いくつものプレートが足場となって並ぶ、不思議な空間。
宙に浮くそれらから下を覗くと、思わず吸い込まれてしまいそうな程の暗闇が広がっていて、誤って落ちてしまえばどうなるか分からなかった。
外界の光さえも届かぬはずのこの場所だが、何故か周りはハッキリ見えるくらいにここは照らされている。
「あら、お帰りなさい」
「おっと、これはこれは・・・」
艶やかな女性の声が響くと、今しがた扉から出てきたばかりのサイグローグは目の前にいる面々に向かっていつものお辞儀をした。
「わざわざお出迎え頂き、誠にありがとうございます。‘罪人’の皆様方」
サイグローグのその返答に、奥の方で腕を組んで立っていた男性は不満げに鼻を鳴らす。
「ふんっ、‘つみびと’か。随分な言われようではないか」
すると、瓦礫に腰かけていた別の男性がそれに反論するような形で重々しく口を開いた。
「そんな事はどうでもいい・・・それで、上手くいったのだろうな?」
「はい。無事に8人の旅人を揃え、先ほど集まった皆さんにこれからの指針について軽く説明を終えてきた所でございます」
それを聞いた瓦礫の男性は下卑た笑みを浮かべ、喉の奥で小さく笑う。
「くっくっく・・・!ならば構わん。そうでなくては俺の餓えも、渇きも!満たす事が出来んというものだ」
そう言い終えるやいなや、先ほどから3人の後ろに佇んでいる圧倒的な存在が、聞く者を戦慄させてしまいそうな低い唸り声を上げる。
「オオオオォォォ・・・」
「うふふ、この子ももう我慢できないみたいねぇ」
サイグローグはチラリと面々の様子を伺いながら、再度お辞儀をして頭を下げたまま言葉を発する。
「時期が来次第、罪人の皆様にもあちらの世界へと出張って頂きたいと存じ上げておりますので、もうしばらくお待ちを」
「ハッ、どうせ今の私達は貴様の指示なしでは動けん身だ。・・・せいぜい気長に待つとしよう」
腕組みをしていた男性は悪態をつきながら背を向けてその場から姿を消すと、それに続いて残りの3名もフッ、と消えるように立ち去った。
罪人の気配が消えたのを確認するとサイグローグは顔を上げ、‘やれやれ・・・’と一息つきながら呟く。
「クセのあるお方たちだ。旅人の皆様がいた世界の内から4名を選びましたが、どうにも扱いづらくていけない」
そしてサイグローグは現状を報告するため、今現在仕えている主人の下へと歩き出した。
「(しかし、全員実力は確かです。頑張ってくださいね、旅人の皆様・・・我らの願いのためにも)」
☆ ★ ☆
「皆、ただいま。あいつの言う通り、この先に小さな村があったわ」
偵察から戻ったリムルが、森にて待機していた7人に声をかける。
少し時は遡り、それぞれの世界にてサイグローグに誘われるままあの扉を潜ると意識が途絶えていき、目が覚めたらいつのまにかこの森で横たわっていたのであった。
事前に伝えられていた仲間というのが互いの事だというのを理解し、それぞれが自己紹介を終えた頃あのサイグローグが皆の前に姿を現し、説明を始めたのだ。
サイグローグが言うには集める宝石というのはムーンストーン、サファイア、オパール、ペリドット、カーネリアン、ターコイズ、ダイヤモンド、ガーネットの8種類らしい。
名前こそ聞いたことあるものばかりで、宝石商に行けば手に入りそうであったが恐らくそうはいかないだろう。
こんな大がかりな舞台を用意するくらいなので、きっとただの宝石たちではない。
とりあえず情報と寝床の確保のため、この先にある村に行くと良いともサイグローグから伝えられたが、どうにも信用ならないという事でリムルが先ほどまで偵察に行っていたのだった。
その二つを伝えるとサイグローグはさっさと消えてしまったので、リムルも帰ってきたことだし日が暮れる前にその村へ向かおうと全員が腰を上げる。
「ねぇねぇマリアン!気になってたんだけど、マリアンってメイドさんなの?」
「あ、それ僕も気になってた!」
小走りで近寄ってきたハリエットとフローリアンに対し、優しく笑いながらマリアンは答える。
「ええ、そうよ」
「め、メイドさんって私、初めて見ました・・・!」
「でもその服装、旅をするには厳しいのではないかしら」
「そうかもね。でもこれが一番着慣れてるし、割とへっちゃらよ?」
リアとセレスも混ざり、和気あいあいと楽しそうに話している中でロエンは露骨に嫌な顔をしながら舌打ちをした。
「ちっ、緊張感のない奴らだ・・・この旅の目的が何なのか分かっているのか?」
「微笑ましい限りじゃないか。ああやって親睦を深めるのも大事なことだろう」
「お前は・・・」
怪訝な表情をするロエンに対し、ミルハウストは右手を差し出して握手を求める。
「ミルハウス
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME