第二話 ジュエルシード?
いきなり飛ばされた場所は、人の影すら見えない草原だった。
近くにいるパートナーらしき奴に俺は話しかけた。
「ここはどこだ?」
本当に質問しかしてない気がする。
「えっと、僕も来たのは初めてですから…でも、異世界なのは間違いないと思います」
「そうか」
よく分からないがとりあえず納得してみる。
「ところで、その敬語はやめてくれないか。どうにも落ち着かん」
「あっごめん…」
「いや、別に謝らなくていいって」
「あっ、うん」
しかしまだ肝心な事を聞いていない。
「これからどうするんだ?」
「たしか、この世界の魔王を倒すと、精霊の力が働いて元の世界に戻れるって聞いたような気がするけど…」
マオウ?まおうって魔王か。いきなりラスボス!?
「いや、世界ごとにその世界を掌握している魔物がいるんだ。場所によっては魔物が完全に闇の気配に飲まれていたりして、仲間になってくれなかったりもするんだよ」
「なに?魔物が仲間になるのか?」
「うん。ここは大丈夫だと思うけど、最近は旅の扉がいくつか塞がっちゃって…たぶん、精霊の力が弱まっちゃったんだと思う。最近は人の出入りも少なくなってきたからね…」
「なるほどな。とりあえずこの世界の魔王とやらを探して倒せばいいんだな」
今度は何となく分かったと思う。
「とりあえず、お前一人じゃ心細いからな。仲間になるってんならガンガン仲間を増やしてこうぜ」
「いや、でも一人のマスターに対して一度につれて歩ける魔物は三匹までだって聞いた事がある」
くっ!理由はよく分からんが一応従っておこう。とりあえず、
「どこか人のいる場所に行くぞ、えっと…スラッシュ!!」
しばらく草原を歩き続けた結果、ちょっとした集落に着いた。スラッシュによると、基本野生の魔物は町に入ってこないらしい。草原とかにはいっぱいいたらしく、会わなかったのは奇跡に等しいらしいから驚いた。
「おや旅人かい?めずらしいねぇ。ここはアルダントの村だよ」
感じのいいおばあさんが出迎えてくれた。異世界というからにはまさか人間が住んでいるとは思わなかったが、そういえばこいつと出会った場所も異世界とかいってたな。
ばあさんに迎え入れられて、俺達は町の中へと入った。
「!!あ、あんた、その後ろに連れているのは魔物かい!?あんたたち、一体…」
ああ、そういやこいつも魔物だったな。
「いや、俺達は別に怪しい者じゃないぞ。こいつは、ちょっとした理由で俺と一緒に旅してんだ。悪い奴ではないから、ここは大目に見てくれないか?」
何とか説得を試みる。俺の気持ちが通じたのか、ばあさんはそれ以上何もいわずに俺たちを入れてくれた。さすがだな、俺。
村といっても家の屋根がわらでできていたりとかはなかった。だが、木を貼り付けただけの簡単なものだ。飛ばないように石は乗っかってはいるが。
「とりあえず宿を宿を確保しないとな。民宿とかないのか?」
ふと家々に飾ってある看板を見ると、いろいろ書いてあった。残念ながら、俺は教養が無いようで、字を読むことができなかったが、スラッシュは一丁前に読みやがった。ここは褒めてやるところだろうか。
まあ俺も、剣とか盾とか書いてあったからなんとなくは分かるが、魔物がうろついてるわけだから護身用にはいるな。
「ん?そういや金って持ってたっけ。おい、お前持ってるか?」
「えっ!そういうのは主人(マスター)が管理するんじゃ…」
どうやら俺達は命の危機の前に懐の危機を迎えたようだ。うん?まてよ…
俺は制服のズボンの中をあさる。登校中だったし、財布も持っていたはずだ。……おっ、キター!
