「そこにあるものはお前が造ったのか?」
ブライトは木材でできた翼を広げる模型を指すとカイトは頷いた。
それまで大切そうに握っていたフィオナの腕をそっと離すと模型に歩み寄り、先端に付いているプロペラを撫でる。
「ただの模型と思うかもしれないけど、やっと飛べるようになったんだ。と言ってもプロペラが止まっちゃえば後は風任せだから飛ぶというより格好つけて落ちてるだけなんだけどね」
プロペラで風を起こし、それを羽で受けて飛ぶ仕組みのようだが、この模型は所詮木造。
プロペラを回すのは人力であり、プロペラをコックビットから回すようなからくりも見受けられない。
つまり陸地で一度プロペラを回した時は浮力の恩恵を受けられるが、空に上がった後はひたすらに落ちていくだけということらしい。
「だったらこのエンジンを使えば問題解決だネ!」
マオがカイトに向かって親指をグッと突き出す後ろでヴェイグがアイテムポーチからエンジンを取り出した。
「す、すごいじゃないか!!これ本物!?」
カイトはエンジンを見るなり興奮し、鉄塊をペチペチ叩いたり眺めたりした。
しかし何かに気付いたのか急に腕を組み眉間に皺を寄せた。
「でもこんなのを載せたらエンジンの熱でボディが燃えちゃうんじゃないかな・・・・・・」
「た、確かに・・・・・・」
ブライトも盲点だったらしく、拳に顎を乗せる。
「それにこんな重そうな物載せたら飛ばなくなっちゃうんじゃないかな?」
「重量の問題か・・・・・・。ちなみに現状での定員は?」
ユージーンが訊ねるとカイトは答えにくそうに苦笑いを浮かべた。
「えっと・・・・・・僕1人・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
ユージーンが落胆するのと同時に全員俯き、状況を飲み込めないカイトはあたふたするだけだった。
「ど、どうしたの?」
「実は・・・・・・」
ヴェイグが事の顛末(てんまつ)を説明し、飛ぶためのものを探している事を言うとカイトは更に申し訳無さそうな表情を浮かべた。
「ごめん・・・・・・力になれなくて」
「ううん、勝手に私達が期待しちゃってたのが悪いの」
フィオナがカイトを慰めようとする姿を見たジークは何故か胸がモヤモヤし、思わず舌打ちを打った。
「重量の問題ならブライトのフォルスで何とかすれば良いんじゃねぇの」
とりあえずジークは適当なことを言ってみた。
しかしこれが無茶だということはジークも分かっている。
そして案の定、ブライトから否定の意見が出される。
「お前なぁ、簡単に言うが俺の重力操作ってのは『物』にかけるんじゃなくて『場』にかけるんだぞ?」
分かりやすくすると重力操作の対照が時速180km以上で進む新幹線にかけるか、進路の線路にかけるかの違いである。
新幹線という物体を軽くできるのならば、出発前に一度フォルスをかければ良い。
しかし、重力というものは星全体にかかっている、言うなれば星と物体との引っ張り合いから生まれる力なため物体だけにフォルスをかけても意味がない。
動いている新幹線に重力のフォルスをかけたいのであれば進路方向へ重力をかけなければならない。
つまり、新幹線が目的地に着くまでのルート全てを無重力化する必要があるのである。
「そんなことしたら俺死ぬぞ?」
しかし何とかならいものかとカイトはブツブツ呟きながら思案を巡らせた。
「飛ぶための理論と設計図は完成してるから材質と大きささえ何とかなれば定員の問題は何とかなるかも・・・・・・」
「本当ですか!?」
アニーが両手を組みながら確認するとカイトは自信無さそうに頷いた。
「う、うん・・・・・・。ただ、その材質と大きさが問題なんだけどね」
「もしかして手に入りにくい物・・・・・・とか?」
カインの問いにカイトは頷いた。
「あまり重量を重くしたくないからね。できれば羽みたいに軽い金属を使いたい。あと大きさなんだけどこれだけの人数を乗せるとなると結構な大きさが必要だから僕1人では流石に造れない」
「特殊な金属と技師が必要ということか・・・・・・」
ヴェイグは確認するように呟くが勿論両方共当てはない。
と、思ったが眉間に指を当てていたティトレイが指を鳴らした。
「そういや工場でやけに軽い金属を製鉄したことがあったぜ!」
「工場って、ペトナジャンカにあったやつ?」
ジンが確認するとティトレイは「他に何処にあるんだ?」と返し、その後はお決まりのパターンである。
「その金属が鉄とは思えないぐらい軽くてよぉ。ただその分耐久性も無いから取り引き先も少なくて滅多にその金属の素材を輸入することがなかったんだ」
「じゃあ、その輸入先に行けば素材が手に入るのね?」
ヒルダは半信半疑の様子で問いかける。
恐らくティトレイの言うことなだ
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