第6章『森を駆ける少女』 4
「はあ、はあ、はあ…」
アルセリアは息を切らしていた。
目の前の敵、グラシャラボラスはかなりタフな魔物であった。
それだけならまだいいのだが、問題は前衛が現在自分とクノンだけという状況だ。
いつも自分たち同様前衛で戦っているレイノスとセネリオは今回譜術による後衛をメインに戦っている。
この敵は物理攻撃に強く、譜術による攻撃が有効なのだが、あいにくいつも譜術で戦うリンが今はいない。
故に、自分とクノンは二人だけで壁役を行うこととなってしまった。
クノンはまだ余裕があるみたいだが、セリアはかなり疲労を溜めていた。
リンが戻ってくれば、レイノスやセネリオも少しは前衛として戦う事も出来るだろうが――
「お嬢ちゃん、しっかり!ホラ、アップルグミだよ!」
「あ、ありがとうございます」
また、リンがいない為に治癒術を使えるものがおらず、回復をグミに頼るしかないと言うのも辛い。
「はああああああああああああ!」
クノンから受け取ったアップルグミを食べ、体力を回復させたアルセリアは、もう何度目になるかもわからない攻撃を仕掛ける。
「グギャアアアアア!」
対するグラシャラボラスは、雄叫びをあげながらアルセリアに突っ込んでいく。
アルセリアは、力負けして吹き飛ばされる。
「きゃああ!」
思わずその場に尻もちをつくセリア。
「逃げろセリア!」
「え!?」
ミステリアスの声にアルセリアが顔をあげると、眼前にグラシャラボラスが迫ってきていた。
しかし、セリアはすぐに立つことなどできず、逃げることができない。
「氷樹!」
そんな絶体絶命のピンチの中、現れたのは一本の短剣。
短剣はグラシャラボラスの足下に命中すると、その足下が凍り付き、一瞬だが動きを止める。
「今だよハノン!ファイヤーッ!」
「みゅみゅううううう!」
続いて現れたのは黄色いチーグルの姿であった。
チーグル――ハノンは、グラシャラボラス目がけて火を吐いた。
「グルウウウウウウウウウウ!!」
強力な炎に焼かれた敵は苦しそうなうめき声をあげる。
「スプラッシュ!」
続けて放たれた水の譜術。
敵は水の渦にのみ込まれ、再び動きを止める。
「ボケっとするな!」
そんな厳しい声と共に、セネリオがアルセリアを抱えて避難させる。
「あ、ありがとうございますセネリオさん」
―FOF変化―
「バレットシャワー!」
それは、ミステリアスのFOF技であった。
シノンの氷樹とリンのスプラッシュにより発生したFOFにより発生したこの技は、味方全体に癒しの銃弾を撃ち込み、体力を回復させる技であった。
「ミステリアス、お前治癒術使えたのかよ!?」
ミステリアスが治癒の技を使えることを知らなかったレイノスは驚きの声をあげる。
「今使えるのはFOFのこいつだけだ。助っ人の二人が現れるまで、誰も水のFOFを発生させられる奴がいなかったからな」
そういってミステリアスは助っ人の二人の方を見る。
助っ人の正体――それはリンとシノンであった。
「リン、戻ってきてくれて助かった。それからシノン、だったか?助けてくれてありがとうな」
レイノスは二人に礼を言う。
「お礼は後。今はこいつを倒さないと」
そういうとリンは、再び詠唱を開始し、譜術を使おうとするが…
「いや、もう必要ない」
そう呟いたのは、セネリオだった。
彼の身体は蒼白く輝いている。
――オーバーリミッツの光だ。
「ここから先は俺に任せてくれ」
「お、おいセネリオ、いくらオーバーリミッツしても、こいつはそう簡単には…」
「問題ない、一撃で決める」
そういうとセネリオは、さらに闘気を強める。
その余りの闘気に、レイノスは戦慄する。
凄まじい闘気を解放したセネリオは、敵であるグラシャラボラスに高速で近づき、そして…
――秘奥義発動――
「魔神………煉獄刹!!」
「なっ!?」
一瞬の出来事だった。
凄まじいスピードにより一瞬のうちに一撃を浴びせたセネリオは、続けて突進突きを食らわせ、グラシャラボラスの巨体を引き裂いてみせた。
それらの一連の動きにかかった時間は一秒にも満たない。
凄まじいスピードと…威力だった。
「ちっ…やはりまだまだ不完全だな」
「なっ、不完全!?今のでかよ!?」
セネリオの言葉に、レイノスは再度驚くこととなった。
今の凄まじい技が…完璧ではないと言うのだ。
「ああ、本来の俺の力なら、今以上のパワーとスピードで敵を斬ることが出来たのだが…まだまだだな」
「お前、化け物かよ…」
ともかく、セネリオの一撃を受けた敵、グラシャラボラスは肉塊となり、もはや動くことなどない。
こうしてレイノス達は、チーグルの森のピンチを救ったのであった。
スキット「秘奥義」
レイノス「さっきのが秘奥義…」
セネリオ「ああ、オーバーリミッツの闘気を全開放して放つ必殺の一撃だ」
アルセリア「ミステリアスさんやクノンさんも、使えるんですか?」
クノン「うん、使えるヨ〜」
ミステリアス「ああ、俺も使える」
シノン「うわあ、すごいな〜!」
リン「せっかく助っ人に来たのに、セネリオに全部持っていかれちゃったわね…」
アルセリアは息を切らしていた。
