セカイより生まれた最初の存在『神理』。
『神理』は世界を作り出し、セカイを管理する事を使命としていた。
生まれた『神理』は自らの力で幾つもの世界を作り出していく。世界には命が芽吹き、それぞれ異なる成長を遂げていく。
そうしていった中で、己の孤独を憂い、考えた。たった一人で世界を作り出すことの虚しさ。
やがて至った結論は自身の力の分け、権能を持つ半神を生み出す事だった。
そして、創造、破壊、維持と模倣という三柱の半神を生み出した。
創造の半神ヴァラクトゥラ。
破壊の半神アザートス。
維持・模倣の半神ヴェリシャナ。
彼らを名づけた時、神理は己の名が神理以外特に無い事に気付いて、改めて自称をする。
生じて起源の神イリアドゥスと。
そうして、三柱ら共に世界を創り、壊し、維持していく繰り返しを過ごしていく中でイリアドゥスは気付かずに居た。
…彼女のいたずらに繰り返す摂理に対する疑念と怒りを。
「――限界だ。俺はイリアドゥスを裏切る」
母に気取られないように彼女が僅かに要する眠りの時間を見計らって狭間の空間で夜の闇より深い黒髪の男――アザートスはそう口火を切る。
「何を言うんだ! 我々が母に叛逆する事はあってはならない!」
アザートスの言動にみがかった白髪の男――ヴァラクトゥラは反発する。
彼の傍ら、
「アザートス。一体何を考えているの? そんな事をして母様が嘆き悲しむだけよ」
怜悧に諭すように言う灰髪の少女――ヴェリシャナに言われてもアザートスの姿勢は揺るがない。
その目には確固たる意思で彼らに言い返す。
「何を考えているのはお前たちの方だッ!! イリアドゥスは何をした、我らに何をした!
徒に世界を創り、維持させ、挙句、捨てるように破壊させる! その中にある世界の命は、生命たちの悲鳴を聞いていないとは言わせないぞッ!!」
「……」
その言葉にアザートスを抑えていたヴァラクトゥラに陰りが過ぎる。
創りだした世界に芽吹く命たち、もっとすばらしい世界になるだろうそれらを、イリアドゥスはためらい無く言う。
「滅ぼしなさい」
「創り直しなさい」
「維持させなさい」
「模倣させて滅しなさい」
三柱に拒否権など無い。それに従い、滅ぼし、創り、維持し、模倣し、繰り返す。
アザートスはそれに疑問を抱いてしまったた。この繰り返しはいつまで続くのか。
脳裏に走ったその言葉が、ヴァラクトゥラの母に対する思慕を揺るがせて行く。
しかし、眼前に在る彼を止めようと己の意思は確固として言葉を紡ぐ。
「―――例え、永遠に繰り返そうとも……私たちは、イリアドゥスの半神。母に刃を向けるなど、出来ない」
「ふん。大馬鹿者共が…! 俺は唯一、イリアドゥスを殺し切れる力を持っている」
「!」
「……破壊の力。それが神理に通じない訳が無い。俺の全ての力を結晶化させたこの剣で、母を切り裂いてやる」
アザートスの胸元から輝きが溢れる。禍々しい赤い輝きであった。
それは柄のように伸びており、それをアザートスが引き抜くと全貌を露にする。
禍々しいまでの異様の刀身、一切が赤黒く染まりきったその一刀を。
「……本気なのか」
「本気だとも」
言うや、赤い結界がヴァラクトゥラ、ヴェリシャナを囲う。
「!!」
「アザートスッ!!」
「お前たちなら解ってくれると思っていた。少なくとも、母に対して掣肘する心は在ると思っていたのだがなァ……」
叫ぶヴァラクトゥラの声に剣を持たない片手で顔を隠し、悲しむように言うアザートスであったが、その口元は歪んだ様に笑んでいた。
「待て、待つんだ!!」
「お前らに大好きな母の骸をくれてやる―――」
言うやアザートスは狭間から元居た場所――イリアドゥスの居る神域へと戻っていった。
「くそっ!! はやく、戻らないとッ!!」
結界を打ち破ろうと力を練って繰り出しても微塵も揺るがなかった。
ヴェリシャナにはアザートス、ましてやヴァラクトゥラすら劣るほどに力が無い。
非力に座り込んで、打ち震えていたのだった。そして、最初の落日の終端が開かれる。
神域。
それは神の領域、イリアドゥスの寝床とも言うべき空間だった。
彼女はそこで眠り、目覚めて、数多くの世界を管理する。
そこへ、空間が歪み、一人の男が姿を現す。禍々しいまでに殺気を瞳に秘めたアザートスだ。
(急がなくてはな…ヴァラクトゥラが戻ってくる前に)
その手には自身の力で作り出した理すら破壊する最兇の剣があった。
そして、神域の主イリアドゥスは青い球体を頂きに置いた大樹の中に身を丸めて眠りに着いている様子であった。
「……」
目覚めていない、そ
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