粗方体力も回復したヴェイグ達はそろそろ出発するために次の目的地をどこにするか相談していた。
「まだ会っていないのはジルバだけか……」
宿屋で円を描くように座っている中でカインがおもむろに呟く。
「これまでの傾向から考えると……」
ブライトは円陣の中心に広げたワールドマップの中心にある孤島を指差す。
「バルカだが、そこはサレとトーマが担当だったみてぇだし、それ以外だとどこだ?」
これまでの傾向というのはこれまで6芒星は各々の縁のある場所に出現しているということである。
その法則が正しいのならばジルバが出現するのはバルカということになるが、そこは既にサレとトーマが撃破されている。
「同じ場所を今度はジルバが担当するっていう可能性は?」
カイトが質問するとマオが首を横に振った。
「ジルバはかなり計算高いから効率が悪いことはしないと思う。思念も一度発生させたヒト達よりもまったく違うヒト達をターゲットにしたほうが効率良さそうじゃない?」
「そうか?」
ジークがいまいち納得できず見渡すとヴェイグ達は一理あると言わんばかりに頷いた。
「もしくはユリスと共にいることも考えられる。ヤツの、最後の最後まで安全圏で静観する性格を考えるとユリスの側がヤツにとっての最たる安全圏といえるだろう」
ユージーンが腕を組みながら言うと、ジルバと面識のあるヴェイグ達6人はえらく納得した。
「でもユリスどこにいんの?」
ジンが全員を見渡しながら質問するが、全員難しい顔をしてワールドマップを睨みつける。
すると、ワールドマップを見つめることに飽きたマオが腕を頭の後ろで組んだ。
「ワールドマップを見てても分からないんだから適当にあちこちの街を巡って探してみようヨ!レグナントでどこへでもひとっ飛びなんだからさ!」
「それもそうだな!」
ブライトも腕を天井に向かって上げて伸びをしながら賛成する。
「いつでも飛べるようにしておくから準備ができたら声をかけてよ!」
こうしてヴェイグ達は出発する準備をすませると村から少し離れたところにとめてあるレグナントへ向かう。
* * *
「行き先はどこでも良いんだったな?」
レグナントに乗り込もうとするが、先頭を歩いていたヴェイグが歩みを止め振り返ると全員の足が止まる。
「なんだヴェイグ?家が恋しくなっちまったか?」
ティトレイが茶化すように言うが、ヴェイグは肯定も否定もしなかった。
それが逆にティトレイに堪えたのか急に冷や汗をかき始めた。
「わ、悪かったって!確かに、ヴェイグの故郷であるスールズが狙われない保障なんてないもんな」
「どうせあちこち周るのだし、良いんじゃない?」
ヒルダの場合、フォローや気遣いではなく、本当にどこでも良いようだった。
「じゃあスールズに向かって出発するよ!」
全員が席につくと、行き先を聞いたカイトが最終確認をしてからアクセルを踏む。
レグナントはエンジンの回転数を上げながら進み始め一定の速度まで加速すると大空へと飛び立った。
* * *
ジークは機内の窓から下を見下ろす。
すると調度山脈の真上を飛んでおり、ジークの背中部分にある窓からはバルカ側の海がのぞめた。
その山脈と海の間に大陸が広がっている部分にさしかかると、一つの街が見えた。
その街は川を跨いで一つの街となっているようで、その街の周囲を赤い色の線が囲んでいるように見えた。
「そろそろベルサスの真上ぐらいか?」
ヴェイグがそわそわした様子で訪ねる。
ジークは窓からヴェイグへ視線を移してみると、一見落ち着いているように見えるが目が泳いでいた。
よっぽど心配なのだろう。
「ベルサスなら今通過したところだよ」
前方のコックピッドから声が飛んでくる。
「そうか、今のがベルサスだったのか……」
ジークは再び窓の外に視線を戻す。
しかし既に山脈の影になって見えなくなっていた。
以前ヤコからベルサスで薔薇を養殖していると聞いたが、先程の赤いラインがそうだったのかもしれない。
(スールズの次はベルサスに行くように言ってみるか)
「そういえばマオ、さっきナイラと何を話してたの?」
外の景色に飽きたのかルルが訪ねるとマオも視線を窓の外からルルへ移行する。
「早急にボクのサインが必要な書類があったんだって」
「じゃあスールズに行った後バルカに行くの?」
「ううん、さっきサインしたからその必要はないみたい」
「ナイラがその書類とやらを持ってきていたのか?」
気になったのかマオとルルの会話にブライトが介入した。
「うん、よっぽど早くサインが必要だったみたいだヨ?」
「どんな内容のものだ?」
「それが……さっさとサインするように急かされてちゃんと確認して
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