第7章『救出大決戦』 7
「くそ…てめえ……!」
怒りで顔をゆがませたクノンが、フォルクスを睨む。
クノンとシノン、二人と対峙するは、神託の盾第三師団師団長フォルクス・ソレイユと、そして…
「ハノン…ハノン!」
涙を浮かばせながら、必死で相棒の名を呼ぶシノン。
しかし、当のチーグル・ハノンはうつろな目をして反応を示すことはない。
「呼びかけても無駄ですよ。わたくしの術は完璧です。このチーグルはいまや私の仲間です」
「みゅう」
ハノンは、耳をパタパタはためかせて浮遊するとフォルクスの肩に乗る。
「あ…あああ……」
その光景を見て、シノンは崩れ落ちる。
違う、違う。
ハノンの隣にいるのは、あの人じゃなくて私なのに。
「返して…」
ショックでその場に座り込んでしまうシノン。
「ハノンを返してよおおおおおおおお!」
「お、おチビちゃん、しっかりして!」
クノンは、その場に座り込んでしまったシノンを無理やりに立たせる。
俯いていたシノンの表情にはいつもの明るさなどあるはずもなく、悲しみと絶望がにじみ出ていた。
「クノン…ハノンが、ハノンが……!」
「うん、分かってるよ。ハノンはあいつに…フォルクスに操られた」
「どうすれば…どうすればいいの!?」
「う〜ん、たぶん操ってる本人なら解くことが出来るんじゃないかな」
「そっか、じゃああの人を倒すんだね…!」
そういうとシノンは、フォルクスの方を睨む。
許せない。
私からハノンを奪ったあの人だけは、絶対に許せない。
「ねえ、クノン。私、今の自分の気持ちを抑えられる気がしないの。だから、その…」
「うん、おチビちゃんのフォローはボクがするからさ、全力でやるといいヨ」
「ありがとう、クノン!」
「さあさあ、おしゃべりはそこまでです!ロックブレイク!」
フォルクスの譜術が、クノンとシノン目がけて放たれる。
「つかまって!跳ぶよ!」
「え!?」
クノンはシノンを抱きかかえると、凄まじい跳躍力で大ジャンプし、出現した岩を回避する。
「はっ、空中なら隙だらけです!レイトラスト!」
「それはどうかな!おチビちゃん、お願い!」
「それっ!」
シノンは迫ってくるチャクラムを自らのチャクラムで弾き返す。
チャクラムがフォルクスのもとに戻ってくるころには、二人は地面に着地していた。
「今度はこっちの番だよ!」
そういってクノンは、自慢の俊足で一気にフォルクスへと接近する。
「鷹爪蹴撃!」
「がはあっ!」
クノンの攻撃が、フォルクスへとクリーンヒットする。
「雷電!」
追撃するべく、シノンの雷をまとったナイフが放たれるが、
「くっ…ハノン、私をかばいなさい!」
「みゅう」
「え!?」
フォルクスの指示により、なんとハノンがフォルクスの前に出てきたのだ。
「みゅううう!」
シノンの雷電を受け、フォルクスに代わってダメージを受けるハノン。
「よくやってくれました、ハノン」
「っ!この…ド外道が!」
フォルクスの所業に、怒りの言葉を吐き捨てるクノン。
「みゅう…」
「ハノン…!」
ダメージを受けつつも立ち上がるハノンの姿を悲しそうに見つめるシノン。
「ふむ…そちらの少女は、どうやらこのチーグルとは戦えないようですね」
フォルクスは、そんなシノンの姿をニヤニヤしながら見つめている。
「それならば!ハノン、あの少女を徹底的にいたぶってやるのです」
「みゅう」
ハノンは、シノンに対して強力な体当たり…通称ハノンアタックで攻撃してくる。
「きゃああああああ!」
シノンは、ハノンの攻撃に思いっきり吹っ飛ばされる。
しかしハノンは、そんなシノンを追撃するべく近づき、今度は炎を浴びせてくる。
今度の攻撃はシノンもかわしたが、ハノンの苛烈な攻撃は止まることが無く、シノンは防戦一方だった。
