つまりこれは砦ではなくトーマにとっての監獄のようなものだ。
そしてそこへフィオナが壁を飛び越えてトーマと対峙する。
「ふっ」
トーマは笑った。
何の作戦かは知らないが結局タイマンなら負ける訳がない。
磁力操作で瞬時に接近するか、おびき寄せるかをすれば後は自慢の拳であの細い腰を砕くことができる。
そう思った。
いや実行した。
しかし体が動かない、フィオナの体さえも。
何かがおかしい。
フォルスは確かに使える。
しかし何か違和感がある。
まるで針に糸が入ったと思ったのに実は外れていたような、そんな違和感があった。
「あんたには借りがあったわね!」
フィオナは扇を閉じたまま助走をつけ、距離を2mに近づける。
まだトーマの射程範囲外だがフィオナの扇は十分に届く。
フィオナは右足で地面を踏みしめ、トーマは咄嗟にガードする。
今回は胸の前に腕をクロスさせるのではなく、ボクサーが使用する縦の防御。
「双打鐘!!」
まず一打目でトーマの腕と腕の隙間を狙いガードをこじ開ける。
そして2打目。
「この前のお返しよ!!」
扇の先端がトーマの顔面にめり込み、ゴキっという音が鳴った刹那、衝撃によりトーマの重量級の体が吹き飛び背面の岩に激突した。
その衝撃により岩が崩れると、それに連動するかのように周囲の岩も崩れ、ジーク達はフィオナに歩み寄った。
「乙女の大勝利ね!」
「えぇ、そうね」
「が、ぁぁ・・・・・・あぁ」
顔面と背中を打ち付けたダメージによりトーマはしばらく立ち上がれそうにない。
立ち上がれたとしても惨めに潰れた顔では戦闘は無理だろう。
一方、トーマに弾き飛ばされたルルはサレの竜巻の上にいた。
(ここからなら!)
ルルは縮めていた如意棒を再びビルサイズまで巨大化させると、如意棒は重力に従って落下を始める。
だが予想外にも引っ張る力が強く、むしろ地面に引っ張られるような感覚だった。
「えっ!?」
「は?」
ルルとサレの間の抜けた声が発せられるのと同時に、サレが纏っていた竜巻がサレの目の前で一刀両断された。
「ナイスだフリィース妹!!」
落下速度が異様に早かったのはルルに気付いたブライトが重力操作を行った所為にある。
おかげで地面に勢い良く突き刺さったルルは目を回し、そこらへんに転がると如意棒も元の形へと戻った。
「はははは、自分の間抜けさを呪うんだねぇ!」
サレは今にも裂けそうな笑みを浮かべながらレイピアを仰向けに倒れているルルに向け、フェイシングのように突く。
「フォルスフレイム!!」
「っ!!」
ブライト同様に気付いていたマオはルルが如意棒を巨大化させる前から走っていた。
そしてレイピアが
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