それはギャルゲーの主人公になったかのような世界で、それでも今までの”俺”の世界でもある。
合わさる世界は時にカオスで、時にファンタジーで、時にラブコメディ。
何度も何度も正解を見つけるまで繰り返され、様々な要素の混ざり合う――それはきっとこんなモノガタリ。
* *
「あ……朝か」
窓から射しこむ太陽の光で、ベッドの上で目を覚ました俺はそんなことをまずは呟く。
目覚ましよりも早起きに、ベッドから出て睡眠不足ですよと言わんばかりの寝ぼけ眼で居間へと歩みを進めて行く。
畳張りの床に大き目の丸い卓袱台が置かれる居間にあぐらをかいて座り込めば、隣の位置するキッチンからは楽しげな鼻歌が聞こえてくる。
「おはよー、ユウくん」
「おは」
なんとも香ばしい匂い漂うキッチンから、笑顔でひょっこりと姉貴が顔を出した。
そんな姉貴に未だあくびをしながらも挨拶で返す。
「もう少しだからまっててー」
「ああ」
と、答え、濡れ台拭きで拭いたばかりの綺麗な卓袱台に突っ伏してその朝食の時を待つ。
そんな時に賑やかにも複数の声が重なるようにして居間へと訪れる。
「ふぁぁ」「おはー」「おはよ……」
と、彼女たちが現れた。
それは日常に染み込んだ光景で、今の俺にとってはあまりにも普通のことだった。
それでいて淡々としたつまらないものではなく、毎日が発見と変容に満ちている――飽きさせない日々とも言える。
朝食を家族みんなで食べ終わり身支度を整えて、現役高校生な俺はいざ学校へと向かう。
そう、これまた普通のことで、いつも通りのことだ。
そんなありふれた道すがら、
「おっはよー、ユウジっ」「おはよう、ユウジ!」「おはよーっす」
友人達――俺はそれを”いつものメンバー”と呼んでいる、彼らが各々(おのおの)に特徴をもった挨拶をしてくる。
途中で合流する彼らの挨拶からも分かる、元気さに俺も「うん、いつも通りだ」と内心思いつつも友人と話しながら通学路を歩いて行けば、あっという間に学校へと辿り着く。
「おはようございます、ユウジ様」
「姫城さん、おはよー」
「おはー、下之くん」
「おはー」
女生徒二人とも遭遇、この二人もいつものメンバーだ。
クラスメイトな彼女達にも挨拶し、そんな訳で挨拶から、決まり事のようにこの日常は始まって行く――
まず話しかけてくるのはグルグル眼鏡の……女子? と疑問に思う程に色気の欠片も無い、悪友的ポジションの彼女だ。
「それで、ユウジ。来期のアニメをどう思う?」
「んー、期待薄?」
「そんなにネガティブじゃダメだぞ! アタシはダークホース狙いだ」
「お前もちょっと諦めてるじゃねーか!」
そんなオタク臭い会話の中で、いつも通りのボケをかますコイツにツッコミを入れると今度は背中までかかる髪をヘアゴムで束ねた黒色ポニーテールをひょこひょこと上下に揺らした彼女がやってくる。
「ねー、ユウジー! あのバラエティどうだったー?」
「うーん、演出が微妙かな」
「評論家気取り!?」
「というのは冗談で、あのマツダの顔芸は笑った」
「あー、分かる分かる!」
そんな他愛のない会話で盛り上がる、これもいつも通り。
会話がふいに途切れるそんなタイミングを狙ったかのように、別のどうやったらそこまで手入れが行き届くのだろうと言わんばかりの長く綺麗な黒髪を持った女子生徒もやってくる。
「そういえばユウジ様、突然なのですが……どんな食べ物が好きですか?」
「南部せんべい」(※青森県八戸辺りで食べられる小麦粉で出来たせんべい)
「な、なんぶせんべい――ダメですっ、私には作れません……」
「からあげ?」
「……頑張ります!」
少しからかうように彼女の問いに答えると、今度は活発よろしくぴょこぴょこと跳ねるようにやってくるクラスメイトな女子。
「あー、下之くん。そんな君の下の具合はどう?」
「開口一番下ネタはどうなんだ、愛坂よ」
「自分はそれがデフォルトなのだ」
「仮にも女子だろうに……」
「で、答えはどう? 自分が元気にしたあげた方がいい?」
「答えは”スルー”でいいか?」
そんないつも通りの学校での日常を終えて。今日の授業が終わって、いつも通りに帰宅すると。なんとも可愛らしい彼女がお出迎えをしてくれる。
「おかえりーユウジさん」
「ただいまー」
「ご飯にする、それともご飯にする? それともは・く・ま・い?」
「最後は炊けてないのが出てくるのか……で、そのギャグは誰が?」
「桐だよ?」
不思議そうに、本当にその言葉の流れの意味を知らないように首を傾げる可愛らしい彼女を横目に、駆け足で我が家の二階へと続く階段を駆け上がり、あるヤツの部屋の扉を勢いよく開け放つ。
「おい、桐っ」
「ふぉ
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