「―――ハッ!?」
エンが意識を覚醒すると、そこは白い部屋ではなく、自分たちの席であった。
机に突っ伏すように眠っていた彼は周囲を見て、隣に彼女がいる事に一先ず安堵しつつ、話かける。
「スピカ……終わったのか、あれは」
「ええ。きっちりと再演しちゃったわ」
「……」
頭を抱えそうになるが、表情に出すだけで堪えて、さっさとこのパーティーが終わってくれる事を切実に想った。
「えー、エンさんたちの採点も終わり、今から結果発表です。まずは皆さん、お疲れ様でした」
「……なあ、本当に順位つけれるのか。これ」
神無は疑問に満ちた声で呟いた。それはアダムら審査のものに対してではなく、傍の妻ツヴァイに対してだった。
コレまで見た自分たちを含めた夫婦の始まりのシーンを見たツヴァイは、否、この場に居る夫婦たちは想った。
本当に一番が決まるのか、と。特にアガレス組のようなシーンを省いてもらったケースも在る。
一同、複雑疑問そうな表情を隠しきれずに、その結果を待つ。
「あらあら。みんな、ノリノリじゃあないわねー」
けらけらを彼らを笑うように言ったのは審査側にいるカルマだった。
その態度に、神無が言い返そうとした。
「おい―――」
「カルマ、何が言いたい?」
が、エンが真っ先に彼女へと鋭い眼差しと共に、問いかける。
彼の問いかけに、カルマは変わらずの様子で応じた。
「何が? って、『自分と妻の思い出こそ一番』って考えるのが普通よ? 自分たちで深めた愛情、なのだから。
なのに、他の夫婦のシーンを見て、一番である事を疑るなんて……馬鹿みたい」
「貴様……」
流石のエンも、他の夫婦組らも怒気を纏う。
「思う壺よ。落ち着いて、みんな」
だが、それを制するようにスピカが冷静に諭す。彼女から発せられる覇気に、神無らは一先ず怒気を収め、落ち着いた。
カルマはその様子にやれやれとわざとらしく、肩を竦め、イリアドゥスに声を投じる。
「下らないわ。イリアドゥス、やっぱり『夫婦でバトル』形式の方が手っ取り早かったんじゃあないの?」
「私としては、この方法が良かったと想うわよ。カルマ。――大切に培った想いを私は思い知った」
「あっそ」
つまらないとはき捨てつつ、カルマはそれ以上何も言わない。
そんな様子にアダムや他の審査のものも呆れつつ、イリアドゥスは夫婦らに話を切り出す。
「最初は褒賞を目的に、自分たちの過去を再演して自分こそは、と想ったのに、今では皆『それぞれでいいじゃないか』って顔をしているわね」
「じゃあ、どうするので?」
話に質問したのは審査側のハオスだった。
他の一同もその疑問で満ちた視線を投げかける。
イリアドゥスはその視線に気にせず、端然と話を続けた。
「―――なら『それぞれでいいじゃないか』」
「……………は?」
その言葉を理解し、開口一番に声を上げたのはカルマだった。
彼女の脳内プランは先の『夫婦でバトル』というサバイバルで、とりあえずエンとスピカが暴れまわって、ソレを肴にけらけら笑っておこうとしていた。
が、イリアドゥスの言葉に、意味に、真実に、カルマは呆然とした。
「そう在れと想ったなら、それでいいわ。後日、あなた達にそれぞれに適した褒賞を用意するわ。今回は、これでお開きよ」
そう言って、企画の幕は下りた。
唐突の終幕に、全員が何も言い返せず、静止も出来ずに唖然とした。
「…やれやれ、何のための暴露大会だったんだよ」
企画が終わらされ、ただ唖然としていた者たちはそれぞれ帰るか、用意されたパーティーの続きとして再開した。
といっても最初のような賑やかさは無く、閑散と静かに楽しんでいる。
神無は本当に疲れた様子で注いだ冷水を呑み、気を紛らわせた。
「まあ、良かったんじゃないからしら。変な順位決め付けられてたら、それこそバトルになっていただろうし」
彼の呆れが満ちた言葉に、ツヴァイも彼と同意しつつ冷水でゆっくりと気を楽にした。
「カルマの思い通りにならなかっただけ、よしとすればいいさ」
「あの悔しげな顔でこっちもスーっとしたし」
「夫婦ってのも楽じゃねえのに、ご苦労様だな」
そう声をかけて来たのはエン、月華、ゼロボロスだった。
それぞれ飲み物を手に取りつつ、二人の話に入ってきた。
神無は部屋を見回し、次に周囲を見直してからエンに問いかける。
「お前、スピカはどうしたんだ?」
「彼女は今、リヴァルの方に戻った。…下らない企画に巻き込まれたけど楽しかったとな」
「ハハハ」
「――ってか、ゼロボロス。てめえ、ずっと審査していたくせに黙っていたのはなんでなんだ?」
陽気に笑った彼に神無は怪訝そうに問
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