「よし!金はある!これで何とか宿を探そう」
歩き回るが、俺は字が読めないので絵で判別しなければならない。そんな面倒なことはしたくないし、あまり意味もない。付き添いで歩いて宿を探してもらう。途中、村人はばあさんと同じ様な反応を見せたが、俺の巧妙な話術のおかげで、全員納得してくれたようだ。
「あっ、あれ!あそこ、宿屋だよ」
そこは、少し大きいほかと大して代わり映えのしないところだった。まあ、贅沢もいえまい。
「すみません。誰かいますか」
ギィとドアがきしむ。中はいがいときれいに掃除されており、これなら全然よさそうだ。
「いらっしゃい。一晩泊まりでお一人様5Gだよ。…そ、それはまさか、魔物かい?」
男は一瞬スラッシュを見て驚いたが、またしても俺が事情を説明するとそれ以上は何も言わなかった。
ってなに!?ゴールド?金の単位か!?俺は円しかもってないんだが…ん?
「えっと、これでいいですか?」
俺の財布の中から見知らぬ硬貨を渡す。大丈夫か…
「おや?これは…」
しくじったか!?
「はい、では40Gのお釣りです。部屋は階段を上がって一番奥の部屋です。では、ごゆっくり」
どうやら渡した金額が多かったようだ。いまいち価値がわからん。
なんとか宿を確保して、とりあえず部屋に行く。
「とりあえず、だ。手ぶらで戦いに行く馬鹿がどこの世界にいる。資金はあるようだから、とりあえず買い物にいってくる」
俺はスラッシュを部屋に残して、あてもなく買い物に出かけようとした。
「えっ!一緒に行かないの」
「お前は馬鹿か」
懇切丁寧に俺の苦労を説明する。人に会うたびに説得を繰り返さなければならなくなる俺の苦労も考えてくれ。
「……」
しばらく黙って下を向いていた。俺の言っていることはもっともだろう。そのことは分かってくれたかな?
「分かった。じゃあ一緒に行こう」
「はあ!?」
俺は一瞬わけが分からなくなった。俺の熱弁をあれだけ聞いたにもかかわらず意見がまったく変わっていなかったのだ。
「あのなぁ…確かに行くことは可能だが、俺が何十人に同じ説明を繰る返すことになるか分かったもんじゃねぇ」
「大丈夫。これを使えば…」
部屋の端にあるベッドの下から何かを引きずり出している。なんだ?
「じゃじゃーん!!」
ベッドの下から長い布が現れた。
「…これをどうしろと?」
なんとなくいやな予感がした。
「い、いらっしゃい。何をお探しかな?」
道具屋の店主(?)が俺の頭を見るなりまるで化け物でも見たようなリアクションをとった。
あまりターバンなんて見たことがないが、普通のターバンよりも珍しいはずだ。なんせかなり大きい上に、上から青い角が生えてるんだからな。
「えーと、じゃあ薬草を三つください」
「薬草三つですね。24Gになります」
さっきは銀貨っぽいので50Gだったからな…安全策をとろう。
「50Gですね。26Gのお釣りです。ありがとうございました」
無事、最初の買い物を済ませ、次の店へと行く途中、ここでひとつ聞いておかなければならない事がある。
「おい、この銅貨はちなみに何Gなんだ?」
「それは確か10Gだったと思うよ。クリスタルのは1Gだよ。金貨は入ってる?それは1000Gで、あんまり使わないけど、とっても高価なものだから…」
なるほどな。これで買い物もしやすくなったな。
それから俺は、色々回ってスラッシュにも聞きながら必要なものを手に入れた。
そして、とりあえず今夜はこの村で一泊する事になった。
夜が明けると、眩い光が差していた。
俺は、間抜けな顔をして寝ているスラッシュを起こし、どうするか臨時会議を開くことにした。
「で、俺たちはこれから魔王を倒しに行くんだが…」
「うん」
「魔王はどこにいる?」
その瞬間、世界中の時が止まったようだった。
「ってなんだよ!お前もわかんねぇのかよ!」
思わず突っ込んでしまった。
「いや、だって…」
「まあいい。とりあえず村の人にでも聞いてみるか」
その辺にいた村人に聞くと、意外とあっさり場所がわかった。
その場所とはこの村から少し北に行ったところにある洞窟にいるという。
しかし、本当にいるのか怪しいものだ。
だが、俺たちには他に手がかりが何もない以上、そこに行くしかない。
かくして、俺たちは魔王討伐の旅へと旅だったのであった…
「さて、そして、俺たちは徒歩三十分ほどで魔王の居城に着いたんだが…」
まさに絵に描いたような洞窟だ。崖に巨大な横穴が空いている。
とりあえず入ってみた。
「ふはははは、おれさまはこの世界を治める、マッドロン様だ!」
とりあえず洞窟を出ようとした。
「待てい!」
なに!瞬間移動か!?
