「さて、俺はこれで失礼する」
ルーベルトは人質になった時にガジュマに奪われた赤いマントを羽織る。
背中には半円の月が描かれている。
「オーちゃん一緒に行かないの?」
ルルが首を傾げるとルーベルトは首を横に振った。
「貴様等はこれからノルゼンを目指すのだろう?俺は一刻も早くレラーブと合流するためにもピピスタへ向かわねばならん」
「そんなに急ぐ必要があるのか?」
ヴェイグが問うと、ルーベルトはヴェイグに背中を向けマントの半月を見せた。
「この半分の月が見えるか?そもそもこのマントは幼少時代に一度だけ俺に会いにきてくださった親父殿がくれたものなのだ。その時親父殿はこう言っていた。「お前が玉座に来た時、満月のマントと交換してやろう」とな。当時は会いに来いという親父殿の嫌がらせに過ぎなかったが、今は違う」
ルーベルトはマントを翻しながらヴェイグに向き直る。
「俺が玉座に行く時、即(すなわ)ち王となる時に他ならん!しかし、今のこの軽装のままではバルカに辿り着くことさえままならん」
ルーベルとは自分の服装を見下ろしながら俯くが、直後に顔をばっと上げ、拳を顔の前で握った。
「そこで俺は俺の甲冑を探す必要があるのだ!」
それを聞いてブライトはルーベルトの肩に手を添えた。
「お前……失くしたのか?貴重品の管理ぐらいはしっかりしろよな」
「違うわ!!」
ルーベルトは自分の肩に乗ったブライトの手を払い除ける。
「甲冑等来て逃亡してみろ。目立つことこの上ないだろうが」
「確かに一般人は甲冑なんて着ないもんね〜」
マオは腕を頭の後ろに回し、ヴェイグを見ながら言うがヴェイグは首を傾げるだけだった。
「そこで俺はレラーブに甲冑を隠すように命じたのだ。故に隠し場所はヤツしか知らん」
「それでレラーブに会う必要があるのね。でも、あんたの話だとレラーブって天然なんでしょ?隠し場所を覚えてるのかしら?」
ヒルダが呆れ混じりに言うと、ルーベルトは胸を張った。
「それならば問題無い!隠し場所を記しておくよう地図を書かせたからな!もっとも、ヤツが地図を失くしていなければの話だが……」
最後の方になるとルーベルトも自信がないのか目が泳いでいた。
「兎に角だ!王不在である不安定なこの情勢は俺がなんとかする。ジーク、次に貴様と会うのはバルカ城の玉座の間だ」
ルーベルトは不適な笑みを浮かべながら手を差し出す。
「あぁ」
ジークもまた手を差し出しお互いに握手をしっかりと交わした。
その時、ルーベルトの頭に付いている猫耳がピクっと動くとルーベルトはジークの手を見つめた。
「ジーク君危ない!!」
そこへカインが2人の握られた手を叩き切るかのようにチョップを振り下ろす。
「うぉっ!!」
空手チョップが直撃する寸前にルーベルトとジークはお互いの手を離すとカインのチョップは空を切った。
「だから危ねぇのはお前だ!!」
ジークが怒鳴りカインが言い訳をする傍らで、ルーベルトはジークと握手していた手を見つめていた。
「ジーク、貴様フォルスはどうした?」
カインと言い合いになっていたジークが振り返る。
「あ?」
「貴様、先程の戦闘で『分解』のフォルスを一度も使わなかっただろう。よもや手加減をしていたわけでもあるまい」
ルーベルトのまっすぐな視線を受け、ジークは後ろ髪をかいた。
「今俺のフォルスはたまにしか使えねぇんだよ。それに、分解のフォルスでもねぇよ」
「なに?そうなのか?」
ルーベルトは再び自分の手を見つめる。
すると、フィオナがジークとルーベルトの間に割って入った。
「ていうかさ、あんたピピスタへ行くんじゃなかったの?随分とのんびりしているようだけど?」
「あ、あぁそうであった!すまない、また今度詳しく話を聞かせてくれ」
ルーベルトはそれだけ言い残して赤い橋を渡り、キョグエンから出て行った。
それに対してルーベルトとばかり話すジークに背後でイライラしていたカインは今では口を開けながらポカーンと呆(ほう)けていた。
「俺達もそろそろ出発するとしよう。ここからならば夕方頃には着くはずだ」
「ここからノルゼンってそんなに早く着けましたっけ?」
ユージーンの言葉にアニーが疑問を抱くとユージーンはアゴに拳を当てた。
ちなみにここからノルゼンへの道程が意外と長く、これまでのように朝出発すればその日の夕方には到着するということは望めない。
そのため、どうしてもどこかでキャンプをする必要がある。
「いや、俺達が向かうのはノルゼンではない。ノルゼン方面ではあるが、目的地はその途中にある」
それでもいまいち理解することができなかったがヴェイグ達は桜が咲き誇るキョグエンの街を後にした。
キョグエンから出た一行はとりあ
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME