生涯、貴女を守る事を誓う。
「しかし、すごい量だよねぇ」
「確かにな。世界中の書物を集める勢いだからな。まあ、『この世界においての』世界中ではあるが」
捨てられた要塞の図書室――レイディアント・ガーデン生まれの四人はこの場所の書物を街へと運ぶ作業をしていた。
ユフィとクラウドがハートレスの退治係兼運搬を担い、レオンとエアリスが必要な物の分別を進めている。力と知識のバランスにより、必然的に決定された役割分担だ。
「本当、大切な本なのはわかるとしても、どうして街の方に運ばなきゃいけないかなぁ」
「ご老体に無茶をさせる訳にもいかないだろうが」
ユフィのぼやきにそう突っ込みながら、レオンは次々と本に目を通して行く。
パラパラとページをめくり、視線を斜めに走らせていく。速読で次々と確認していくレオンのスピードに、クラウドもユフィを呆れ、エアリスは苦笑していた。実はこの男、戦闘よりも事務処理の方が強い。
ある程度量がたまった本を、クラウドは一気に担いで街へと向かった。そうなると二人の警護はユフィの担当となる。クラウドが二往復したらユフィが一往復する、そういう風にこなして移動させた本の数、もうすぐ千冊になる。
そうして、淀みなく動き続けていたレオンが、ある時点でピタリと止まった。
「レオン……?」
異変に気付いたエアリスがレオンに問う。彼の視線はある一点で釘づけになっており、あまり動かない表情の中で、瞳が動揺しているのにエアリスは気付く。
レオンが追い詰められるとかえって表情を無くし、そしてある時点でプッツリ切れてしまう事を、エアリスは一人だけよくわかっていた。それ故に、心配から彼の様子を観察する。
「嘘だ……」
「え?」
良く聞こえなかった呟きに問い返すのと、レオンが本を捨てて走り出したのは同時だった。
「レオン!」
ユフィも呆然とし、エアリスが彼を呼びながらレオンが走り去ったドアをくぐる。すると、エントランスに帰ってきたクラウドが彼女の視界に入った。
「クラウド、レオンが!」
「わかった」
尋常じゃない恋人の様子に、クラウドは彼女の指す方向を見上げる。そこへ礼拝堂の方へと走っていく黒い人影を見て、クラウドは彼女を落ち着かせるように頷いた。
走っていくレオンを追いかけ、クラウドは違和感に気づく。
――ハートレスが出ない。
クラウドが前に進めば、それを阻むように現れる影の化け物どもが、レオンの足止めを一切していない。
――どういう、事だ?
思いながらも影を切り伏せ、彼はレオンの向かった方へと走る。そして、一つの扉に辿りついた。
そこしか、人の気配が無い部屋。扉を開けようとして、クラウドは思わず顔をしかめた。
――鍵?
内から閉められたのだと気付き、クラウドは思わず舌打ちする。そして、大剣を両手で握り集中するために息を深く吐く。次いで息を大きく吸いながら剣を持ち上げ、そして勢いをつけて思いっきり叩き割る。
扉はもろくも破れ去り、クラウドにその先の光景を見せた。
眼の前にある光景は、クラウドにとって信じられない物だった。
レオンは短銃を口の中に入れている。そして、クラウドが扉を破ったのはその引き金を引いた瞬間だった。
銃による自殺を図る場合、こめかみに銃をあてて引き金を引くのでは成功率が下がる。しかし、口の中に銃口を入れて顎で固定し、少し上方へと向けて頭蓋を撃ち抜く――これで生きていられる人間はほぼいない。
戦士としてのクラウドが生きていないと結論をつけていたのだが、仲間としての彼がレオンの近くへと走らせる。
そしてせめてと銃をレオンの口から引き抜くが、彼の頭に広がる血痕に絶望がクラウドの背後より迫った。
「あ……」
言葉にならない声をかけ、クラウドはレオンの体を起こした。頭蓋を貫通した銃弾により空いた穴から、血液がぼたぼたと流れ落ちる。
「うぁ……」
回復の魔法を知らないクラウドにはなす術がない。彼の持っているポーションを飲ませようにも、レオンはどう考えても嚥下[えんげ]できるだけの力もない。
――ダメだ……。
クラウドが諦めそうになった時に、奇跡は起こった。
逆再生をするかのように血がレオンの元に集まっていく。赤黒くなっていたカーペットの色まで元に戻っていった。そして、レオンの喉に見えていた空洞が塞がっていく。
後に残るのは床に残る弾痕。
「クラウド! レオンは!?」
エアリスとユフィが到着した時には、眠るレオンとそれを抱えているクラウドがあった。
そのため、二人はほっとしたように息をつく。しかし、異変にエアリスが気付いた。
「クラウド? どうしたの?」
もう一度声を掛けられて、ようやくクラウ
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