二番街へ続く扉を開けると、開けた場所に出た。
遠くには白い大きな建物がそびえ立ち、月の光で美しくも不気味に輝いている。
右側にはネオンで彩られた店が立ち並び、帽子屋らしき看板が動いていた。
ここに、ソラはいるだろうか。
期待と不安をともに抱きながら、サクヤはゆっくりと歩きだす。
その時だった。
ただならぬ気配を感じて振り返ると、黒い球体が突如現れ鎧をまとった兵士のような怪物が現れた。
それと同時に、地面からは島に現れたのと同じ影が這うようにして現れた。
「ハートレス!」
すぐさまサクヤは剣を抜くと、姿勢を低くし突き出すように構えた。
真っ黒いハートレスは一瞬体を縮めると、一斉にサクヤに向かって飛びかかってきた。
だが、サクヤはそれよりも速く影に向かって剣を突き出しながら走り抜ける。
瞬間。
宙に浮いたままのハートレスは、掻き消えるようにすべて消え去った。
だが、もう一体の兵士のようなハートレスは、それにひるむことなく回転しながらサクヤに向かってくる。
キィン、と、金属同士がぶつかり合う鋭い音が響く。
一瞬、ハートレスの動きが止まると、サクヤは右足をハートレスの腹部に向かって叩き込んだ。
そして、瞬時に間合いを詰めると一気に切り裂く。
小さな悲鳴を上げて、ハートレスは消え去った。
だが、それを見計らったのか、同じ型のハートレスが次々と現れたちまち囲まれてしまった。
サクヤは一瞬顔をゆがめたが、ハートレスたちはそんな彼女にかまうことなく攻めてきた。
彼女は構えを解くと、とびかかってくるハートレスたちをじっと動かず見つめていた。
が、その爪が彼女に突き立てられるかと思った瞬間。
サクヤは瞬時に身体をのけ反らせ、剣を口に咥えて後転しながら身をかわす。
不意を突かれた彼らは、互いの爪で体を貫き消滅した。
しかし、彼女の背後から伏兵が一匹、すきをついて攻撃してきた。
サクヤは咥えた剣を逆手に持つと、ハートレスの腹部に向かってそれを突き刺し対処した。
だが、再び援軍が彼女の周りを取り囲み、戦況は振り出しに戻ってしまった。
「キリがない・・・」
倒しても倒しても現れ続けるハートレスたちに、サクヤの体力も限界が近い。
一刻も早く、ソラを捜しに行きたいのに、このままでは自分の身も危ない。
どうすればいい?
考えている間にも、ハートレスは増え続け、ギラギラとした瞳をこちらに向けている。
彼らが飛びかかろうと身を低くし、サクヤが応戦しようと剣を構えなおした、その時。
「伏せろ!!」
鋭い声と風を切り裂くような鋭い音が、サクヤの頭上で響いた。
声と同時にサクヤが伏せると、頭上を大きな何かが飛び出して目の前のハートレスを一瞬で切り裂く。
それとほぼ同時に、黒と黄色い物が飛び出し、サクヤの前に降り立った。
「大丈夫?怪我してない?」
サクヤが顔を上げると、そこには銃と剣が合わさったような武器を構える男と、その隣でこちらを向いている手裏剣を持った少女がいた。
サクヤが頷くと、男は鋭く「来るぞ!」と叫んだ。
「了解!怪我しないでよ、レオン」
「はしゃぎすぎるなよ、ユフィ」
二人は互いの名を呼びながら、向かってくるハートレスを次々と蹴散らしていく。
二人の強さは本物だった。
ティーダよりも、ワッカよりも、ひょっとしたらソラやリクよりも・・・強いかもしれない
だが、サクヤの目が二人を死角から狙うハートレスを捕えた。
「レオン!」
「!!」
レオンと呼ばれた男が振り返り、死角のハートレスに向かって構えようとした時、彼の横を何かが走り同時にハートレスは掻き消えるように消え去った。
そこにあったのは、剣を構えたサクヤの姿。
レオンは驚いた顔をしたが、すぐに表情を戻し遅い来るハートレスに向かって剣を振るった。
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