翌日になっても船は動かなかった。
復旧の目処は立たず、他の港からの連絡も無い。
ヴェイグ達はバルカから出られずにいた。
そんな時、
「入港許可を求める信号を確認!」
「何処の船だ!?」
突然港が騒がしくなると兵士が右往左往飛び回り始めた。
「ナンバー登録されていない船です!」
「アンノーンか!」
「いえ、以前にも入港記録があります!」
「一体どうなっている!?」
部下の情報に上司の兵隊らしき者が苛立ちを覚えていた。
「少し待てと信号を送ったところ、了解と返信がありました!」
それを聞いて上司は胸をなでおろす。
しかし、
「大変です!未確認の戦艦が港へ進入しました!」
「何だと!?」
上司は急いで船着場へ向かい、ヴェイグ達もその後を追った。
そして、船着場には黒い戦艦が接岸していた。
「あれって・・・・・・」
マオが指を指すと甲板に三つの人影が見えた。
「「ハーハッハッハハ!!!」」
「おいデジャヴを感じるぞ」
ブライトが誰ともなしに言うとヴェイグは呆れたように額に手をあてる。
「放っておけ。恒例行事だ」
「とうっ!」
真ん中の影の声と共に三人はジャンプし、港にいるヴェイグ達の前に着地した。
「漆黒トリオじゃん!元気〜?」
「貴様!前口上ぐらい言わせろ!それと俺達は漆黒の翼だ!」
マオに邪魔をされたことに青い髪を持つギンナルは腹を立てて地団駄を踏んだ。
「マオ大佐の知人でしたか。しかし入港はしばらく待つようにと信号を送ったはずですが・・・・・・」
「兄貴が信号の意味なんて分かるわけないでヤンス」
ギンナルの隣にいた肉塊のドルンブがお腹を揺らしながら笑う。
「あたしたちは適当に信号を打っただけだよ」
ギンナルの左にいる金髪のユシアは髪をかきあげながら言う。
(この人達バカなのかしら・・・・・・)
「フィオナ、思ってても言っちゃだめだよ?」
マオは笑いながら言ったが、フィオナはきょとんとしていた。
「私何も言ってないわよ?」
「でも今こいつらのことバカって・・・・・・」
ティトレイが確認するように全員を見回すと、兵士と漆黒の翼以外全員が頷いた。
「今のはフィオナの心の声だろ?またフォルスに乗っちまったんだろ」
「今のがフィオナの『声』なのね」
始めて聞いた一同は少し感動していた。
「でも何故急に聞こえるようになったんでしょうか?」
「多分俺達とフィオナの信頼度が上がった証拠なんじゃねぇのか?一緒に旅をするようになってもう長いからな」
「待て待てマテ待て!俺達を置いて何の話しだ?」
「フィオナのフォルスの話だヨ!フィオナのフォルスは『声』のフォルスなんだけどやっと僕達にも聞こえるようになったんだよ!」
マオはグッと親指を立てるが、それを聞いてもなお要領の得ないギンナルは眉をしかめた。
「『声』のフォルスか。ならば俺と同じだな」
「お前も『声』のフォルスを持っていたのか・・・・・・」
ユージーンは驚いたように呟く。
「とはいえ、俺は誰かの声を真似する程度だがな」
「戦闘向きじゃないのよね」
「使いものにならないでヤンス」
2人の散々な言いようにギンナルのこめかみに血管が浮き出した。
「えぇい黙れ!それより本題に入るぞ!」
本題?と全員が首を傾げた。
「俺達は、お前等が海を渡る手伝いをするようにと言われて遠路はるばる来てやったのだ!」
「言われたって、誰に?」
ルルが更に首を傾げると、ギンナル達三人も困ったように眉間に皺を寄せた。
「それが俺達もよくは知らんのだ。気付いたらそこにいて、気付いたら消えていたからな」
「影の中から出てきたでヤンス」
「ズボンだったことに舌打ちされたわ」
「あぁ・・・・・・」
この情報でヴェイグ達には特定の人物が連想された。
ナイラだ。
「で?どこまで行きたいんだ?」
「ラジルダ跡へ行きたい」
ヴェイグが言うと、ギンナルは腕を組んだ。
「ラジルダ跡だと?あそこは港がないぞ?」
「近くの岸へ接岸してもらえれば後は勝手に降りる。難しいか?」
ユージーンの問いにギンナルは「それなら構わない」と答えた。
しかし、
「いや、ラジルダ跡は今港を作り直そうと骨組みを組み立ててた。でかい船で近づいて大きな波を立てないほうがいいと思う」
ジークは先日ラジルダ跡に行った際、少しずつ修復していた港を見ていた。
「だから少し南下した辺りに接岸するべきだ」
「接岸できるかは行ってみないことには分からないが、試してみるか?」
ギンナルは訊ねると、全員了解というように頷いた。
こうして、全員漆黒の船に乗り込むと兵士達の敬礼により見送られながら汽笛を上げて出航した。
漆黒の船には以前ノルゼンに行った際
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