「ふはははは!貴様を死の淵へといざなってくれる!」
くっ!一体どうすれば…
「カケル!僕に指示を!!」
指示だぁ!?
「よくわからんが、ガンガン行けー!!」
「了解っっ!!」
敵に突進していくスラッシュ。そして思い切り突き刺さってマッドなんとかが吹き飛んだ。そのときも、体は地面から出ていなかった。まったく、どうなってんだか。
「ぐおおお!」
あれ?思ったよりも効いてるんじゃないか?
「くっ…!よもやこの私が、たかがスライムにやられるとは…ガクッ、」
茶色い変なやつは、そのまま光となって霧散していった。
「お前…結構強いな…」
「いやぁ、」
しかし、これで本当に魔王を倒したのか…?なんか弱すぎやしないか。
ふと俺がそんな疑問を抱く。すると、
「うわっ!?なんだ!!」
足元から光が溢れ出した。そのまま俺とスラッシュと包み込んだ、というか閉じ込められたが正しいかもしれない。
その後、しばらく無重力だかなんだかよくわからない状態が俺の感覚では十秒ほど続いた後、光が晴れていく。
なんだか目を開けるのが怖かったが、恐る恐る目を開く。
「………あれ?」
目の前には小さな女の子が立っていた。
「…フン、やっと帰ってきたか」
「なんだ。お前か」
確か俺を蹴り飛ばしたはずなんだが…なんでこんなに態度が大きくできるんだ?
「いちいち細かいな〜。だからオトコは面倒なのよ」
まあもう過ぎた事だから何も言うまいて。
「それはさておいて、ツグミ、俺はどうしたら良いんだ?」
とりあえず魔王っぽいのは倒してきたぞ。
「それならあんたの荷物の中に何か増えてない?」
「何かって?」
とりあえず鞄の中身を取り出してみる。すると、
「?これは…」
なんか透き通ってる碧い石のかけらっぽいのが入ってる。まさかこれが…
「ああ、それそれ。ちょっと貸して」
貸す、というよりも完全に奪われたが…まあ細かい事は気にしない方向で。
「これは新しい旅の扉を作るための、要するに旅の扉の元みたいなもん」
ふむ。これなら俺でも分かるぞ。
「そういえばどうやって戻って来たの?本当なら戻ってくる時は。精霊の力を借りて戻ってくるんだけど…ちょっとした事情でウチの国は今精霊がいないから…」
「ちょっと待て。それだと俺は戻ってこれなかったかもしれないんじゃないか?」
「まあ他の国の精霊がやってくれたりするんだけどね。どんな精霊だった?」
どんなと言われても困る。そこで俺は現場での事象を話した。
「えっ、見えなかったの?…もしかしてボワかも。あいつ恥ずかしがり屋だから。ちなみにボワっていうのはこの国の精霊のわたぼうの子分みたいな奴。まだ精霊になりきってないからあんまり力は強くないから期待はしないでね」
しかし面倒見が良いのか、結構丁寧に説明してくれてるじゃないか。
「そうそう。あんたが行く前にちょっと忘れてた事があったからちょっと牧場に来なさい」
腕を掴まれ体制を前屈みにしながら引っ張られていった。
ぶっちゃけ道なんてわかりゃしねぇから助かってるとも言えよう。
近くにいるパートナーらしき奴に俺は話しかけた。
「ここはどこだ?」
本当に質問しかしてない気がする。
「えっと、僕も来たのは初めてですから…でも、異世界なのは間違いないと思います」
「そうか」
よく分からないがとりあえず納得してみる。
「ところで、その敬語はやめてくれないか。どうにも落ち着かん」
「あっごめん…」
「いや、別に謝らなくていいって」
「あっ、うん」
しかしまだ肝心な事を聞いていない。
「これからどうするんだ?」
「たしか、この世界の魔王を倒すと、精霊の力が働いて元の世界に戻れるって聞いたような気がするけど…」
マオウ?まおうって魔王か。いきなりラスボス!?
