「ユージーン!!」
それを確認してから今まで我慢していたマオがふらつく足で躓きながらもユージーンに駆け寄る。
ユージーンの側ではアニーが既に応急手当をしていた。
「大丈夫よマオ。とりあえず一命は取り留めたわ。でも宿屋でちゃんと治療しないと安心できない状態なの」
「だったら俺が話をつけてきてやるよ」
「僕も行くよ!」
アニーの話を聞いたティトレイが申し出ると、カインと共に2人は宿屋へ走って行った。
「ファルブはどうなったんだ?消えたように見えたが、あれは死んだのか?」
ブライトはマオとヴェイグに訪ねると、マオが首を横に振った。
「ファルブのフォルス反応が遠ざかっているから、一応まだ生きてるみたい」
「てことは逃げたのか。あいつ、どんだけしぶといんだよ?」
ジークが言いながら歩み寄ってくる。
すると、猛スピードでダッシュしてきたフィオナが勢いはそのままで拳を振りかぶると、突き出された拳がジークの顔面にめり込んだ。
顔面にナックルをくらったジークはそのまま地面をバウンドしながら転がった。
「あんたが言うな!」
「フィオナさん怪我人を増やさないでください!!」
気絶して動かなくなったジークにアニーが慌てて駆け寄る。
「だ、だって……ジークが勝手に死にそうになるから……」
「フィオナ……ツッコミに力を入れすぎだ」
「ご、ごめんなさい……」
ヴェイグが溜息交じりに言うと、フィオナはばつが悪そうな顔をした。
「お〜い!話つけてきたぜ〜!」
そこへティトレイが手を振りながらこちらに走ってくる。
しかしその隣を走っていたカインは倒れて動かなくなっているジークを確認するなり猛ダッシュで駆け寄った。
「ジーク君どうしたの!?もしかしてファルブに……!!」
カインが険しい顔つきで周囲を見渡す一方で、フィオナは視線を逸らして口笛を吹いていた。
「兎に角ユージーンを運ぼう。ティトレイ、手伝ってくれ」
「おうよ!」
「俺も手伝うぜ!」
ユージーンの重量をヴェイグとティトレイ、そしてブライトの三人で何とか持ち上げる。
「じゃあジーク君は僕が運ぶね」
カインがジークの脇の下に自分の肩を通していると、フィオナが一歩歩み寄った。
「わ、私も……手伝おうかしら」
「別に僕1人でも大丈夫だけど……何で?」
カインが心底怪しむような目付きで見上げてくるためフィオナは踏み出した一歩とは反対に一歩後ずさった。
「なっ何でも良いでしょ!良いから手伝わさせなさいよ!」
「そうでもしないと罪悪感が半端無いもんね〜」
「うるさい!」
ジンが後ろで冷やかすのに対してフィオナが怒鳴ると、カインは首を傾げた。
「まぁいいや。じゃあ反対側を頼むよ」
カインはジークの右側の脇に肩を入れており、左側が空いていた。
そこへフィオナが肩を入れ、同時に立ち上がると先に宿屋へ向かったヴェイグ達を追いかける。
* * *
アニカマルの宿屋は入り口にも中にも扉は無く吹き抜け状態となっていた。
ただ受け付けの隣に暖簾(のれん)があり、それをくぐると広い1室を客室とした部屋が一部屋あるだけだった。
リラックス効果があるのかお香も焚かれており、そんな中ジークとユージーンは同時に目を覚ました。
「ユージーン!」
「マオ……」
ユージーンが上体をゆっくりと起こすと、一目散にマオが抱きついた。
「心配かけたな」
「まったく、二度も死なれたらたまったもんじゃないわ」
ヒルダが腰に手をあて、溜息を吐く。
「マオも良かったね!」
ルルは微笑みながらマオを見守り、ほっとして緊張の糸が切れたのかブライト達もユージーンの周りで談笑を始める。
「……俺も気が付いたんだが」
そこで1人ポツーンと取り残されたジークが呟いた。
するとジークとユージーンの間にいたカインがジークの方へ振り返る。
「ジーク君は勝手に気絶しただけなんでしょ?本当に人騒がせなんだから」
カインは笑うと再びユージーンへ向き直った。
「……だよな。心配されるようなことでもねぇか」
逆に心配されても困る、と思いながらジークは自分の両手に視線を落とす。
すると、自分の背中に誰かの頭が当たった感触がした。
「心配したわよ……」
声はフィオナのものだった。
フィオナは頭をジークの背中に乗せたまま続ける。
「すごく心配したんだから……」
「……わるい」
ジークも姿勢を動かさずに応える。
「ジークが死んじゃうんじゃないかって思ったわ……」
「俺は死なねぇよ」
「だったら……」
フィオナは一層強く頭を押し付けてくる。
「だったら簡単に死にそうになってんじゃないわよ」
「あぁ……」
「水もらってきたよ〜」
そこへカイトが入ってくるとフィオナ
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