リヒトモスインセクトの解剖作業が続く中、マオがルルに歩み寄る。
「お疲れ様、ルル。虫嫌いなのによく頑張ったね!」
「……マオ、なんか私のこと子供扱いしてない?」
褒められて嬉しかったがルルは照れを隠すように頬を膨らませた。
「えぇ!?そんなつもりはなかったんだけどな〜……」
マオは困ったように首を傾げながら後ろ髪をかいた。
しかしルルは顔の形を戻すなり俯いた。
「でも私何にもしてないよ?ジン兄さんに言われた通りにやっただけだし……」
「でも最終的にやるって決めたのはルルでしょ?もしルルがいなかったら僕達今頃負けてただろうし、やっぱりルルのおかげだヨ!」
マオはウィンクしながら親指を突き出すというお決まりのポーズをする。
すると、ルルはハニカムように笑った。
「そっか……へへへ」
「みなさん、終わりました!」
見ると糸は大分テディホビンからはみ出し、巨大なバームクーヘンのようになっていた。
「随分と採取できたものだな」
「隅々までかき集めたからね」
ユージーンは感心したように唸っていたがカインの自慢話はヘビーな内容が含まれている気がしたので咄嗟に手で制した。
待っている間にグミを食べてジークも歩けるようになったため、アニーとカインがグミを食べ終わるのを待ってからヴェイグ達はピピスタへの帰路へついた。
そして宿屋へ到着するなりヒルダから事の成り行きを聞き、アニーは診察に入った。
「軽い脱水症状ですね。今日一日きちんと水分をとって休んでいれば明日には元気になりますよ。あと、今日だけは首と脇、太ももは冷やしてくださいね?」
「あ〜はいはい。迷惑かけたね」
緑のモブ子が適当に礼を言うと診察が終わったことを聞きヒルダが歩み寄った。
「礼を言うわ。もしあんたが倒れなかったら私達はアニーを呼ぶために砂漠へ出ようとしなかったもの」
「なんかあったのか?」
「私達の仲間が死に掛けてたのよ」
ヒルダの後を追うようにしてフィオナが顔をだした。
その後ろから例の死に掛けてた面子がぞろぞろとやってくる。
その中からユージーンが一歩前に出ると手を差し出した。
「ヒルダから大体の事情は聞いている。巻き込む形になってしまったが協力感謝する」
「感謝するなら現物ができあがってからにしろよ」
緑のモブ子は不敵な笑みを浮かべながらユージーンの手を握った。
それから一晩経ち緑のモブ子が完治したのを確認した後ヴェイグ達は早速骨董屋へ向かった。
店主は糸の回収量とその速さに腰を抜かしたが、快く裏の工房へと案内してくれた。
「リヒトモスインセクトね〜。あんたらが持ち帰ってきた情報は俺が責任をもって広めといてやるよ」
骨董屋のテディベアのような店主は金属の扉を開けながら言うと油の臭いが扉から飛び出してきた。
「どうやって広めるの?」
もう片方の扉も開く店主にマオが訪ねる。
「俺の他にも同業者はいるんだ。そいつらに聞かせてやれば喜ぶぜきっと」
店主が完全に開ききると鉄釜、水桶などといった錬金用に改造された工房が姿を表した。
緑のモブ子はテディホビンを中央のテーブルに置くと、ハンマーや石釜などを触り始めた。
「本当に即興の工房なんだな。必要最低限の物は揃ってるみたいだし、何とかなんだろ」
店主は苦笑いしながらヴェイグに耳打ちした。
「あのメロンは何者なんだい?」
「実は俺達もよく知らない。だが腕は確かだ」
「ほ、ほほぅ……。ちなみにあんた、リヒトメタルの加工はやったことあるのかい?」
「ないに決まってんだろ。でも確かこの糸を熱して打ち付ければ鉄になる過程で伸びるんだよな?あたしの場合相当伸びるから今のうちに保管場所を確保しとけよ」
「大した自信なこって」
店主が呆れた後、ヴェイグ達は一度外へ出た。
「あたしはこのまま作業に入るけど流石に時間かかるぞ?その間あんたらはどうすんだ?」
「職人と素材の問題は何とかなったから後は機体を作る人員とエンジンの軽量化か……」
ジークが確認するように言うと、緑のモブ子は鼻で笑った。
「設計図を見たがあれぐらいの大きさならあたし1人で十分だ。多分あんたらが戻ってくる頃にはエンジンを積むだけにしといてやるよ」
「本当に!?」
マオが驚くと緑のモブ子は任せろと言わんばかりに胸を叩いた。
その際に豊満な胸が揺れる。
「ではあとはエンジンの軽量化だけということか……。ユージーン、心当たりがあると言っていたな」
ヴェイグがユージーンを見ると彼は一度頷いた。
「心当たりはあるが、それにはまずノルゼンへ行く必要がある」
ノルゼンというのはここから北方にあるキョグエンよりも更に北にある雪国である。
「結局寒い所に行くのか……」
ジークが落胆するがユージーンは「い
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