「いや、世界ごとにその世界を掌握している魔物がいるんだ。場所によっては魔物が完全に闇の気配に飲まれていたりして、仲間になってくれなかったりもするんだよ」
「なに?魔物が仲間になるのか?」
「うん。ここは大丈夫だと思うけど、最近は旅の扉がいくつか塞がっちゃって…たぶん、精霊の力が弱まっちゃったんだと思う。最近は人の出入りも少なくなってきたからね…」
「なるほどな。とりあえずこの世界の魔王とやらを探して倒せばいいんだな」
今度は何となく分かったと思う。
「とりあえず、お前一人じゃ心細いからな。仲間になるってんならガンガン仲間を増やしてこうぜ」
「いや、でも一人のマスターに対して一度につれて歩ける魔物は三匹までだって聞いた事がある」
くっ!理由はよく分からんが一応従っておこう。とりあえず、
「どこか人のいる場所に行くぞ、えっと…スラッシュ!!」
しばらく草原を歩き続けた結果、ちょっとした集落に着いた。スラッシュによると、基本野生の魔物は町に入ってこないらしい。草原とかにはいっぱいいたらしく、会わなかったのは奇跡に等しいらしいから驚いた。
「おや旅人かい?めずらしいねぇ。ここはアルダントの村だよ」
感じのいいおばあさんが出迎えてくれた。異世界というからにはまさか人間が住んでいるとは思わなかったが、そういえばこいつと出会った場所も異世界とかいってたな。
ばあさんに迎え入れられて、俺達は町の中へと入った。
「!!あ、あんた、その後ろに連れているのは魔物かい!?あんたたち、一体…」
ああ、そういやこいつも魔物だったな。
「いや、俺達は別に怪しい者じゃないぞ。こいつは、ちょっとした理由で俺と一緒に旅してんだ。悪い奴ではないから、ここは大目に見てくれないか?」
何とか説得を試みる。俺の気持ちが通じたのか、ばあさんはそれ以上何もいわずに俺たちを入れてくれた。さすがだな、俺。
村といっても家の屋根がわらでできていたりとかはなかった。だが、木を貼り付けただけの簡単なものだ。飛ばないように石は乗っかってはいるが。
「とりあえず宿を宿を確保しないとな。民宿とかないのか?」
ふと家々に飾ってある看板を見ると、いろいろ書いてあった。残念ながら、俺は教養が無いようで、字を読むことができなかったが、スラッシュは一丁前に読みやがった。ここは褒めてやるところだろうか。
まあ俺も、剣とか盾とか書いてあったからなんとなくは分かるが、魔物がうろついてるわけだから護身用にはいるな。
「ん?そういや金って持ってたっけ。おい、お前持ってるか?」
「えっ!そういうのは主人(マスター)が管理するんじゃ…」
どうやら俺達は命の危機の前に懐の危機を迎えたようだ。うん?まてよ…
俺は制服のズボンの中をあさる。登校中だったし、財布も持っていたはずだ。……おっ、キター!
「よし!金はある!これで何とか宿を探そう」
歩き回るが、俺は字が読めないので絵で判別しなければならない。そんな面倒なことはしたくないし、あまり意味もない。付き添いで歩いて宿を探してもらう。途中、村人はばあさんと同じ様な反応を見せたが、俺の巧妙な話術のおかげで、全員納得してくれたようだ。
「あっ、あれ!あそこ、宿屋だよ」
そこは、少し大きいほかと大して代わり映えのしないところだった。まあ、贅沢もいえまい。
「すみません。誰かいますか」
ギィとドアがきしむ。中はいがいときれいに掃除されており、これなら全然よさそうだ。
「いらっしゃい。一晩泊まりでお一人様5Gだよ。…そ、それはまさか、魔物かい?」
男は一瞬スラッシュを見て驚いたが、またしても俺が事情を説明するとそれ以上は何も言わなかった。
ってなに!?ゴールド?金の単位か!?俺は円しかもってないんだが…ん?
