「ああ、この感じ、先のオリエンス大戦にそっくり、いや、それ以上でしょうか。
私は今回も逃げ癖を出してしまってですね、まあそりゃ怖いんですもん。だからあなたと一緒に地下霊廟にいるんですよ。カリヤ委員長。私はあなたみたいに祈ったりしませんが、ね。
今回こそは終わるんでしょうかね。どうなりやがるんですかね。ああ、失敬、青龍の言葉が出てしまいました。しかしね、私も朱雀にすっかり染まってしまってね。しかし、すごい物音ですね、カリヤ委員長、あなたも酷いですねえ。子どもたちはみんなあなたのこと噂してますよ。60を超えても魔法が使えるって。よかったら使って、少しでもクリスタルご加護を受けたらいいんじゃないですか?あ、無視。まあ、クリスタルの力なんて過信してちゃだめだっての。どーしようもないことにしかなりやがらねえんですよ。あなたも分かるでしょう……ねえ、カリヤさん、どうせここも攻められるんですよ、死ぬんですよ。それまでの暇つぶし。私の話を肴に、ねえ、どうですか」
「今から、600年前、私が持つ一番古い記憶があるんですよ。そう、朱雀青龍戦争のころです。あなたのところの朱雀とうちの青龍がかち合ったとき。まあ子どもでしたからね、私。バカ多い魔物と少数精鋭の朱雀軍。やっぱ統率のとれるほうが勝ちでしたね。朱雀の軍配ですわ。朱雀の雷軍部隊にリュウスイの大群が向かっていったときは笑いが止まらなかった覚えしかなくってね。致し方なかったと思いますよ。ルシでもない限りあんなバケモノたち扱えないでしょ」
「青龍人ってね、ほら、今の蒼龍人と同じでちっこかったんですよ。好き勝手動く魔物、名ばかりの部隊、もともとのどかなとこでしょ、あそこ。やっぱ強くならなきゃってことで、食いだしたんですよ。龍。誰が思いついたのか知らないんですけど。弓や槍じゃ限界がありますからね。まあ院長ご存じだと思いますが。でもね、龍のご加護は残念ながらなかったんですよ」
「表向きはね、あったんですよ。体長は伸びる、牙が生える、毒は湧きだす。ちっこい青龍は見る影もない。魔物、龍、龍の力を取り込んだ青龍人、朱雀への反撃材料は集まったと思いましたよ。青龍人たちも奮い立ってて、ミリテスやロリカですら手中に収められると言い出したやつもいましてね。でもね、無理でした。食い物じゃないもの、食っちゃだめだったんですよ。龍食った青龍人たち、狂いだしまして。敵も味方も見境なく襲いました。挙句の果てに、青龍クリスタルの力が弱くなってね、魔物、操れなくなったんです。クリスタルの怒り?龍からの天罰?知る由もないけど」
「そこでね、新しいクリスタル、でてきやがったんですよ。今の「蒼龍」のクリスタル。その蒼龍クリスタルに呼ばれたルシがね、続々と現れてねぇ、青龍人を成敗しはじめたんですよ。まあそのおかげで混乱状態の青龍は収まりましたが。でもね、私には混乱以上のことが起こったんですよ。死に体の青龍クリスタルからルシにされちまいました。ぼおっと青い光が体に出てきてたまげましたわ。使命も何も分からなくて。そのころね、蒼龍のルシたちがねナラクっていうのをローシャナにつくって青龍人たちとクリスタルを閉じ込めたんですよ。わずかですけど青龍クリスタルとはまだ通じていましたからね」
「わたしは何してたか、そうですねぇ、雨がやまないシャカラの一若者がですよ、ルシなんかなってもどうしようもないでしょ。とりあえず、逃げましたね。使命が分からない、昇華もできない、いつシ骸になるかも分からなくて。怖かったですよ。普通、ほら朱雀のセツナ卿とか、オリエンス大戦からルシやってるやつ、寡黙になるでしょ。感情が摩耗するから。私、あんまり人間のころから変わらないんです。多分、弱体化しているなかでルシに任命されたあげく、それが封印されちゃったから。きっと中途半端に人間なんでしょう。記憶がそうさせているだけかもしれないけど」
「にっちもさっちもいかない体を抱えてました。最近では同じように弱体化?したクリスタルに選ばれた強いルシに会いましたわ。ロリカだったっけ?錯乱してて可哀想でしたね、アレ。使命が分からないって怖いんですよ、私もいっそあんな感じでしたら楽だったんですがね。いくつも大戦見送って、クリスタルもなにがしたかったんでしょうか。」
「ご存じだと思いますけど、この前、また蒼龍がナラクを封印したんでしょ。わたしね、やっと終われると思ったんですよ。でもね、しぶとく生きているんですよ。全部、中途半端なんですよ、まだ、昔みたいに魔物も操れるし龍だって呼べる。毒気が抜けただけなんでしょうか。いっそ龍でも食って一緒に封印されたほうがよかったのかもしれない。紋章の青白い光が憎いですよ、ほんと。生まれ育った国もない、使命も600年経っても分からない。螺旋からはじき出され
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