夜が明けて、ヴェイグ達は再びピピスタの裏側へ集った。
日もまだ浅く、涼しげな風が吹くなか銀色に輝く二枚羽が悠然と佇んでいる。
その機体の前に緑のモブ子とカイトは立っていた。
「おはよう、みんな」
「本当にもう飛べるの?」
カイトが出迎えてくれるなりマオは銀色の機体を見上げた。
「誰に向かって言ってんだ?完璧に仕上げてあっから安心しな!」
緑のモブ子が胸を張るとメロンがたゆんと揺れる。
「ちなみに名前もあるんだよ?」
どうやらこの機体を呼称する時に名前がないといろいろと不便なためカイト自ら命名したらしい。
「羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)っていうんだ。結構悩んだんだけど、どうかな?」
感想を求められ、ヴェイグ達は固まった。
(な、名前が長すぎて覚えられません!)
ニノンはあたふたしながらブライトを見る。
(完全に中二病だな……)
視線のパスを受けたブライトも口を引きつらせながらジークを見る。
すると、何故かジークの目が輝いていた。
「か、かっけぇな……」
「「ぇえっ!?」」
「だろ!?」
ヴェイグ達が一斉に引くのとは対象にカイトも目を輝かせた。
「特に残骸(レムナント)ってところがミソだな!」
「そうなんだよ!羽衣だけじゃ何か気取ってる感じがしてさ!」
「あたしは改名しろって言ったんだ……」
ジークとカイトが熱弁する傍らで額に手を当て溜息をつきながらモブ子は言うと、ヒルダが肩を二回叩いた。
「設計図を書いたのはカイトだしジーク君も気に入ってるみたいだから別に良いけどさ、流石に長すぎない?いちいちその……セレスティなんとかとか言ってたら疲れちゃうよ」
カインが苦笑いをしながら提案する。
その後ろではヴェイグ達も強く頷いていた。
「羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)ね。でも確かに呼ぶ時は不便かもね」
(呼ぶために名づけたんじゃなかったのか!?)
珍しくヴェイグが心の中でツッコミを入れる。
「だったらレムナント(残骸)に略すか」
「そうだね……。羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)略してレムナントならまだマシだね」
(何で残骸を残すんだ!?羽衣が主題じゃないの!?)
ジンが心の中でツッコムがジークとカイトに届くことはなかった。
「でも僕達の心の中では羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)だからね!」
「当たり前だ!」
カイトとジークは爽やかな笑顔を交わす。
それをフィオナは冷めた目付きで見ていた。
「アホらし……」
「と、兎に角!いつでも飛べっから準備できたらカイトに声をかけること。以上!」
「そういえばまだグミを買い足していなかったな。一旦ピピスタに戻るか」
ヴェイグの提案により一同は一旦街に戻ることにする。
ならばその間にモブ子もシャワーを浴びたいということで街まで一緒に戻り、それから別行動となった。
ヴェイグ達は新しい武器が入荷されていないか等いろいろな店舗を巡っていると日も高くなり街の住民も外に出てき始める時間帯となった。
しかし住民の様子が何時も通りではなかった。
確かに何時ものように外に出て井戸端会議をするヒトはいるのだがその数が多い。
しかも大勢がまとまって話しており、表情も曇っていることから何やら明るい話題ではなさそうだ。
ヴェイグ達は気になり井戸端会議より少し離れたところで立ち止まり、聞き耳を立てる。
「聞いたか?昨日アニカマルででっかい喧嘩があったらしいぞ?」
「そうなの?先週バルカで暴動があってからなんか物騒じゃない?この前だってキョグエンで暴動があったって言うじゃない?」
「昨日と言えば、暴動じゃないらしいがノルゼンでも派手な喧嘩があったみたいだ。何でも1人の刀を振り回す男を50人がかりで止めようとしたのに返り討ちにあったっていう話だ」
「何それ?それってゲームかなんかの話じゃないの?極道もののやつ」
最後の話は明らかに尾ヒレが付いていたがアニカマルの話を放っておくわけにはいかない。
恐らくそこにいるのはファルブとジルバのどちらかだ。
まだ大事にはなっていないようだが、到着が遅れれば遅れた分だけアニカマルの被害が大きくなってしまう。
「すぐに出発するぞ!」
ユージーンの号令によりヴェイグ達はピピスタの裏へ回ろうとする。
「ふぃ〜さっぱりしたぁ〜」
そこへ調度宿屋から出てきた緑のモブ子と鉢合わせになった。
アニカマルの件で危うく忘れそうになったがモブ子をベルサスに送り届けるという約束もしている。
しかしベルサスへ行ってからアニカマルでは遠回りになってしまい時間を大きくロスしてしまう。
北海道から沖縄へ行くのに中国へ寄るようなものだ。
「深刻な顔をしてどうした?もしかしてあたしがシャワーを浴びているところを覗
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