目の前の敵、グラシャラボラスはかなりタフな魔物であった。
それだけならまだいいのだが、問題は前衛が現在自分とクノンだけという状況だ。
いつも自分たち同様前衛で戦っているレイノスとセネリオは今回譜術による後衛をメインに戦っている。
この敵は物理攻撃に強く、譜術による攻撃が有効なのだが、あいにくいつも譜術で戦うリンが今はいない。
故に、自分とクノンは二人だけで壁役を行うこととなってしまった。
クノンはまだ余裕があるみたいだが、セリアはかなり疲労を溜めていた。
リンが戻ってくれば、レイノスやセネリオも少しは前衛として戦う事も出来るだろうが――
「お嬢ちゃん、しっかり!ホラ、アップルグミだよ!」
「あ、ありがとうございます」
また、リンがいない為に治癒術を使えるものがおらず、回復をグミに頼るしかないと言うのも辛い。
「はああああああああああああ!」
クノンから受け取ったアップルグミを食べ、体力を回復させたアルセリアは、もう何度目になるかもわからない攻撃を仕掛ける。
「グギャアアアアア!」
対するグラシャラボラスは、雄叫びをあげながらアルセリアに突っ込んでいく。
アルセリアは、力負けして吹き飛ばされる。
「きゃああ!」
思わずその場に尻もちをつくセリア。
「逃げろセリア!」
「え!?」
ミステリアスの声にアルセリアが顔をあげると、眼前にグラシャラボラスが迫ってきていた。
しかし、セリアはすぐに立つことなどできず、逃げることができない。
「氷樹!」
そんな絶体絶命のピンチの中、現れたのは一本の短剣。
短剣はグラシャラボラスの足下に命中すると、その足下が凍り付き、一瞬だが動きを止める。
「今だよハノン!ファイヤーッ!」
「みゅみゅううううう!」
続いて現れたのは黄色いチーグルの姿であった。
チーグル――ハノンは、グラシャラボラス目がけて火を吐いた。
「グルウウウウウウウウウウ!!」
強力な炎に焼かれた敵は苦しそうなうめき声をあげる。
「スプラッシュ!」
続けて放たれた水の譜術。
敵は水の渦にのみ込まれ、再び動きを止める。
「ボケっとするな!」
そんな厳しい声と共に、セネリオがアルセリアを抱えて避難させる。
「あ、ありがとうございますセネリオさん」
―FOF変化―
「バレットシャワー!」
それは、ミステリアスのFOF技であった。
シノンの氷樹とリンのスプラッシュにより発生したFOFにより発生したこの技は、味方全体に癒しの銃弾を撃ち込み、体力を回復させる技であった。
「ミステリアス、お前治癒術使えたのかよ!?」
ミステリアスが治癒の技を使えることを知らなかったレイノスは驚きの声をあげる。
「今使えるのはFOFのこいつだけだ。助っ人の二人が現れるまで、誰も水のFOFを発生させられる奴がいなかったからな」
そういってミステリアスは助っ人の二人の方を見る。
助っ人の正体――それはリンとシノンであった。
「リン、戻ってきてくれて助かった。それからシノン、だったか?助けてくれてありがとうな」
レイノスは二人に礼を言う。
「お礼は後。今はこいつを倒さないと」
そういうとリンは、再び詠唱を開始し、譜術を使おうとするが…
「いや、もう必要ない」
そう呟いたのは、セネリオだった。
彼の身体は蒼白く輝いている。
――オーバーリミッツの光だ。
「ここから先は俺に任せてくれ」
「お、おいセネリオ、いくらオーバーリミッツしても、こいつはそう簡単には…」
「問題ない、一撃で決める」
そういうとセネリオは、さらに闘気を強める。
その余りの闘気に、レイノスは戦慄する。
凄まじい闘気を解放したセネリオは、敵であるグラシャラボラスに高速で近づき、そして…
――秘奥義発動――
「魔神………煉獄刹!!」
「なっ!?」
一瞬の出来事だった。
凄まじいスピードにより一瞬のうちに一撃を浴びせたセネリオは、続けて突進突きを食らわせ、グラシャラボラスの巨体を引き裂いてみせた。
それらの一連の動きにかかった時間は一秒にも満たない。
凄まじいスピードと…威力だった。
「ちっ…やはりまだまだ不完全だな」
「なっ、不完全!?今のでかよ!?」
セネリオの言葉に、レイノスは再度驚くこととなった。
今の凄まじい技が…完璧ではないと言うのだ。
「ああ、本来の俺の力なら、今以上のパワーとスピードで敵を斬ることが出来たのだが…まだまだだな」
「お前、化け物かよ…」
ともかく、セネリオの一撃を受けた敵、グラシャラボラスは肉塊となり、もはや動くことなどない。
こうしてレイノス達は、チーグルの森のピンチを救ったのであった。
スキット「秘奥義」
レイノス「さっきのが秘奥義…」
セネリオ「ああ、オーバーリミッツの闘気を全開放して放つ必殺の一撃だ」
アルセリア「ミステリアスさんやクノンさんも、使えるんですか?」
クノン「うん、使えるヨ〜」
ミステリアス「ああ、俺も使える」
シノン「うわあ、すごいな〜!」
リン「せっかく助っ人に来たのに、セネリオに全部持っていかれちゃったわね…」
■作者メッセージ
というわけでボス戦終了
そして初めてパーティメンバーに秘奥義使わせました
そして初めてパーティメンバーに秘奥義使わせました