「飛天翔駆!」
ユージーンとティトレイの2人からの攻撃を正面で捌(さば)いているギュナルスの背後からカインが急降下してくる。
それをギュナルスは後ろも振り向かずにカインの足がギュナルスの後頭部をとらえる直前に身を捻った。
「閃空裂破!」
回転斬をしながら上昇していくギュナルスの渦にユージーン、ティトレイ、カインは弾かれる。
そこへジークとルルがデュナルスへ向かって跳躍する。
ギュナルスのこのパターンはこれまで散々見てきている。
彼はこのまま何もせずに着地しようとすればその隙を狙われると予想して空襲剣か紅蓮剣で周囲に威嚇する。
しかしそれをただ防ぐのではなく、こちらから向かい討てばまだ勝機を生み出せるかもしれない。
ギュナルスは宙を蹴り空中を水平移動する。
「飛燕連脚!」
「旋空閃!」
こちらに向かってくるギュナルスにジークは飛び蹴りを、ルルは如意棒をプロペラを回すかのように手首を回転さえ振り回す。
「空襲剣!」
ギュナルスは2人を気にも留めずに空中を走り抜け、まるでトラックが路上に放置された障害物を跳ね飛ばすかのようにジークとルルを吹き飛ばした。
「ジーク!ルル!」
背中を打ち付け、肺から酸素が押し出され咳き込むジークとルルにギュナルスが剣を振りかざす。
そこへヴェイグが走りこむ。
が、ギュナルスとの距離が2、3m開いたままのところでヴェイグの体を覆っていた青白いオーラが消えた。
「君も限界のようだな」
ギュナルスはターゲットをヴェイグに変更し、剣を横凪に振るうことでヴェイグに剣圧を飛ばす。
「させるか!」
それをヴェイグは大剣でガードするが思いのほか威力が重く、大剣を上に逸らしてしまう。
するとギュナルスは既に剣を鞘に収めており、一瞬のうちに抜刀する。
「真空破斬!」
ヴェイグが先程の衝撃で大剣を上段の構えのように持ち上げているおかげで首から下ががら空きのところへ真空破が飛び交う。
「させない!!」
そこへフィオナが真空破とヴェイグの間に割り込むと、扇で真空破を防ぎ切った。
フィオナとギュナルスとの距離は約1m。
フィオナの閉じた扇でも十分間合いに入っている。
「はぁ!」
フィオナはバットを振るようにして扇を振るう。
それをギュナルスはヴェイグ相手に散々やってきたように剣の刀身を斜めに傾け、扇を滑らせるようにして受け流す。
(やっぱり!)
フィオナの顔が確信に変わるのと当時にフィオナは振り切った体勢のまま扇をバッと開く。
「何!?」
ギュナルスがここに来て初めて動揺するがフィオナはお構いなしに振り切った体勢から返す力で右から左へ扇を振るう。
ギュナルスは跳躍し、扇からは逃れるが扇から発生した竜巻に捕まってしまいドラム式の洗濯機に放り込まれたかのように回転しながら上空へ打ち上がった。
「攻守交代よ!あんたらはアニーの陣の中で休んでなさい!」
「はぁ!?ふざけんな!」
フィオナの後方、今までマオ達が詠唱していた後衛とフィオナの間にギュナルスが落下するとフィオナは踵を返し、その背中に向かってジークは怒鳴る。
しかし突然膝に力が入らなくなり雪原に片膝を着いてしまう。
隣を見るとルルも両膝両手を地面について肩で息をしていた。
無理も無い。
慣れない雪原でギュナルスから距離を取ろうとしたり詰めたりとバスケットの試合が1試合はできるほど走り回ったのだから。
ジークはフィオナの言葉を信じてこちらに走ってくるアニーの姿を見た。
* * *
雹は先程よりも更に激しく、最早嵐のように吹き荒れていた。
大量に降ってくる雹はまるでバケツの中に詰めた大量の小石を頭から一気にかけられている気分だった。
その雹の嵐によりどこへ逃げてもダメージを負ってしまう。
確かに雪原は慣れているとは言え、ギュナルスは早目に決着をつけたかった。
フィオナから『意外』な一撃を受けて雪原に倒れていたギュナルスは一度頭を振り立ち上がる。
位置は中衛から後衛の間、ここからなら後衛に攻撃をしかけることができる位置取りだ。
ギュナルスは一瞬で状況整理を済ませ、さっさとこの戦闘を終わらせるために後衛へターゲットを向ける。
しかし今詠唱していなければならないはずのマオとヒルダの姿が無く、今詠唱しているのはブライトとジンだけだ。
(どこに……?)
一瞬、ギュナルスの右側の視界に光る物が移る。
その光は極一瞬で小さいものだったが見逃さなかったギュナルスは自分の目の前に一本の線を引くように剣を瞬時に振り上げる。
すると、何か弾くようなキンという音が剣から木霊する。
「今のが見えるなんて大したものね。それとも、ただの勘かしら?」
ヒルダがカードを指に挟むようにしてキャッチしながら笑みを浮かべる。
どうやら今弾いたの
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