「………あれ?」
闇の回廊を使ってトワイライトタウンに向かおうとしていた筈なのに、気がつけば見知らぬ場所に辿り着いてしまった。
湖の上に立つ石造りの土台。この場所へ至るための橋は見当たらない。
そして、荘厳にそびえ立っている教会は神聖な雰囲気を放っている。
「………行ってみるか」
靴音を響かせながら俺は教会へと足を踏み入れる。
《ザ・ワールド》
教会には幾つかの長椅子と、奇妙な傷跡の付いた祭壇だけが置かれていた。
教会ならば崇めるべき神の像がある筈なんだけど……?
「おっと?先客かねぃ?」
「あ?」
教会の入り口に妙な男が現れ、驚きの声を上げていた。
黒髪を一本に束ねて後ろに垂らし、胸元を大きく開けたジャケットからは奇妙な紋様の描かれた素肌が見えている。
人当たりの良さそうな多少皺の刻まれた顔に有る青色の目には驚きの色を浮かべていた。
「いやー、今日は【グリーマレーヴ】に一番乗りで来れたと思ったのにな〜……ねっねっ、おたくの名前は?因みに、おっちゃんはメビウスってぇの」
「えっと、俺はハリスだ」
勢いに押され、思わず名前を言った俺に満面の笑みを浮かべながらメビウスが近づいてくる。
「ほーハリス君って言うのかー……ハリス君、見たことない服装だねぇ?もしかして………」
笑みを深くし、手を伸ばせば届く距離にまで近づくと、
「チートか?」
どこからか、刀身が三つに別れた双剣を取り出して俺の首に当てる。
「なっ?はっ……えっ!?」
「動くな。名前が表示されねぇから最初はNPCかと思ったが、まさかチーターとはな」
『全く、PCを別のにしているのにチーターの取り締まりをする羽目になるとはな』などとボヤきながらメビウスはどこかに連絡をしようと何やら右手を動かす。
………あれ?通報されたらヤバくね?
「………あ、ヤッホー八ちゃん。今さーっうぉ!?」
指先から圧縮したウォーターを放ち、首元の三叉剣とメビウスを俺から引き離す。
「あらま……わり、チーターにちょっと反撃された。念の為に来てくれ、場所は《Δ隠されし禁断の聖域》【グリーマレーヴ大聖堂】だ」
三叉剣を空中で一回転させながら奴は通話を終え、切っ先を向ける。
「さあて、おっちゃんと一緒にしばらく踊ってもらうぜ?ハ〜リッス君」
俺も武器を取り出し、応じるように切っ先を向ける。
「はっ!俺のリズムに合わせられんのか?メビウスさん」
……ぶっちゃけ、さっさと帰りたいです
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