「!?」
目が覚めるとそこは見慣れた自室で、俺はベッドに寝ていた。汗をびっしょりかき、目もとには涙と思われるものが線を描いていた。それは悪い夢から覚めた直後のような感覚。
「今のは夢……だったのか?」
あまりにもリアルで、とても恐ろしく怖い夢。記憶は鮮明に残り、今でも思い出すだけで寒気がした。
「Ruriiro Days」
そんなタイトルのソフトが落ちていた。
「(嫌な夢……だったな)」
きっとあの幼馴染キャラが出たのも夢の話なのだろう。少し残念に思う反面、あんな最期を遂げるというなら出てきてほしくない気もする。
いつまで過ぎ去った夢を思っていても仕方ない。俺はベッドから足を下ろし腰を上げる――
「!!」
窓の外から声が聞こえた。
「ユウジー遅刻するよー」
「!?」
さっきのは夢、じゃないのか!? でもユキは――
『お主よ。その訳を知りたいか?』
「え?」
ふいに響く声。それは小学生の女の子のような高い声だが、喋り方が少し変だった。まるでイタズラに老婆のマネをする少女のような――
「誰かいるのか!」
『わしじゃ。ほら、すぐ近くにおるじゃろう?』
「え」
パソコン机の前にその声の持ち主がいる。そして明らかに女子小学生な容姿がそこにいたのだ。
「おはよう、主人公」
喋り方だけがなぜか古めかしい女の子がそこに居た
「っ!」
小学生女子の低学年並みの体格を持つ、その子は俺を主人公と呼んだ。
「……いつからここに、お前は居たんだ?」
小学生な容姿の少女に問う。普通なら優しい言葉で接するべきなのだが
なんというか古めかしい喋り方をする時点でかなり怪しかった。それで警戒の意をこめて接している。
「貴様がそのゲームを起動してからずっといたぞ」
「まぁいつからか、なんて聞いても不法侵入に違いないけどな」
「断じて違うっ! わしは貴様の妹という設定で入ったのじゃ」
「へぇー妹かぁ……え? どういうこと?」
「主人公も見たじゃろ、ヒロインの一人が車にはねられるのを」
「! ……なんで、お前がそんなことを知ってんだ?」
「あの時ナレーションしたのはわしだからな」
「は? なれーしょん?」
……思い出せ。なんか俺とユキの会話以外の何かが混じっていたはずだ。
『しかし、そんな時間は長くは続かなかったのじゃ』
「これか?」
「うむ、なかなか迫真の演技じゃったじゃろう」
「いやナレーションに迫真の演技は必要ないし、実際なかったぞ」
「まぁ必要はないがノリとしてな」
あっさり認め軽く返された。
「話を戻して、お前がナレーションしているということはあの場にお前が居たのか」
「ああ、電柱の陰から実況させてもらった」
「あ、本当に近くにいたんだな……」
いつのまにかナレーションが実況になってることはあえて触れない。
というか陰でぶつぶつ実況してたのか……その容姿でも”将来が心配な小学生”だが、高校生辺りだったら”ただの危ない女”だな。通報されかねない。
「大体は知っているが、どうやら選択を間違えるとヒロインが死んでしまうエンドのようじゃ」
「選択とかなかったぞ」
「それはゲームと世界の融合の関係で仕方ないじゃろう」
……なんという酷いミスだ。選択することが出来ないなんてなぁ……ん?
ゲームと世界の融合?
「今、ゲームと世界の融合とか言わなかった?」
「言ったぞ、どうやらゲーム色が強いみたいじゃがな」
「えぇっ! この世界ってゲームなのか!?」
「今頃その話題が来るかっ! ……いや、正確には違うな。お主が存在する現実世界にお主の起動したゲームのシナリオやキャラクターをスライドさせた形になっておるのじゃ」
「へぇー……」
いや、意味は分からないでもない。
「なぜそんなことに?」
「貴様のせいじゃ主人公! あのゲームを起動したのがそもそもの始まりだったのじゃ!」
「は?」
「ゲームの起動によってお主の居る世界は書き換えられてしまったのじゃ!」
「書き換え……?」
「そのゲームのヒロインのシナリオがこの世界にスライドされたがために、ヒロインの死ぬルートが現れ、それを攻略しないと未来が存在しない世界になってしまったのじゃ!」
「み、未来が存在しないってのはどういうことだよ!」
「シナリオがバッドエンドで終わってしまう以上ゲームはシナリオの振り出しに戻されてしまう、それはシナリオのスライドされたこの世界にも言えることじゃ!」
「ってことは――」
「シナリオを攻略しなければ永遠にヒロインの死までの数分間を彷徨う未来の存在しない世界となってしまうのじゃ」
! ……そんなことが起っていいのか。俺がただ単にゲームを買って起動させただけで……こんな深刻な――
「……でも選択はねぇんだぞ、どうすりゃいいんだよ」
「考えても分
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