「俺は何があっても突っ走り続けるようなフィオナの性格は好きだけどな」
「……えっ!?」
一瞬、フィオナはジークが何と言ったのか分からなかった。
あまりにも自然だったから。
「どうした?」
フィオナが目を見開いてフリーズしているとジークが案じるように首を傾げる。
恐らくジークは無意識のうちに言ったのだろう。
他意は無いのかもしれない。
しかし他意があるかもしれない。
ただ聞き返すだけだというのに妙に緊張してしまい、顔が火照るのを感じる。
「あ、えと、それってどういう……」
「さっきからやかましいぞ!!」
突然フィオナとジークのそばに立っていた民家のドアが勢い良く開かれると、住人が飛び出してきた。
民家の近くでこれだけ騒いでいれば当然である。
だが出てきた住人は意外な人物だった。
「お、お前は漆黒の何とかの……!!」
「漆黒の翼のギンナルだ!!」
そう、民家から出てきたのは漆黒の翼のリーダー格、ギンナルだった。
彼も2人の姿を確認した瞬間驚きの表情を浮かべたが、すぐに怒りの表情へと変わった。
「なんでこんなところに居るの?」
「そんなものここが俺達の家だからに決まっているだろうが!」
当然のことを聞かれてギンナルは尚も怒鳴り続ける。
そういえば以前ノルゼンに拠点を置いていると言っていたが、まさか居を構えているとは思わなかった。
「アニキ〜、あんまり五月蝿いとまたご近所さんに怒られるでヤンス〜」
民家から今度はふくよかな体格をしたドルンブがミイラ化したミイラ取りの回収に出てきた。
「お前達三人で住んでいるのか?」
ジークの問いにギンナルは肯定し、家の中を指差した。
「あぁそうだ。中にルシアもいるぞ」
「だったら船も港にあるのよね!?」
フィオナは何か閃いたかのように手を叩き、ギンナルを問い詰める。
「あ、あぁ。あるにはあるが……」
それを聞いてジークとフィオナは頷きあう。
* * *
「ねぇ、あそこにあるのって漆黒の翼の船じゃない?」
倉庫での用事が終わり、港を通りかかるとジンが停泊している一隻の黒い船を指差した。
「確かにそうだな。ということは奴等もこの街にいるということか」
ユージーンは「これは使えるかもしれん」と、今正にジークとフィオナが考えていることと同じことを考えていた。
「まずはジークとフィオナの2人と合流するのが先だ。広場に戻ろう」
ヴェイグが言うと全員頷き、レベッカと別れて港を後にした。
広場に戻ると相変わらず人魚像が真っ二つにされたまま放置されていた。
「ジークとフィオナはまだ戻ってないみたいだね」
マオが周囲を見渡しながら言う傍らで、ヴェイグは雪原に頭を突っ込んでいる人魚像の上半身をしゃがみこんで触れていた。
「ユージーン、あんたのフォルスでなんとかくっ付けることはできないのか?」
ユージーンに背中を向けたままヴェイグは訪ねると、彼はアゴに拳をあてた。
「不可能ではない。だが、どうやって持ち上げる気だ?」
「どれどれ?」
試しにティトレイが袖まくりをするフリをしながら人魚像の上半身に歩み寄ると、その場で腰を落とし抱きかかえ、渾身の力で引き上げる。
「うおおおおおおお!!!!」
「びくともしないね」
ティトレイが尚も雄たけびを上げるなか、カインが反対側から拳でコンコンと上半身をノックする。
「だ、だめだあぁぁぁ……」
力尽きたティトレイが雪原に仰向けに倒れる。
「ルルのフォルスで小さくしてから持ち上げれば良いんじゃねぇか?」
「で、でも下半身に乗せて大きくした後危なくないですか?」
ニノンの言うとおり、上半身を下半身の上にセットして大きさを戻した時にバランスを崩して倒れてきたら誰も支えることができない。
「ならばバランスを崩す前に成形するまでだ」
ユージーンは気合を入れるかのように首を回し、肩の筋肉をほぐす。
ということでまずルルが人魚像の上半身にフォルスをかけ小さくする。
ねんどろいどサイズまで小さくしたところでブライトに肩車してもらい人魚像の下半身へ上半身をセットする。
「いくよ!」
その反対側ではユージーンが人魚像の土台に両手を突いていた。
「いつでも良いぞ」
「お願いします!」
念のため、合図係として起用されたアニーが掛け声をかけると、ルルは上半身を瞬時に巨大化させる。
「今です!」
「むおおおお!!」
ユージーンのフォルスが人魚像全体を包み込む。
すると人間部分と魚の部分の切れ目があっという間に消え失せた。
「上手くいったようね」
ヒルダは満足そうに人魚像を見上げる。
ルル、ブライト、ユージーン、アニーの4人も安堵する。
「ホンマ、フォルスって便利やな〜」
「フォルスはヒトのた
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