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第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)T

4人を乗せたグミシップは、軽快なスピードで星の海をかけぬけてゆく。

その中でソラとサクヤは、改めて自分たちの状況をドナルドとグーフィーに語った。

サクヤの記憶が失われていること。

ソラとサクヤは、血の繋がりのある家族ではないこと。

サクヤの記憶を取り戻し、身元を捜すことを。


その話を聞いていたジミニーがハンカチで涙をぬぐい、グーフィーも思わず鼻をすすっていた。
あんな小さな少女がそのような境遇に見舞われていることで、二人の心に強く響いたのだ。

その話題の少女、サクヤは窓の外をじっと見ている。

グミシップに乗ってしばらく経っているはずなのに、サクヤはじっと固まったように窓の外を見続けていた。

「すごいよなー」

ソラは窓の外を見ていたサクヤの隣に立つと、同じように窓の外を見つめた。

「島にいたんじゃ、絶対に見られない景色だよな。リクとカイリにも見せてやりたいよ」
ソラの言葉に、サクヤは彼の顔を見上げて頷いた。

「リクとカイリ、わたしも会いたい。ソラとわたしと、四人。このクローバーの葉っぱとおんなじ」

サクヤはそう言ってペンダントをぎゅっとつかんだ。

顔には出さないが、サクヤもきっと不安なのだろう。

そう思ったソラは、右手をぎゅっと握りしめた。

その時。

「グワァ!みんな見て!!」

操縦席のドナルドが、突然叫び声をあげた。

皆の視線の先にあったものは、星の海の中でもひときわ大きく見える星だった。

ハートがたくさん描かれた地面、緑色のアーチ、そして大きなお城。

「あれが世界の姿ですよ。あのようにして星の海に浮かんでいるのです」

椅子の上に乗ったジミニーがそう言った。

「早く!早く行こうぜ!!」

ソラはもう待ちきれないという風に目をキラキラさせている。
ドナルドは頷くと、グミシップを世界へ向かって急降下させていった。
15/05/18 20:35更新 / 星三輪サナ

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