「えっと、これでいいですか?」
俺の財布の中から見知らぬ硬貨を渡す。大丈夫か…
「おや?これは…」
しくじったか!?
「はい、では40Gのお釣りです。部屋は階段を上がって一番奥の部屋です。では、ごゆっくり」
どうやら渡した金額が多かったようだ。いまいち価値がわからん。
なんとか宿を確保して、とりあえず部屋に行く。
「とりあえず、だ。手ぶらで戦いに行く馬鹿がどこの世界にいる。資金はあるようだから、とりあえず買い物にいってくる」
俺はスラッシュを部屋に残して、あてもなく買い物に出かけようとした。
「えっ!一緒に行かないの」
「お前は馬鹿か」
懇切丁寧に俺の苦労を説明する。人に会うたびに説得を繰り返さなければならなくなる俺の苦労も考えてくれ。
「……」
しばらく黙って下を向いていた。俺の言っていることはもっともだろう。そのことは分かってくれたかな?
「分かった。じゃあ一緒に行こう」
「はあ!?」
俺は一瞬わけが分からなくなった。俺の熱弁をあれだけ聞いたにもかかわらず意見がまったく変わっていなかったのだ。
「あのなぁ…確かに行くことは可能だが、俺が何十人に同じ説明を繰る返すことになるか分かったもんじゃねぇ」
「大丈夫。これを使えば…」
部屋の端にあるベッドの下から何かを引きずり出している。なんだ?
「じゃじゃーん!!」
ベッドの下から長い布が現れた。
「…これをどうしろと?」
なんとなくいやな予感がした。
「い、いらっしゃい。何をお探しかな?」
道具屋の店主(?)が俺の頭を見るなりまるで化け物でも見たようなリアクションをとった。
あまりターバンなんて見たことがないが、普通のターバンよりも珍しいはずだ。なんせかなり大きい上に、上から青い角が生えてるんだからな。
「えーと、じゃあ薬草を三つください」
「薬草三つですね。24Gになります」
さっきは銀貨っぽいので50Gだったからな…安全策をとろう。
「50Gですね。26Gのお釣りです。ありがとうございました」
無事、最初の買い物を済ませ、次の店へと行く途中、ここでひとつ聞いておかなければならない事がある。
「おい、この銅貨はちなみに何Gなんだ?」
「それは確か10Gだったと思うよ。クリスタルのは1Gだよ。金貨は入ってる?それは1000Gで、あんまり使わないけど、とっても高価なものだから…」
なるほどな。これで買い物もしやすくなったな。
それから俺は、色々回ってスラッシュにも聞きながら必要なものを手に入れた。
そして、とりあえず今夜はこの村で一泊する事になった。
夜が明けると、眩い光が差していた。
俺は、間抜けな顔をして寝ているスラッシュを起こし、どうするか臨時会議を開くことにした。
「で、俺たちはこれから魔王を倒しに行くんだが…」
「うん」
「魔王はどこにいる?」
その瞬間、世界中の時が止まったようだった。
「ってなんだよ!お前もわかんねぇのかよ!」
思わず突っ込んでしまった。
「いや、だって…」
「まあいい。とりあえず村の人にでも聞いてみるか」
その辺にいた村人に聞くと、意外とあっさり場所がわかった。
その場所とはこの村から少し北に行ったところにある洞窟にいるという。
しかし、本当にいるのか怪しいものだ。
だが、俺たちには他に手がかりが何もない以上、そこに行くしかない。
かくして、俺たちは魔王討伐の旅へと旅だったのであった…
「さて、そして、俺たちは徒歩三十分ほどで魔王の居城に着いたんだが…」
まさに絵に描いたような洞窟だ。崖に巨大な横穴が空いている。
とりあえず入ってみた。
「ふはははは、おれさまはこの世界を治める、マッドロン様だ!」
とりあえず洞窟を出ようとした。
「待てい!」
なに!瞬間移動か!?
「ふはははは!貴様を死の淵へといざなってくれる!」
くっ!一体どうすれば…
「カケル!僕に指示を!!」
指示だぁ!?
