「なんだジーク君か!フィレンツェが一本背負いとかするからおかしいと思ったんだよねぇ」
それをまともに受けたというのにピンピンしているカインにジークは腹が立ち、鳩尾に拳をめり込ませた。
「ま、まさか、ジーク君も幻覚に……」
「俺は正気だっつの。それより……」
ジークはヴェイグとマオを見た。
マオは詠唱をしており、ヴェイグも大剣を構え冷気を収束し始めている。
このまま2人がぶつかりあえば片方は無事ではすまない。
「確かマオが一本パナシーアボトルを持ってたよな!?」
ジークは問いながら駆け出すと、カインも肯定しながらジークの後に続く。
しかし、カインの目の前を突如突風が襲うとジークは見事にさらわれ、ヒューマとガジュマを巻き込みながら壁に衝突した。
「がっ!!」
肺から酸素が押し出され、息が出来なくなる。
床にくずれ落ちた後、咳き込むように呼吸を整えながら風が襲ってきた方を見ると、フィオナが更に扇をふるっていた。
「ジーク君!」
ジークは飛ばされないように腕をクロスさせながら踏ん張るが、疾風の刃がジークの全身を切り刻む。
「カイン!お前だけでもマオのところに行け!フィオナは俺が止める!」
カインは先程ヒルダ達がいた会場の隅を見るが、彼女達もブライトを止めに動いている。
さらにこのままのんびりしていてはまたフィレンツェの香りを嗅いでしまい、幻覚に陥ってしまう。
カインは舌打ちをしてから天井すれすれまで跳躍する。
「いくぞマオ!」
「裁きの十字よ、敵を討て!」
マオはトンファーを天井に掲げる。
「ブラッディ・クロス!」
ヴェイグも限界まで収縮させた氷の大剣を手に、床を蹴り出す。
その瞬間、
「飛天翔駆!!」
急降下してきたカインがヴェイグと衝突すると、2人は転がりながらガジュマとヒューマの乱闘という壁に衝突した。
その直後にヴェイグが走っていたラインに血の十字架がそびえ立つ。
衝突と転がった衝撃で目を回したヴェイグはかぶりを振った後すぐさま立ち上がり大剣を構えた。
「カイン!最早お前も……」
「違う違う違う!!」
カインは座ったまま急いで手と首を振った。
「マオは僕が相手するから、ヴェイグはティトレイを助けに行って!」
ヴェイグがティトレイに視線を移している間にカインはすぐさま立ち上がる。
「分かった。だが相手はあのマオだ、無理はするな」
それだけ言い残してヴェイグは乱闘を掻き分けながら主催者の机へと向かい、カインはフィレンツェの姿を見失ってキョロキョロしているマオの前に出る。
「ちょこまかとうざったいわね!動きがジークそっくりじゃない!」
(本人だからな……)
ジークは心の中で突っ込みながらフィオナの風を左右にステップすることで回避していた。
これまで何度も秘密の特訓をしたおかげでフィオナの戦い方は覚えている。
彼女は動き回る敵に対しては小さく鋭い風を送る。
なので軌道さえ分かればスピードのあるジークにとってよけるのは容易い。
だがフィオナもジークの戦い方を把握している分、動きを読まれ、回避した所に辻風が待機しているということが何度もあった。
それでも幸いなことにフィオナは相手がフィレンツェだと思い込んでいる。
そこにジークの勝機があった。
「これで、終わりよ!!」
小さい風を何発も送るのは疲れる。
そのためフィオナは一気にかたをつけるためにしびれを切らすと大技を繰り出す癖がある。
「サイクロン!!」
「ここだ!!」
フィオナは一瞬ためを作る。
その隙にジークは一気に加速し、床が花火のような強く蹴られた音が響いた頃にはジークはフィオナの背後にいた。
「なっ!?何で私の癖を……!!」
呆気にとられたフィオナは扇を振り遅れる。
その瞬間にジークは低い大勢のままフィオナの足を払う。
「いった!」
勢いよく転んだフィオナは後頭部を床に打ち付ける。
フィオナはなぜジークしか知らない癖をフィレンツェが知っているのか気になったが、まずは急いで立ち上がろうとする。
しかしあろうことかフィレンツェはドレスなのにもかかわらず足を大きく開きフィオナの上に馬乗りになり、肩を床に押さえつけてきた。
「な、何…?何なの?」
さすがに恐怖を覚え、フィオナの体に力が入らなくなる。
するとフィレンツェは今度はフィオナの腰やら脇やらをまさぐり始めた。
「ちょっ、ちょっと!私にそんな気はまったく……」
フィオナが顔を紅潮させながら何かを呟いているがジークはフィオナのアイテムポーチを探すので精一杯だった。
普通ならば腰に下げておくものだが腰にも、可能性が限りなく低かったが脇も探したがどこにも見当たらなかった。
「ったく、どこだよ……。つうかこいつ、何で手で顔を隠してんだ?」
ジークはおも
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