ルルはぴょんっとフィオナのベッドに飛び乗りフィオナに身を寄せるようにしながらヒルダに滲み寄る。
「あ、皆さん気が付いたんですね」
タイミングを見計らっていたかのようにニノンが部屋に入ってくると、三人の視線がニノンに集中した。
特に約二名からの視線が何故か邪悪なものに満ちていた。
「ご、ごめんなさい!!まさか3人とも起きてるとは思わなくて!ノノノ、ノックとかするべきでした!本当にごめんなさい!!」
「だ、大丈夫だよニノン!?私達怒ってないから!!ね!?」
涙目になって必死になって謝ってくるニノンにルルが急いでベッドから出て駆け寄る。
ニノンはとりあえず落ち着くとここに来た用事を思い出し羽をパタパタさせる。
「そうでした!ヴェイグさん達も気が付かれたのでフィオナさん達の様子をみてくるように頼まれたんでした!」
「そう、みんな無事なのね」
ヒルダはベッドから降りると身支度をする。
「みんな下の談話室にいるのでお待ちしていますね」
「私達も準備ができたらすぐに行くわ」
* * *
ヴェイグ達男性陣は宿屋一回にある談話室のソファに腰をかけ、沈黙していた。
アニーからヒルダは目を覚ましたということは聞いたが未だに目を覚まさないフィオナとルルのことが気にかかっていた。
特にフィオナは実の父親と剣を交え、精神的なダメージも大きかったはずである。
もしかしたらショックでしばらくは目を覚まさないかもしれない。
今上の階では女子トークが行われてるとは知る由も無い男性陣の心には不安が募るばかりだ。
そんな時、ニノンがぽてぽてと階段を降りてくるなり羽で階段の上を指す。
「み、皆さん、フィオナさんとルルさんも目覚ましたよ!」
朗報に笑みと安堵の溜息が漏れる。
「はぁぁ〜〜〜」
ジークは特に大きな溜息を吐きながらソファに深く沈みこんだ。
彼にとってはフィオナもルルもとても大切な存在である。
勿論他のメンバーも大切だと思っているが彼の場合は特に強い。
そのため心労も計り知れないものがあったのだろう。
「良かったですね!ジークさん」
「あ?あ、あぁ……」
アニーが微笑みながら言うがジークは何故アニーがわざわざ自分に向かって言うのか分からず生返事をした。
するとアニーも何故ジークの反応が薄いのか疑問に思い首を傾げる。
(もっと喜ぶと思ったのに……)
アニーが首を傾げるのを見て訳が分からずジークも首を傾げた。
「あの2人は何をやってるんだ?」
そんな2人を見てヴェイグは誰とも無しに疑問を投げ掛けるが本人達も分かってないことを誰かが答えられるはずもなく、ヴェイグが視線を送っても皆肩をすくめるだけだった。
「3人とも降りてくるみたいだよ?」
ジンが耳をピクっと動かしながら言うと、次第に階段の上から声が聞こえてくる。
「ねぇヒルダ〜!誰なの〜?」
真っ先にルルの甘えたような声が聞こえてくる。
「また今度教えてあげるわよ。機会があればね」
続いてヒルダの落ち着いた声が聞こえたと思うとヒルダ、ルル、フィオナの順で女性陣が談話室に入ってきた。
談話室に入るなり全員無事なことを確認するとようやく全員の緊張の糸が切れた。
「まっ!今回は惜しかったんじゃねぇか?前回は手も足も出せなかったギュナルスをギリギリまで追い詰めることができたんだからよ!今回の反省を活かして次回は……」
ブライトの言葉をそこまで聞いてフィオナは俯いていた顔を突然上げた。
「お父さんはどうなったの!?」
「それなんだがな、フィオナ……」
ユージーンが言い憎そうに眉間に皺を寄せていると、また誰かが談話室に入ってきた。
「ダメだな、この街にはもう居ないようだ。やはりあの時の船で逃亡したと見て間違いないだろう」
「ウチ歩きすぎてもうクタクタや〜」
ルーベルトが報告する脇を通って着物の女性はソファにダイブすると足袋を脱ぎ捨て足を放り出した。
アニーとニノン以外全員、2人の顔を見て唖然とする。
「オーちゃん!?てか2人共何でここにいんの!?」
ジンがルーベルトと着物の女性を交互に見ながら問うとアニーがソファーから立ち上がった。
「この2人が皆さんを介抱するのを手伝ってくださったんです。それに、ギュナルスさんが逃げたのもこの二人が来てくれたからなんです」
「そっか……お父さんは逃げたんだ……」
フィオナは残念なような悔しいような複雑な心境のまま再び俯いた。
「そうか、命の恩人だったか。雹(ひょう)も降っていたというのにかたじけない。良ければ名前を教えてはくれないだろうか?」
ユージーンは着物の女性に訪ねると、彼女は小首を傾げて微笑む。
「ウチの名前はテーゼン・アイン。親しみを込めて『アイちゃん』て呼んでくれると嬉しいな
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