12人の中で1番上を浮上していたのはジークだった。
やはりパーティの中で俊足の持ち主なだけに脚力もそれだけ強いのだろう。
そのジークの腰の辺りにヴェイグの頭があった。
本来ならばティトレイが二番目かトップにいていいはずなのだが、彼は力の伝え方を間違えたのか洗濯機の中の洗濯物のようにグルングルン回っており、その分浮上するスピードはゆっくりだった。
そんな中、ジークの目の前にある山脈は段々と鋭さを増していき、頂上が近いことを表していた。
周囲を見渡してみても同じ高さの山脈が連なっており、しばらく浮上を続けると地上でユージーンが見上げていた山脈とは反対側の山脈の向こう側に海が見えた。
その海は夕日を反射し赤く染まり、光が乱反射し輝いていた。
「すっげぇ~」
「絶景だな……」
ジークと同じ景色を見ていたヴェイグも目を見開いていた。
山脈の高さを少し越えた高度までくるとノルゼン地方から西の方角にあるカレギア全土が一望することができた。
視界を南に向ければ桃色のキョグエンがあり、そこから南西に視界を移動させるとバビログラードの蒼の神殿が見える。
更にそこから西へ視界を移動させると砂漠地に竜巻が発生しているアニカマル、北上させるとサニイタウンや今は緑色のミナールが見えた。
「あれは何だ?」
ヴェイグが指差す方向、厚い雲が覆う最北端の地域から、光るミミズのような物体がニョロニョロとスールズに向かって移動していた。
ここからではミミズのようにしか見えないが、接近すればまた別の物に見えていただろう。
2人がそんな光景を眺めていると、不意に体が少し重くなった感覚がしたのと同時に浮上が止まった。
下を見ると全員山頂付近の高さまで来ており、ブライトの重力操作により全員停止していた。
そして海とは反対側の山脈、先程からユージーンが気にしていた山脈を見てみると山頂に丸い屋根の小屋のような遺跡のようなものが建っていた。
「多少バラけたが許容範囲だな。各自、俺の近くに集まれるように引っ張り合えるか?」
ブライトは自分の肩の高さにいるカインの足を掴む。
そしてカインの頭の高さにいるヴェイグの足を彼は掴むとヴェイグはジークのベルトを掴み、ブライトがカインの足を引くとすんなりとジーク達はブライトの傍へと手繰り寄せられる。
同様にして他のメンバーもブライトの周囲に手繰り寄せると、ユージーンは30m先斜め下に位置する遺跡のような箇所を指差した。
「あそこへ行きたいのだができるか?」
「ここまで来たらやるしかねぇだろ。お前らしっかりつかまってろよ?」
12人はお互いの体を密着させると、ブライトは遺跡のある方向とは逆方向へ両手で銃口を向け発砲した。
すると、その衝撃によりブライト達は遺跡側へと吹っ飛ぶ。
無重力エリアを抜け、体に鉛のようなものがのしかかる感覚が襲ってくると直線ラインで飛んでいたはずが放物線を描き落下を始めた。
「先生通り過ぎちゃう!!」
ブライトの腰にしがみついていたルルが真下を通りすぎようとする植物園のような遺跡を見下ろしながら叫ぶ。
高度に対し勢いが強すぎたらしい。
「心配すんな!」
ブライトは遺跡の真上まで来たことを確認すると不適な笑みを浮かべる。
すると放物線を描いて通り過ぎるはずが、突然体が重くなったと感じた瞬間に遺跡に吸い寄せられるかのように垂直に落下した。
5mはあった高さから一気に叩きつけられた12人は重たい音を立てながら目を回していた。
「む、無茶しやがって……」
重なり合った状態から退くため、ティトレイは立ち上がるが少し歩いてからやはりまだ目が回っており仰向けに倒れた。
「だから結構無茶するって最初に言っただろうが……」
12人の中の一番下で伸びていたブライトが苦痛に顔をゆがませながら苦笑いを浮かべた。
すると、小屋の方から誰かが慌てて走ってくる音が聞こえた。
「ヴェ、ヴェイグさん!?」
足音の主はピンクのズボンにピンクの民族衣装を羽織っており、赤いポニーテールを揺らしながら走ってくるなり口を両手の翼で覆ってヴェイグ達が仰向けになって倒れている惨状に驚愕した。
「久しぶり……ニノン」
マオは苦笑いしながら言うがニノンと呼ばれたガジュマの少女は羽をばたばたさせながら混乱していた。
「えぇっと、えぇっと……とりあえず家まで運びますね!」
ニノンはそう言って一度家に戻りロープを持ってくると12人の体を直列に繋がるように結んだ。
「ふぇっ!?ど、どうするの!?」
どうすると聞いたがルルにはこの質問の仕方であっているのかさえ分からない。
本当にロープで皆の体と繋いで何をするのか見当もつかないのだから。
「ご、ごめんなさい!悪いようにはしませんから……」
ルルは見た目的にニノンより年下か同年代あ
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