「言ってることとやってることが矛盾してるんですけど!?」
謝りながら剣を振ってくるヒューマの男性に対しマオはトンファーでガードするが表情が本物なだけに攻められずにいた。
そんな時、ヴェイグ達の鼻を微小な香りが突き抜けた。
ここの風習なのか建物全体にお香が焚かれていたが、この臭いはお香とは少し違った香りな気がした。
ヴェイグは大剣で男の剣を弾き、後退するとジークの背中とぶつかり背中合わせとなった。
「ジーク、これはまさか……」
「香りのフォルスだろうな。だがティトレイの時とは違って意識があるのは何でだ?」
以前にティトレイが香りのフォルスにより洗脳された時、彼は無我夢中で襲ってきた。
しかし今回は襲ってくるヒューマにもガジュマにも意識はある。
それもこちらに対する敵意ではなく、謝罪の意識が。
「おらよっと!」
ガジュマの男性はアニーの背後より斧を振り下ろすがそれをユージーンが槍で防御する。
掛け声こそ攻撃する気満々だったが、体が動いた先にたまたまアニーが背中を向けていたため何だか分からないうちに振り下ろしたかのような呆気にとられたような表情をしていた。
これでは迂闊に反撃することも叶わない。
もし敵意が剥き出しか、あるいは完全に洗脳された状態ならば強烈な一撃を与えて気絶させても彼等の記憶には残らない。
しかし不本意な状態で攻撃してくる彼等に一撃を加えた場合、全てが終わった後に遺恨が残ってしまう。
これが香りのフォルスによるものならアニーの雨のフォルスによって匂いを消すことができる。
しかし不幸にもここは屋内なため天井も低く雨雲を作ることができないでいた。
「すまねェ!!」
ヒューマの男がハンマーを振り下ろす。
それをヒルダは横に避けると男の背後に回り、当身を入れる。
「どういたしまして」
ヒルダの言葉が届くか届かないかのタイミングで男は意識を失った。
「ヒルダ!?何平気な顔して気絶させてんの!?」
カインがガジュマの剣を受け止めながら驚く一方で、ヒルダは面倒臭そうに髪をかきあげた。
「だって、こうでもしないと私達がやられるわよ?」
「そうだけどよぉ……」
ティトレイもヒルダに反論したいが反論できずにいた。
このまま手を拱(こまね)いては何も進展せず怪我人が増えるばかりだ。
もしくはヒルダが次々と気絶させていき、彼女にまた冷たい視線を浴びせることになってしまう。
イゴルやクウ・ホウも必死で止めようとしている。
ティトレイは相変わらず主催者の机に座って高みの見物を決め込んでいるフィレンツェを見て歯軋りをした。
「どいてくれぇ!!」
ティトレイは無我夢中でガジュマの男に突進する。
するとその衝撃でガジュマの男が吹き飛ぶと後ろにいた同じガジュマやヒューマを巻き込みドミノ倒しにしていった。
ティトレイの目の前に道ができる。
ティトレイはドミノ倒しになっているヒト達の上を飛び越え、主催者の机の右側に着地する。
「やはり大量生産品では話にならんか」
フィレンツェはいまだに机から降りようとはせず、鼻で笑ってみせた。
「ヒトを物みたいに言うんじゃねぇ!」
ティトレイは一瞬で机との距離を詰めると拳をフィレンツェに振り上げる。
しかし、それをボクサーグローブをはめた熊のようなガジュマが間に割って入りガードする。
「同じさ。どんなに強固な意志があろうと私の前では皆操り人形同然だ」
熊のガジュマはグローブでティトレイの顔を殴ると、それをまともに受けたティトレイの視界が揺れ、よろける。
だが倒れるほどのダメージはなく、すぐにフィレンツェに向き直る。
「使えなくなれば代用品を用意すれば良いだけの話だ。所詮大量生産された物の中の一つなのだからな」
そう言ってフィレンツェは熊のガジュマを座ったまま足で蹴り飛ばすと、今度は昆を持ったヒューマの女性が昆を振り下ろすとティトレイの頭を直撃する。
「ぐお!」
反動でティトレイの頭が下がるがそれでも怯まず踏ん張り、女性の持つ昆だけを蹴り飛ばした。
「だがまぁ、私の操り人形の中でも貴様は特別だったぞ?ティトレイ。もう一度操ってやろうか?」
フィレンツェは不適な笑みを浮かべると懐から彼女の武器である鞭(ムチ)を取り出した。
(やべぇ!フィレンツェのフォルスに抗う方法が分からねぇ!!)
ティトレイはとりあえず腕で自分の鼻と口を塞ぐがフィレンツェは鞭を叩きつけ、バチンという音を木霊させる。
すると、また新たな匂いが会場へ広がり始める。
「……」
ティトレイはしばらくフィレンツェを睨み続ける。
意識はまだハッキリしている。
四肢も自分の意思で動く感覚がある。
フィレンツェのフォルスは不発で終わったのだろうか?
「旋風槍!」
不意に、ティトレイは背中を切り裂かれる痛
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