○プロローグ○
「...ほう、既にその心に他者の心を宿しているのか。エラクゥスめ、やりよるわ」
二人の男が対峙する。
「もう、闇を恐れた俺ではない」
呑み込んだ者と呑まれた者。二人の意思は一つの心の中でぶつかり合い、渦巻いた。
「たとえ我が心が取り込まれようが、たとえ我が身が闇そのものになろうが、
そのためにどんな犠牲を払おうが構わない。...俺の目的は、ただ一つだ」
青年の瞳に強い意思が宿る。
「いい覚悟だな。まぁ、まだ時間はある。どちらがこの心の所有者かは、ゆっくり決めればいい。だが...」
老人はいやらしく笑う。
「策というのはいくつも講じておくものだ。種は既に蒔いてきた」
彼の瞳は鈍い金色の光を放っていた。
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