「バーンストライク!」
「ストーンブレイク!」
ヒルダとマオが同時に詠唱を終わらせる。
距離が空いていたジークやヴェイグの目の前を地面が隆起し、ギュナルスを囲んだ後ギュナルスの足元の地面が彼を突き上げるようにして隆起する。
それをギュナルスは跳躍することで回避し、そのまま空中で斜め上へ向かって一閃を振るう。
すると、眼前にまで迫っていた炎の球が真っ二つに切り裂かれ、ギュナルスを避けるようにしながら地上へ降り注ぐ。
「ふむ、今のは敵ながら絶妙のタイミングだったじゃないか?」
ギュナルスは地上に着地しつつ、不適に笑う。
「だが、その分今のチャンスを活かせなかったのは大きいぞ」
着地した瞬間を見計らっていたヴェイグ、ティトレイ、ジーク、カイン、ユージーン、ルルの6人がギュナルスを取り囲むように四方八方から攻撃を加える。
「閃空裂破!」
ギュナルスは身をねじり、跳躍しながら回転切りをすると、6人は弾き飛ばされる。
「紅蓮剣!」
ギュナルスは更に追撃をかけるかのように上空から剣を振るい、炎を纏った剣圧を飛ばす。
しかしそれは今ギュナルスの真下で尻餅をついている6人へ向けたものではなかった。
「くっ!」
扇を開いていたフィオナに向けられたものだった。
フィオナは船上にて特訓していた時のことをとっさに思い出し、扇を閉じてバックステップで着弾を回避する。
それでも紅蓮の剣圧はフィオナの足元に着弾し、爆風が雪を巻き上げフィオナを飲み込んだ。
「きゃあっ!」
「ちぃ!ちょこまかと!!」
ブライトはギュナルスの地面に照準を合わせる。
先程の6人は着地した瞬間を狙ったため間に合わなかった。
ならば着地する寸前を狙う。
これならばたとえギュナルスであろうとも回避はできない。
「空襲剣!」
しかしギュナルスは落下中にもかかわらず「Z」の文字を描くように変則的な動きを見せる。
そして斜め急降下した後地面を蹴り、ブライトとの距離を瞬時に詰めるとすれ違い様に一閃を入れる。
「な……」
計算し尽された剣舞に一言を漏らすのがやっとだった。
瞬間、ブライトの肩から腰までたすきがけのように傷がパックリと開き、血が噴出す。
「ブライトさん!!」
「先生!!」
フィオナの回復をしていたアニーがブライトの元へと走るが、ジークの顔面が蒼白に染まる。
「教師が教師なら生徒も生徒という訳か」
気付けばジークのすぐ側面でギュナルは姿勢を低くして居合いの構えをとっていた。
ジークは咄嗟に距離をとろうとする。
しかし雪に足を滑らせ、体勢を崩してしまう。
「やはり経験の差が仇になったな」
ジークは積雪地帯での戦闘の経験は無い。
それに比べてギュナルスは様々な環境を経験をしている。
だが、12人の中には降雪地帯のスペシャリストがいることを忘れてはならない。
「真空破斬!」
「無影衝!」
ギュナルスが鞘から剣を抜きながら鎌井達のような斬撃を飛ばしてくるのと同時にヴェイグは体勢を崩しつつあるジークを体当たりで退かしながら大剣を横凪に振るい、一太刀にて真空派を全て打ち消した。
「経験で言うなら俺はお前よりも上だ、ギュナルス」
曇天の空より氷の礫がポロポロと降り始める。
どうやら雹(ひょう)が降り始めたらしい。
しかしヴェイグは気にも留めずにギュナルスとの間合いを詰め、大剣を振り下ろす。
ギュナルスは剣を斜めにして構え、ギギギギギと音を立てながら大剣を受け流す。
大剣を相手に普通の剣が鍔迫り合いに持ち込もうと正面から受け止めればその衝撃で手首がいかれてしまう。
そのためギュナルスは大剣をいなすように受け流し、大剣を振りぬいたヴェイグに隙が生まれる。
そこへギュナルスは剣を横に振るうが、ヴェイグの斬り上げが予想以上の速度で到達し、弾かれる。
「ほう?」
ギュナルスは一旦距離をとるためにバックステップをするがそれでもヴェイグとの距離が開けず、ヴェイグが突き出す大剣を頬スレスレでかわす。
(このスピードは何だ?ヴェイグにここまでのスピードはなかったはずだが……)
よくみるとヴェイグの体が青白く光っていた。
実はヴェイグはジークの加勢に入る前に絶・瞬影迅という錬術をかけていた。
それによりスピードが上昇し、更に雪原という土地も手伝って何時も以上の速度が出ていた。
いや、厳密にはそう見えていただけにすぎない。
いくら雪原での戦闘に経験のあるギュナルスでもそれは転ばないように立ち回る術を知っているだけで歩き方を熟知しているわけではない。
それに対してヴェイグは生まれた時から雪と土の上を何度も歩いているため、歩き方から走り方まで体に染み付いている。
したがってギュナルスが無意識に速度を殺して移動しているのに対してヴェイグは平然と通常速度で追う
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