その後、ソラ、リク、カイリの三人はサクヤの手掛かりを探すため村中で聞き込みを行った。
しかし、手掛かりは全くつかめず気が付けばかなり時間がたっていた。
あちこち歩き回ったせいか、足が妙に重い。
4人は休憩がてら、海岸へと足を運んだ。
「ダメだ・・・全然手掛かりが見つからない」
海岸に着くなりソラは、服が砂で汚れるのも構わず座り込んだ。
その隣にリク、カイリ、サクヤが並ぶ。
「一番いいのはサクヤが何かを思い出してくれることなんだけど・・・」
「どうだサクヤ。何か思い出したことはあったか?」
リクが尋ねると、サクヤは首を横に振った。
それを見て、3人はがっくりと肩を落とす。
「でも。今思い出さなくても、明日、明後日。もっと時間が経てば何か思い出すかもしれない」
明るい声でそう言って立ち上がるソラに、リクは視線を向けて言った。
「もし、もしも、サクヤの記憶が戻らなくて、ずっと身元が分からなかったらどうするんだ?」
「えっ?」
ソラは驚いてリクの方を見た。
ずっと身元が分からなかったら。
正直なところ、ソラは何も考えていなかった。
だが、リクの言う通り。サクヤの記憶は戻るかもしれないし、戻らないかもしれない。
仮に戻るとしてもいつになるか、わからない。
けれど、ソラは明るい声でこういった。
「その時は。俺がずっとサクヤの面倒を見るよ」
「一生見つからなかったら?」
「一生責任を持つ!」
「えええええっ!!!」
この言葉はリクだけでなく、カイリも驚かせた。
ただ、サクヤだけは不思議そうに3人を見ている。
「さ、流石に一生はまずいよソラ。そんなことにならないように捜そう。ね!」
そう叫んでカイリは足早に村へと戻っていった。
その後ろ姿を、残された3人は呆然として見つめている。
「・・・なぁ、リク。何でカイリはあんなにあせっているんだ?」
「さあな。自分の心に聞いてみたらどうだ?」
リクはからかうような口調でそう言うと、カイリの後を追って村へと戻って行った。
「いったいなんだったんだ?」
ソラは訳が分からないといった顔で、頭をかいた。
「まあいいか。俺たちも早く行こうぜサクヤ」
そう言ってソラはサクヤの手を掴んで、村へ向かって歩き出した。
だが、ソラたちの奮闘もむなしく、結局その日は何もわからないまま夕方を迎えてしまった。
ティーダ達も何も収穫がないまま戻ってきてしまった。
リクとカイリと別れて、ソラとサクヤは家に帰る道を急ぐ。
「ごめんな。サクヤの手掛かり、何も見つからなくて。だけど、明日もあるんだ。明日になったらきっと何かわかるよ。一緒に頑張ろうな」
ソラがそう言うと、サクヤはゆっくりとうなずいた。
それにつられるように、ソラも笑顔になる。
だが、家に帰った二人を待っていたのは、難しい顔をしたソラの両親だった。
「あ、お帰りなさい二人とも。どうだった?何かわかった?」
母が聞くと、ソラは首を横に振った。
「今日はダメだったけど。でも俺、絶対サクヤの身元を捜して見せるから」
「サクヤ?名前は思い出せたのかい?」
今度は父がそう尋ねると、ソラは再び首を横に振った。
「名前は付けたんだ。まあ、考えたのは俺じゃなくてリクだけど」
ソラがそう答えると、二人は表情を再び曇らせた。
そして、ソラの方を見て口を開く。
「ソラ。その子、サクヤちゃん、だったかな。彼女はやっぱり村長さんに任せようと思うんだ」
父がそう言った途端、ソラの目が見開かれた。
「お父さんとも相談したんだけど、私たちもいつまでもこの子を置いておくわけにはいかないし、頼りになるのは村長さんだと思うの。だから・・・」
「いやだ!!」
母の声を遮って、ソラが大声で叫んだ。
「俺、決めたんだ。絶対サクヤの身元を捜すって。もしずっとわからなかったら、俺がずっと面倒を見るって・・・!」
「ソラ!わがままを言わないの。大体、 面倒を見るって。犬や猫じゃないのよ!」
「もういい!!」
ソラはそう叫んでサクヤの手を引いて家を飛び出した。
後ろから母の呼ぶ声が聞こえるが、ソラはそれを振り払うように走り出す。
サクヤは、そんな彼に引きずられるように、ただ後をついて行った。
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