「よくわからんが、ガンガン行けー!!」
「了解っっ!!」
敵に突進していくスラッシュ。そして思い切り突き刺さってマッドなんとかが吹き飛んだ。そのときも、体は地面から出ていなかった。まったく、どうなってんだか。
「ぐおおお!」
あれ?思ったよりも効いてるんじゃないか?
「くっ…!よもやこの私が、たかがスライムにやられるとは…ガクッ、」
茶色い変なやつは、そのまま光となって霧散していった。
「お前…結構強いな…」
「いやぁ、」
しかし、これで本当に魔王を倒したのか…?なんか弱すぎやしないか。
ふと俺がそんな疑問を抱く。すると、
「うわっ!?なんだ!!」
足元から光が溢れ出した。そのまま俺とスラッシュと包み込んだ、というか閉じ込められたが正しいかもしれない。
その後、しばらく無重力だかなんだかよくわからない状態が俺の感覚では十秒ほど続いた後、光が晴れていく。
なんだか目を開けるのが怖かったが、恐る恐る目を開く。
「………あれ?」
目の前には小さな女の子が立っていた。
「…フン、やっと帰ってきたか」
「なんだ。お前か」
確か俺を蹴り飛ばしたはずなんだが…なんでこんなに態度が大きくできるんだ?
「いちいち細かいな〜。だからオトコは面倒なのよ」
まあもう過ぎた事だから何も言うまいて。
「それはさておいて、ツグミ、俺はどうしたら良いんだ?」
とりあえず魔王っぽいのは倒してきたぞ。
「それならあんたの荷物の中に何か増えてない?」
「何かって?」
とりあえず鞄の中身を取り出してみる。すると、
「?これは…」
なんか透き通ってる碧い石のかけらっぽいのが入ってる。まさかこれが…
「ああ、それそれ。ちょっと貸して」
貸す、というよりも完全に奪われたが…まあ細かい事は気にしない方向で。
「これは新しい旅の扉を作るための、要するに旅の扉の元みたいなもん」
ふむ。これなら俺でも分かるぞ。
「そういえばどうやって戻って来たの?本当なら戻ってくる時は。精霊の力を借りて戻ってくるんだけど…ちょっとした事情でウチの国は今精霊がいないから…」
「ちょっと待て。それだと俺は戻ってこれなかったかもしれないんじゃないか?」
「まあ他の国の精霊がやってくれたりするんだけどね。どんな精霊だった?」
どんなと言われても困る。そこで俺は現場での事象を話した。
「えっ、見えなかったの?…もしかしてボワかも。あいつ恥ずかしがり屋だから。ちなみにボワっていうのはこの国の精霊のわたぼうの子分みたいな奴。まだ精霊になりきってないからあんまり力は強くないから期待はしないでね」
しかし面倒見が良いのか、結構丁寧に説明してくれてるじゃないか。
「そうそう。あんたが行く前にちょっと忘れてた事があったからちょっと牧場に来なさい」
腕を掴まれ体制を前屈みにしながら引っ張られていった。
ぶっちゃけ道なんてわかりゃしねぇから助かってるとも言えよう。
12/04/06 14:19 デロリン・デ・ローデ ▲
■作者メッセージ
少し更新日が遅れてしまいました。
文字数を数えて見たら四千五百文字と、予想を上回る字数になっていて仰天しました。
このストーリーだと、どうなるかすら僕にも分かりません。
最近モンハンをかって小説を書く時間がありませんので大変です。。
今月分の電撃への投稿用もまだ全然完成していませんw
読んでいる人は……結構少なそうですが、その中で電撃を買っていたりする人はもしこの名前を見かけたら、ヨロピク!!!
文字数を数えて見たら四千五百文字と、予想を上回る字数になっていて仰天しました。
このストーリーだと、どうなるかすら僕にも分かりません。
最近モンハンをかって小説を書く時間がありませんので大変です。。
今月分の電撃への投稿用もまだ全然完成していませんw
読んでいる人は……結構少なそうですが、その中で電撃を買っていたりする人はもしこの名前を見かけたら、ヨロピク!!!