街の入り口とは反対側の裏から街の外へ出る。
すると、夕日を反射する銀色の機体がそこにはあった。
「こいつはでっけぇな……」
ブライトは思わず口を開けたまま機体を見上げた。
その大きさは先日戦ったリヒトモスインセクトの大きさそのもので、シャオルーンと同等の大きさはある。
「エンジンのメンテもすませてあるから、あとはこいつを軽くして積めば完成だな」
モブ子が台車に乗せてきたエンジンを見せると、ナイラから預かった時は錆だらけだったエンジンがピカピカの新品になっていた。
「でもどうやって軽くするんだい?」
カイトが首を傾げる。
2人にはまだエンジンを軽く手段を説明していないのだから当然である。
「わ、私に任せてください!」
論より証拠ということでニノンがエンジンに歩み寄る。
そして深く息を吸った後ニノンがエンジンに触れる。
すると、エンジンがヘリウムガスの入った風船のようにふわりと浮き上がった。
「マジかよ!?すげぇじゃん!!」
モブ子は驚きながらもエンジンが飛んでいかないように台車に押さえつける。
「す、すごくなんかないです!!明日になったらまたフォルスを掛け直さないといけませんし、私からあんまり離れすぎると効果が切れてしまうんです……」
「そっか〜。僕も操縦士として機体から離れるわけにはいかないし、これから僕達一緒にいることが多くなりそうだね♪」
カイトは微笑みながら言うとニノンは顔が真っ赤になった。
「もしかしてあいつ、誰にでもあんなこと言うのか?」
ジークはジト目でカイトを見ながらフィオナに訪ねるが、フィオナは首を傾げた。
「あんなことって?」
「いや……なんでもない」
「それにしても、本当にこれを2人だけで、しかもたった2日で造ったのか?」
ヴェイグは銀色の機体に触れながら問う。
「だから余裕だって言ったろ?」
「僕は設計図を書き直しただけで、ほとんどの作業は彼女1人でやったんだけどね……」
カイトは申し訳なさそうに苦笑いするのに対してモブ子は自慢げに自分の胸を叩くとその振動でメロンが揺れた。
「善は急げだ。エンジンの取り付けは今夜中にやっといてやるから明日またここに来な」
「そんな……疲れてるのにこれ以上無理したら体が壊れてしまいますよ?」
アニーが不安そうに言うもモブ子はそんなアニーを笑い飛ばした。
「別に疲れてねぇよ。こっちも結構早く仕上がったから昼間から暇してたぐらいだからな」
「君達のほうこそ疲れてるんじゃない?今日はゆっくり休んできなよ」
カイトの言うとおり、今日はギュナルスとの戦闘により疲れが残っていた。
「それじゃ、俺達はお言葉に甘えて休ませてもらうとしようぜ?」
ティトレイは背伸びをしながら言うと、ヴェイグ達は頷いた。
「明日寝坊すんなよ!」
モブ子は片手で軽くなったエンジンを掴み上げながら、街に戻るヴェイグ達を見送った。
* * *
ピピスタの街に戻った頃には夕日は沈み、星が夜空を瞬いていた。
ヴェイグ達は宿屋へ行き夕飯を済ませると自由時間となり各々思うところがあるのか自然解散となった。
(私はどうしよう……。とりあえずジークにあの言葉の意味を聞きたいけどどこに行ったのかしら?)
夕飯が済んだ直後にはもう姿を消していたジークを探すため、フィオナはロビーを見回した。
しかし姿は見当たらない。
(何時ものジークならベランダかバルコニーだけど、ピピスタにはそんな場所なかったはずよね……)
フィオナはジークの行きそうな場所を考えてみる。
「こんなところで突っ立って何してんだ?」
「っ!!」
不意に背後から話しかけられ振り返ってみるとそこにはお膳を持ったジーク本人が立っていた。
「べ、別に私がどこで何してようと勝手でしょ!?」
ジークを探してたなんて言うと何故か負けた気になるような気がしたフィオナはつい突っぱねてしまったがジークにとっては何時ものことなのでスルーした。
「やることないならこれをカイト達の所に持ってってくれないか?」
ジークに差し出されたお盆の上には大きめのおにぎりが二つとレモンパイが3つ乗っていた。
「何で私が持っていかないといけないわけ?」
「だってお前やることないんだろ?」
「そんなことな……いこともないけど……」
やはりジークに用があるとは言えなかった。
「あと、それを運び終わったらで良いんだけどよ……」
フィオナがもどかしさを感じていると今度は何故かジークが言い難そうに困った顔をし始めた。
「話があるから後で塔の前に来てくれねぇか?」
「……え?話?」
ジークは黙って頷いた。
これはフィオナにとって願ってもいないチャンスである。
「わ、分かった。これを届けたらすぐに行く
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