第7章『救出大決戦』 3
「ほう、俺達に協力したいと?」
突然現れた男の提案に、ゼウスは興味深げに男を見る。
「はい、明日ここにあなたたちからファブレ嬢を取り戻すためにある一団がやってきます。その一団を倒すのに、わたくしも手を貸します」
ゼウスの前に現れたその男――フォルクスはそういって手を差し出す。
が、ゼウスはその手を握り返すことはなく口を開いた。
「俺達じゃあそいつを倒せねえってのか?なめられたもんだ」
「油断してはなりません!その一団は少数ながらもそれぞれ高い実力を持っています!それに…あの【漆黒のセネリオ】もいるのですよ」
「ほお…元六神将サマがね」
セネリオの名を聞き、ゼウスは興味を示す。
元六神将のかつての勇名は、ゼウスもよく知っていた。
「面白いじゃねえか…そんなすげえ奴と戦えるとはな。ゾクゾクするぜ。お前等もそう思わねえか?バックス、アテネ、アレン」
そういってゼウスはそばにいた3人に声をかける。
「oh!そんなstrongな奴らとbattleできるなんて、ウルトラhappyだな!」
変わった口調でテンション高く叫ぶ男の名はバックス。
「うふふ、【漆黒のセネリオ】…真っ赤で綺麗な血を流してくれるのかな…フフフフフフフフ」
物騒な言葉を発しながら不気味な笑いを浮かべる女はアテネ。
「……………」
言葉を発することもなく黙々と剣の手入れをするアテネの弟アレン。
「倒してくれればたっぷりとお礼はします。ですからどうか、わたくしも彼らを倒すのを手伝わせてくださいませ」
「…分かった。いい働きを期待させてもらうぜ」
こうして、フォルクスは賊の一団と一時的な同盟を組むことにした。
ゼウスと手を握り合いながら、フォルクスは心中でほくそ笑む。
(賊たちとの協力は取り付けました。これでセネリオ達を倒すのも楽になることでしょう。ふふふ、見てなさいセネリオ達。この前の雪辱、晴らさせてもらいますよ)
「ちょっと外の空気吸ってくる」
そういって、レイノスは部屋から出ようとする。
「そんなことをするくらいなら、早く寝ろ。クノンもミステリアスも、既に寝ているぞ」
それを呼び止めたのは、セネリオだ。
彼はいつものように、ラグネルとエタルドの手入れを念入りにしている。
明日討伐に向かう賊が、それなりの強敵だと聞いたからか、剣の手入れをするその様子からは強い気合を感じる。
「そういうお前こそ、さっさと寝ろよ」
「これが終わったら寝るし、仮に起きてたとしてもコンディションを崩すことなどない。だがお前は朝が弱いんだ。さっさと眠ってもらわなければ困る」
「う…」
セネリオの言い分に、レイノスは言葉に詰まる。
「…気が逸るのも分かるが、落ち着け」
「…確かにセネリオの言う通りだな。今更そわそわしたってしょうがねえよな」
そう言うとレイノスは部屋に出るのをやめ布団にもぐりこんだ。
「レイノス」
「ん?どうしたセネリオ」
「お前には…お前達には感謝している」
「な、なんだよ急に」
「脱獄犯の大量殺人鬼である俺を信じてよくここまで着いてきてくれた。本当に感謝している。ありがとう」
「べ、別にお前に協力してやったわけじゃねえからな!俺はあくまでスクルドを助けたかっただけだ!」
「ふ…そうだったな」
「……セネリオ」
「なんだ」
「明日は、絶対に勝とうぜ」
「当然だ」
翌日の朝。
いよいよスクルドを取り戻すために賊のアジトであるシュレーの丘に乗り込む日がやってきた。
いつもは寝坊してばかりのレイノスも、今日ばかりは早起きで、準備は万端だ。
「それじゃあマクガヴァン元帥、行ってきます」
見送りに来たグレン・マクガヴァンに、レイノスは出発する旨を伝える。
「少し遅れるが、そちらに少数の兵を向かわせる。…街が壊滅状態な今、あまり大量に送ることは出来ないのでな」
「いえ、それだけでも十分です!ありがとうございます」
元帥の厚意にリンは礼を言う。
「奴らは、この街の人間も何人か誘拐している。どうか、彼らのことも救ってやってほしい」
そういうと元帥は踵を返してマルクト軍基地の方へ戻っていった。
「よし、それじゃあみんな、いくぞ!」
こうして、スクルド救出の旅は、最終局面を迎えようとしていた。
果たして彼らは、無事にスクルドを取り戻すことができるのか…
突然現れた男の提案に、ゼウスは興味深げに男を見る。
