そうして、エンらとも会話を終えて、再び、食事を堪能していった神無たち。食事を頂いてから数分後、部屋の明かりが一斉に消えた。
全員、戦いやら何やらと『慣れている』猛者揃いゆえか―――動揺の声すら出ずに、静寂が包んだ。
すると、広間の真ん中へとライトアップされる。そこにいる人物が姿を現す。
「――オホン。夫婦の皆様、今宵お越し頂き真に感謝の至り!」
大仰な音声を上げた人物――それは先ほど準備のため、姿を消したアダムだった。
先ほどまでの黒服とは違った明るい色のタキシードを身に纏い、彼は言葉を続ける。
「今回、皆さんを招いたのは両作者の意向! 夫婦とはなんぞや!? 愛とはなんぞや!? 契りを交わしたあなた達だからこそ知りうるそれを語り合えればいい!
――――と、いうことで。皆さん、よろしくお願いします」
最後の一声は完璧なまでの素の声だった。一同の肩がガクっとずっこけたのは言うまでもなかった。
瞬時に部屋の暗がりは消え、元の明るさへと戻る。様相もまた変わっていた。
料理の用意された机は全て取っ払われ、夫婦それぞれに用意された指定の席が代わりにある―――番組の様なセッティングであった。
そして、司会のアダムの席には更に何人かのゲストが座っている。
「お、お母様! …やっぱり来ていたのですね」
サイキがゲストの一人を見るや声を上げて驚き、やはりなと小さく本音を零す。
ゲストの一人―――神理イリアドゥスは娘の言葉に涼やかな表情で応じる。つまり、全く気にしてすらいない。
「あの時言った筈よ? 『まだ動き時ではない』って、まあ、楽しみにしていなさい」
「…凛那。お前までもか」
「暇を持て余していたらイリアドゥスたちに誘われたのだ。断じて個人の意思で此処には座っていないわ!」
神無の呆れた視線をそっぽうぃ向いて、彼女は動揺した声音で言い返した。
一方、愛刀そのものでもある彼女の言に、無轟は黙しているが、少しの複雑な表情を見せている。
「とりあえず、ゲストの紹介から。それから一言どうぞ。――ゲスト一人目、凛那さんです」
「…うむ」
呼ばれた凛那は先のやり取りに気疲れしたのか、短く頷くだけだった。アダムは構わず続ける。
「二人目はゼロボロスさんです」
「まあ、楽しくやろうや! ハハハ」
ゼロボロスは陽気な表情だけの乾いた笑いを零す。
「三人目はハオスさんです」
「皆さん、楽しい時間を共に」
言葉と共にハオスは礼節良く会釈する。
「四人目のゲストは、カルマさんです」
「どーも。たまにはこういうのもいいわよね」
けらけらと笑う彼女はいつもの白黒の仮面を外しており、素顔を晒している。
「最後のゲストは―――イリアドゥスさんです」
「よろしくお願いするわ」
微笑を浮かべて、ゲストの紹介を終える。パチパチとわざとらしい拍手が広間全体から響いた。
そうして、始まってしまった良くわからない企画に、巻き込まれ、改めてゲストの面子に、夫婦の何組は頭を抱えそうな気分だった。
「カルマ、何故、あなたがそっちなんですか!? 宿敵が目の前にいるのに!!」
思わず声を荒げて、エンは目的を共にしているカルマへと言い放つ。
言われたカルマは笑みを崩さずに、飄々と応じた。
「んまあ、此処じゃあそういうのは関係ないのよー。番外だし、戦うのは本編でゆっくり……楽しみにしているのよ」
小さく舌舐めりしたカルマの笑みと眼差しは蛇のように鋭かった。エンはその応じ方に剣呑しかでない。
ふと、気がつけば隣に座っていた妻のスピカから途方も無い殺気が溢れていた。視線の先は、カルマだ。
彼女は溢れんばかりの殺気をさっきからカルマへと叩き込んでいたのだ。勿論、浴びるほどの殺意に蛇の笑みは深まりを増しているだけだが。
「す、スピカ!? 落ち着け、カルマとは(本編以上に)深い関係はない!」
「……本当でしょうね?」
殺気だけでバハムートの形を作り出せそうな勢いをエンは必死に説いている。その様子にカルマは笑声を止めずに居られない。
「アハハ、これが俗に言う『ヤンデレ』かしら?」
「カルマァ! お前も煽るな!!」
「……大変そーだな、あっち(敵)も」
神無は勝手に修羅場っている様子に遠い目で呟く。ツヴァイも同感なのか、頷き返す。
「よお、アダム。とりあえずは語り合うだけなのだな」
そんな修羅場を尻目に、神無は追及を始める。こんな企画の内容を。アダムは頷き返し、説明を開始した。
「ええ。――ルールは簡単です、私が皆さん夫婦にいくつかの問題を出します。それをクリアして頂くだけ。
そうして、我々が失礼ながら『点数』を取っていく……それだけですよ」
滔々とアダムの説明を聞いた
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