翌朝、ヴェイグ達は特殊な金属の情報を探すべく街の住人へ聞き込みを開始した。
しかし情報はなかなか得られず、羽のように軽い金属が本当に存在するのかさえ怪しくなってきた。
更にヴェイグ達には気になることがあった。
「……」
フィオナの機嫌がすこぶる悪いように見えた。
ジークは背後から睨んでくるフィオナの視線を感じながら昨晩のことを思い出した。
ティトレイとの特訓を終え、宿屋へ戻ると入り口のカウンター前でフィオナが仁王立ちしていた。
「買出しご苦労様。それで?街の外まで何を取りに行ってたの?」
「……あ」
ジト目で質問してくるフィオナに対してジークは咄嗟に腰のアイテムポーチを押さえた。
そういえばカインにはバイラスから取れる素材を取りにいくと言って出て行ったことを思い出しアイテムポーチから適当にアイテムを取り出しフィオナへ放り投げた。
フィオナはそれを片手でキャッチし、見てみると六角形の枠の中に宝石のようなものが埋め込まれたアクセサリーだった。
「シールドオニキス?」
防御力を上げるアクセサリーであり、砂漠で遭遇した赤い馬のようなバイラスが落としたアイテムである。
「ふぅ〜ん、これを取りに行ってたんだ〜」
ちなみに宿屋カウンターの隣に食材屋、アイテム屋が並んでいるのだが、アイテム屋のカウンダーから『シールドオニキスセール中』という垂れ幕が目立つようにデカデカとぶら下がっていた。
ジークは他に何かレアなものはないかとアイテムポーチをまさぐっていると、吹き抜けになっている上の階から状況を見ていたヒルダが階段をくだってきた。
「フィオナ、あんたさっきから浮気の証拠を突きつける妻みたいよ?いえ、夫の帰りが遅いことに腹を立てる主婦かしら……」
「なななん、なぁっ……」
フィオナは口をパクパクしながら顔が紅潮し、わなわな震えながらダッシュで階段を駆け上っていった。
「あら?余計なことをしてしまったかしら?」
「いや、助かったぜヒルダ」
ジークは胸を撫で下ろしながらヒルダに礼を言う。
それから一晩、フィオナとは口をきく機会がなく現状にいたるというわけだった。
「ジーク、またフィオナと喧嘩したの?」
ジークの前を歩いていたマオが呆れたように振り返りながら肩をすくませてみせた。
「知るかよ。そもそもいつも喧嘩してるみたいに言うんじゃねぇよ」
「最近は仲良かったけどね〜」
マオは茶化すように笑いながら言うがフィオナの隣を歩いていたカイトは驚いたように目を丸くしていた。
「フィオナって喧嘩するんだ〜。ラジルダにいた時は静かで大人しい子ってイメージだったから全然想像できないよ」
「そうなんですか?フィオナさん、スールズではジークさんにビンタまでしてましたよ?」
「ぇえっ!?フィオナがビンタ!!」
「ちょっとアニー!それは忘れてっ!!」
「昨晩も思ったけど、フィオナは変わったよね〜」
「そ、そう?」
「うん!ワンパクなフィオナも良いと思うよ?」
満面の笑みで頷くカイトに対してフィオナは複雑な心境で俯いた。
(そういやあいつ、バルカで本当は可憐で清楚だとか何とか言ってたっけな)
その時ジークは冗談か何かかと思っていたがもしあの言葉がフィオナの本心なのだとしたら、今までずっと無理をしてきたのか。
本当の自分を出せずに自分といるより、本当の自分でいられるカイトといたほうがフィオナは幸せなのだろう。
ジークは俯きながらそんなことを考えていると前方を歩いていたユージーンの背中にぶつかってしまった。
「悪い」
「歩きながら考え事とは感心せんな」
「新ネタか?」
ジークが言ったそばからブライトから拳骨が飛来した。
「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!次はこの店で聞いてみるぞ」
店の窓から中を覗いてみると壷やら皿といった陶器が飾ってあり、どうやら骨董屋のようだった。
「俺は外で待ってるから行ってこいよ」
ジークは破壊のフォルスがいつ発動するのか自分で分からないためこのような店に入るのは抵抗があった。
そのためバビログラードでも自分の皿を買うのにヴェイグとアニーに行ってもらったほどである。
しかし今回は事情を心得ているはずのヴェイグがジークの腕を引っ張ると反対の手で店のドアを開いた。
「行くぞ」
「お、おい!」
ヴェイグに引っ張られるまま店内に入ると高価そうな骨董がオレンジ色の照明に照らされており、土を焼いた独特の匂いが鼻を通り抜けた。
「いらっしゃい」
店内に入ったことで諦めたジークは大人しくなり、ヴェイグは掴んでいた腕を離すと後ろからユージーン達も店内に入り完全に逃げ道がなくなった。
「訪ねたいことがあるんだが……」
テディベアのようにモコモコしたガジュマの店主に虫の糸からできる金
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