「はい、明日ここにあなたたちからファブレ嬢を取り戻すためにある一団がやってきます。その一団を倒すのに、わたくしも手を貸します」
ゼウスの前に現れたその男――フォルクスはそういって手を差し出す。
が、ゼウスはその手を握り返すことはなく口を開いた。
「俺達じゃあそいつを倒せねえってのか?なめられたもんだ」
「油断してはなりません!その一団は少数ながらもそれぞれ高い実力を持っています!それに…あの【漆黒のセネリオ】もいるのですよ」
「ほお…元六神将サマがね」
セネリオの名を聞き、ゼウスは興味を示す。
元六神将のかつての勇名は、ゼウスもよく知っていた。
「面白いじゃねえか…そんなすげえ奴と戦えるとはな。ゾクゾクするぜ。お前等もそう思わねえか?バックス、アテネ、アレン」
そういってゼウスはそばにいた3人に声をかける。
「oh!そんなstrongな奴らとbattleできるなんて、ウルトラhappyだな!」
変わった口調でテンション高く叫ぶ男の名はバックス。
「うふふ、【漆黒のセネリオ】…真っ赤で綺麗な血を流してくれるのかな…フフフフフフフフ」
物騒な言葉を発しながら不気味な笑いを浮かべる女はアテネ。
「……………」
言葉を発することもなく黙々と剣の手入れをするアテネの弟アレン。
「倒してくれればたっぷりとお礼はします。ですからどうか、わたくしも彼らを倒すのを手伝わせてくださいませ」
「…分かった。いい働きを期待させてもらうぜ」
こうして、フォルクスは賊の一団と一時的な同盟を組むことにした。
ゼウスと手を握り合いながら、フォルクスは心中でほくそ笑む。
(賊たちとの協力は取り付けました。これでセネリオ達を倒すのも楽になることでしょう。ふふふ、見てなさいセネリオ達。この前の雪辱、晴らさせてもらいますよ)
「ちょっと外の空気吸ってくる」
そういって、レイノスは部屋から出ようとする。
「そんなことをするくらいなら、早く寝ろ。クノンもミステリアスも、既に寝ているぞ」
それを呼び止めたのは、セネリオだ。
彼はいつものように、ラグネルとエタルドの手入れを念入りにしている。
明日討伐に向かう賊が、それなりの強敵だと聞いたからか、剣の手入れをするその様子からは強い気合を感じる。
「そういうお前こそ、さっさと寝ろよ」
「これが終わったら寝るし、仮に起きてたとしてもコンディションを崩すことなどない。だがお前は朝が弱いんだ。さっさと眠ってもらわなければ困る」
「う…」
セネリオの言い分に、レイノスは言葉に詰まる。
「…気が逸るのも分かるが、落ち着け」
「…確かにセネリオの言う通りだな。今更そわそわしたってしょうがねえよな」
そう言うとレイノスは部屋に出るのをやめ布団にもぐりこんだ。
「レイノス」
「ん?どうしたセネリオ」
「お前には…お前達には感謝している」
「な、なんだよ急に」
「脱獄犯の大量殺人鬼である俺を信じてよくここまで着いてきてくれた。本当に感謝している。ありがとう」
「べ、別にお前に協力してやったわけじゃねえからな!俺はあくまでスクルドを助けたかっただけだ!」
「ふ…そうだったな」
「……セネリオ」
「なんだ」
「明日は、絶対に勝とうぜ」
「当然だ」
翌日の朝。
いよいよスクルドを取り戻すために賊のアジトであるシュレーの丘に乗り込む日がやってきた。
いつもは寝坊してばかりのレイノスも、今日ばかりは早起きで、準備は万端だ。
「それじゃあマクガヴァン元帥、行ってきます」
見送りに来たグレン・マクガヴァンに、レイノスは出発する旨を伝える。
「少し遅れるが、そちらに少数の兵を向かわせる。…街が壊滅状態な今、あまり大量に送ることは出来ないのでな」
「いえ、それだけでも十分です!ありがとうございます」
元帥の厚意にリンは礼を言う。
「奴らは、この街の人間も何人か誘拐している。どうか、彼らのことも救ってやってほしい」
そういうと元帥は踵を返してマルクト軍基地の方へ戻っていった。
「よし、それじゃあみんな、いくぞ!」
こうして、スクルド救出の旅は、最終局面を迎えようとしていた。
果たして彼らは、無事にスクルドを取り戻すことができるのか…
■作者メッセージ
いよいよスクルドを取り戻すために敵のアジトへ乗り込みます
もうすぐこの小説始めてから1年たつし、そろそろ第一部完結といきたいとこです
もうすぐこの小説始めてから1年たつし、そろそろ第一部完結といきたいとこです