「よう、レイノス、スクルド、久しぶりだな」

応接室へとやってきたレイノス達。
そこでレイノス達兄妹に声をかけた人物。
その人物こそが、リンの父親でルークの親友であるガイである。

「お久しぶりです、ガイさん」

礼儀正しく挨拶をするスクルド。

「ガイさん、稽古つけてくれよ」
「ははは、レイノスは相変わらず元気だな」

一方のレイノスは開口一番ガイに剣の稽古を頼んでくる。
レイノスのそんな様子に、ガイは苦笑する。

「レイノス！さっき俺が稽古つけてやったばっかじゃねえか！」
「親父は俺で遊んでるだけだろ！」

レイノスの様子に、不服そうな表情で文句を言うのはルークだ。
が、レイノスは真面目に稽古をつけてくれない父親への不満を漏らして言い返した。

「まあまあ落ち着けよ二人とも。そうだな…せっかくだしリンと実戦稽古でもしたらどうだ」
「私と？」
「そういやリンとはしばらく稽古してないな…久しぶりにやるか」

ガイは親子の喧嘩をなだめつつ、レイノスに対してリンとの稽古を提案する。
リンはガイの提案にきょとんとしている
そしてレイノスは、しばらくリンと手合せをしていないことを思い出し、ガイの提案に了承する。

「とりあえず、まずは朝食にしましょう」

それまで黙っていたティアに促され、レイノスとスクルドは席に着いた。

「それじゃあ、俺とリンは庭の方で待ってるからな」

ガイはそういうとリンと共に応接室を出た。



朝食を食べ終わり、レイノスは両親と共に庭へとやってきた。
すでにガイとリンは来ている。

「準備はいい、レイノス？」
「ああ、いつでもいいぜリン！」

レイノスとリン、双方が木刀を持って構える。

「それじゃあ行くぞ。……始め！」

審判を務めるガイの掛け声とともに、レイノスとリンは走り出した。



「は！」
「やあ！」

実戦稽古が始まって数分、二人は木刀を打ち合う。


「そこだ！双牙斬！」

レイノスは先ほどルークにも使った技を放つ。

「なんの！」

しかし対するリンはレイノスの技をかわすと、攻撃のモーションに入る。


「弧月閃！」


ガイ直伝の技により、レイノスが斬りつけられる。

「ぐ！」

リンの技を受けてレイノスはひるむ。
そしてひるんだ隙に詠唱を始める。


「ライトニング！」


「ぐああああ！」


リンの譜術により、雷がレイノスを襲う……


「…って、おいこらリン！お前剣術稽古で譜術使うなよな！」
「べ、別にいいでしょ！私はこっちがメインなんだから！」

剣術訓練で譜術を使ってきたことに文句を言うレイノスだったが、すかさずリンも言い返す。
そう、彼女は武器こそ剣を使ってガイに手ほどきを受けているが、その真価は剣術ではなく譜術であったのだ。

「そこまで！」

言い合いを始めた二人にあきれた様子を見せつつ、審判のガイが実戦稽古終了の宣言をした。


「レイノス、なかなか腕をあげたじゃないか」
「へへ♪」


稽古が終わり、ガイはレイノスの成長を褒める。
褒められてうれしそうな様子を見せるレイノス。

「それにしてもリン、お前譜術の詠唱速くなったよな。それに威力も強くなったような…」
「ふふ、毎日自己練は欠かしてないし、たまにジェイド元帥が特訓に付き合ってくれるからね」
「だからって、剣術稽古で使うのはやめろよな」
「うう〜、いいじゃない。剣術メインのレイノスと違って私は譜術がメインなんだもん」




レイノスとリンが剣術稽古をしていたその頃スクルドは、一人自分の部屋へと戻っていた。
レイノスは気のせいだと言っていたが、やはり先ほどの人影が気になったのだ。
そしてスクルドは、自分の部屋の扉を開け……


「え……」


自分の部屋の扉を開けたその瞬間、スクルドはそう短い声を漏らした。
彼女の目の前には、フードで顔を隠した集団が待ち構えていた。



「きゃああああああああああああああああ！！」



「なっ！？今の声は…スクルド！？」
「部屋からだわ！」

突然の悲鳴にルークとティアは急いでスクルドの部屋へと向かう。

「私たちも行こう！レイノス！」
「ああ！」

レイノス、リン、ガイもスクルドの部屋へと急いだ。



スキット「リンの譜術」
レイノス「お前、ジェイド元帥から譜術の手ほどき受けてるって本当なのか？」
リン「ええ。まあ、ジェイドさんは忙しいから、ほんのたまにだけどね」
レイノス「俺も譜術は少しは使えるけど、ジェイドさんに習ったら、リンみたく強力なのが使えるようになるかな？」
リン「う〜ん、譜術は本人の資質が大きく関係してくるってジェイドさんは言ってたけど…」
レイノス「ふ〜ん…まあ、俺は剣さえあればいいし、別に譜術なんて興味ねえけどな」
リン「だったらなんで聞いてきたのよ…」