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第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)U

世界の端にシップを止めると、ソラたちは意気揚々とシップのドアを開けた、その時だった。

「あれ?」

グーフィーの間の抜けた声と、彼の姿が消えたのはほぼ同時だった。

「グーフィー!?」

それを追おうとしたドナルドも、一歩踏み出した瞬間姿を消す。

「ドナルド!?」

ドナルドの腕を掴もうとしたソラも、彼の腕を掴もうとしたサクヤも、そのまま深い穴の中へと落ちて行った。

だが

「なんだ・・・これ?」

落ちているはずなのに、通り過ぎていく景色はゆっくりで時折ふわりと浮遊感を感じながら彼らの身体は下へ下へと進んで行く。

途中には鏡やタンス、ティーカップセットなど穴の中には似つかわしくないものが次々と流れていく。

その浮遊感が心地よいのか、グーフィーはあろうことか横になったポーズになっている。

「ソラ。下」

サクヤの指差した方向には、うっすらではあるが床らしきものが見えた。

ソラ、サクヤ、ドナルドはきれいに着地をしたが、寝たままの姿のグーフィーだけはドスンという重い音と共に顎から落ちてしまっていた。

「いたたた・・・」

顎をさすりながら起き上るグーフィーを、ソラとドナルドは呆れたように。サクヤは首をかしげながら見ていた。

「なんだか不思議なところだな」

周りを見回しながらソラが言う。
彼の言葉通り、周りにはゆがんだ棚や床に描かれた花壇やソファーなど、おかしなものばかりだった。

その時。

「大変大変!遅刻だ遅刻!!あの方きっとお待ちかね!!」

切羽詰まった声と共に、白いものがソラたちの前をかけぬけて行った。

目を凝らしてよく見ると、それは一匹の白いウサギ。
しかも普通のウサギではなく、品のいい服に身を包み、眼鏡をかけ、大きな懐中時計を持った風変わりなウサギだ。

「急いで行かなきゃまた叱られる、今度はきっとわしの首が飛ぶ!しっちゃかめっちゃか遅れちまって、歩いてたんじゃ間に合わなーい!!」

ウサギは何度も時計を見ながら、パタパタと大急ぎで廊下を走っていく。
彼が通り過ぎた後の部屋には、静寂が戻った。

「・・・なんだ?あれ」
「変な格好のウサギだったね。すっごく急いでいたみたいだ」
「追いかけてみよう」

そう言って真っ先に走り出すソラを、ドナルド、グーフィー、サクヤが追いかける。

少し進むと、ソラたちが通れそうな扉が一枚あった。
どうやら鍵はかかっていないようだ。

だが、ソラが扉を開けると、そこにはもう一枚扉があった。
更に扉を開けると、もう一枚。 更に開けるともう一枚。
合計3枚の扉がソラたちを迎えるように開いた。

扉の先は、結構な広さの一部屋になっていた。
時計や暖炉などがあるものの、壁には水道が取り付けられていたりと、普通の部屋とはとても言い難いものがあった。

「ソラ。見て」

サクヤが指差した方向に顔を向けると、先ほどの白ウサギが小さくなって壁についているドアから急ぎ足で出ていくのが見えた。
15/05/18 20:35更新 / 星三輪サナ

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