ナイラは眼鏡のブリッジを人差し指で上げる。
「ユリスはネレグの塔にいる」
「ネレグの塔っていやぁ、ノルゼンの北にある塔じゃねぇか!」
ティトレイの言うとおり、ネレグの塔とはノルゼン地方の最北端に位置する塔の名前である。
「妙だな、レンパオ空中庭園に上がる際にネレグの塔も見えたが、あの時は別段変化はなかった」
ユージーンは腕を組みながら、先日のことを思い出す。
「ユリスは特殊な結界を張ってたから視認できなくて当たり前」
「それなのによく見つけることができましたね……」
アニーが感心したように言うとナイラは胸を張った。
「それはなんと言っても私だから。それに、今日は新月だからフォルスが弱まっているのもあると思う」
ヴェイグは腰に着けている月の満ち欠けによって光が変わるアクセサリーを見た。
すると、確かに光は一切ない。
「それってナイラの力のおかげじゃなくて、たまたま新月だったから見つけられただけじゃないの?」
マオが軽い調子で言うと案の定ナイラに睨まれた。
「フォルスって、月に左右されるものなの?」
クレアはヴェイグに訪ねるが、彼は分からないという代わりに首を横に振った。
「まだ実証はされてないし、実感できるほどパワーが落ちることもない。ただ不安定になる」
ナイラはテーブルの下を指差す。
「私も本当ならテーブルの下なんかに出てくるつもりじゃなかった。おかげで頭痛いしつまらないものを見せられた」
「あんたねぇ〜……!!」
フィオナの怒りのボルテージが上がっていき、ニノンがアニーの背中に隠れる。
「要するにユリスを討つなら今日しかない。明日になって移動されると視認できないから追えなくなる」
ナイラの言葉に、全員が生唾を飲む。
「私達は城の警護とかで手が離せない。だから援護とかは期待しないで」
確かにユリス討伐のために戦力を注ぎすぎると今度は逆に城や他の街の護りが手薄になってしまい伏兵がいた場合対処ができない。
「それじゃ、世界の命運は頼んだから」
それだけ言ってナイラはそそくさと影の中に潜って行った。
「タイムリミットはあと半日か……時間がねぇな」
ブライトは苦虫を噛み潰したような顔で言うと、ラキアとマルコが不安そうな顔をしてヴェイグを見る。
「ヴェイグなら大丈夫よね!夕飯の準備をして待ってるわ!」
不穏な空気を打ち消すかのようにクレアの声が家中に響き渡る。
「あぁ、心強い仲間もいる」
ヴェイグは1年前より2倍に増えた仲間を見渡す。
「俺達は絶対に負けない。だから、父さん、母さん、安心して待っててくれ」
それを聞いてマルコとラキアは苦笑いをしながら溜息を吐く。
「ヴェイグ、それに皆さん、無理は禁物ですよ」
「危なくなったら逃げても良いんだ。新月はまた来るんだしな」
マルコとラキアの言葉に全員が頷く。
そして、ヴェイグがクレアから大剣を受け取り、外へと向かう。
「行ってきます」
ヴェイグ達13人は最終決戦の舞台へと向かう。
* * *
「もう良いのかい?」
レグナントに乗り込むとカインがコックピッドから訪ねてくる。
「そういえばカイト、お昼はどうしたの?」
調度乗り込んだフィオナが訪ねるとカイトは後部席に身を乗り出した。
「ジークが持ってきてくれたよ」
「お前が集会所でクレアと話している時にな」
ジークがフィオナとコックピッドの隙間を縫いながら座席へ向かう。
「ジークあんた……」
フィオナはジークの背中を見つめる。
「カイトのことが好きなの?」
直後、不意を突かれて驚いたジークとカイト、そしてフィオナがレグナントの天上に頭を強打した。
一方確信犯のヒルダは悠然と座席に座る。
「あ、あんた!随分とカイトに気を回すと思ったらそういうことだったの!?」
「んなわけねぇだろ!!」
フィオナは頭頂部を片手でおさえながらジークの背中を追うとジークも頭頂部をおさえながら否定する。
「カイン君頑張らないと!!」
一方でルルがカインに向かって胸の前でガッツポーズをする。
「なんていうか、村を出ても出なくてもジーク君はジーク君なんだね……」
「どういうことですか?」
カインの言葉にアニーが首を傾げる。
「クインシェルにも居た……いや、居るんだよ、ジーク君の熱狂的すぎるファンが1人だけ」
「熱狂的っていうか病気でしょアレは。好き過ぎて近付くこともできないって言うんだから」
相変わらず言い争っているジークとフィオナを他所にジンも座席へ着く。
「ジ、ジークさんも隅におけませんね!」
「そいつ、カインの双子の姉なんだけどな」
いつのまに聞いていたのかブライトが口を挟む。
「ほう?カイン、お前にも姉がいたのか」
「いや、あ
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