「くそ…!」
クノンは救援に向かうべくシノンのもとへ向かおうとするが、
「おっと、そうはいきません!あなたの相手はわたくしですよ」
「ちっ!」
目の前に立ちはだかるフォルクスに、舌打ちする。
このままでは、シノンの救援には向かえない。
アルセリア・ステファニーは、もと来た道を引き返す形で歩いていた。
今すぐ引き返して戦いに戻らなければいけないのは分かっている。
それでも、いざ戻ろうとすると、足がすくんでしまう。
アルセリアには、家族がいない。
父も、母も、幼い頃に亡くしてしまったからだ。
父の死因はよく覚えていないが、母は強盗に襲われて殺されてしまった。
身よりもなく、孤児院で生活をすることになった。
そこでの生活も決して悪いものではなかったが、どうしても両親を失った悲しみと孤独感は晴れなかった。
あの二人も、そうした辛い思いを抱えながら生きてきたのではないだろうか。
もちろん、たとえ辛い日々を送っているからといって、あの二人が凶行を重ねることの免罪符にはならない。
おそらく、アテネもアレンも奪う側として多くの人々を不幸にしてきたはずなのだ。
「やっぱり、戻らないと…!」
アルセリアは、迷いつつも戦う決意を固めた。
彼女たちを放置しておけば、自分のように辛い思いをしなければならない人が増えてしまう。
それに、殺さずとも止める方法だってあるかもしれない。
ミステリアスは、おそらく今も一人で戦っているはずだ。
一刻も早く、戻らなければ。
「…ノン!ハノン!」
「あら?今の声は…」
ミステリアスのもとに戻ろうとしたその時、セリアの耳に聞き覚えのある声がした。
この声は、シノンだ。
どうやら自分は、フォルクスと遭遇した地点まで戻ってきてしまったらしい。
セリアは、声の聞こえてきた方へ向かうことにした。
ミステリアスを助けにいかなければいけないとはいえ、近くの仲間のことも放っておくわけにはいかないし、彼らと合流したほうが戦いが楽になる。
「いた…!」
フォルクスと遭遇した地点へやってきたセリアは、そこで二つの戦いを目にすることとなった。
一つはクノンとフォルクスの戦い。
そしてもう一つは…
「ど、どうしてシノンさんとハノンさんが!?」
怒りで顔をゆがませたクノンが、フォルクスを睨む。
クノンとシノン、二人と対峙するは、神託の盾第三師団師団長フォルクス・ソレイユと、そして…
「ハノン…ハノン!」
涙を浮かばせながら、必死で相棒の名を呼ぶシノン。
しかし、当のチーグル・ハノンはうつろな目をして反応を示すことはない。
「呼びかけても無駄ですよ。わたくしの術は完璧です。このチーグルはいまや私の仲間です」
「みゅう」
ハノンは、耳をパタパタはためかせて浮遊するとフォルクスの肩に乗る。
「あ…あああ……」
その光景を見て、シノンは崩れ落ちる。
違う、違う。
ハノンの隣にいるのは、あの人じゃなくて私なのに。
「返して…」
ショックでその場に座り込んでしまうシノン。
「ハノンを返してよおおおおおおおお!」
「お、おチビちゃん、しっかりして!」
クノンは、その場に座り込んでしまったシノンを無理やりに立たせる。
俯いていたシノンの表情にはいつもの明るさなどあるはずもなく、悲しみと絶望がにじみ出ていた。
「クノン…ハノンが、ハノンが……!」
「うん、分かってるよ。ハノンはあいつに…フォルクスに操られた」
「どうすれば…どうすればいいの!?」
「う〜ん、たぶん操ってる本人なら解くことが出来るんじゃないかな」
「そっか、じゃああの人を倒すんだね…!」
そういうとシノンは、フォルクスの方を睨む。
許せない。
私からハノンを奪ったあの人だけは、絶対に許せない。
「ねえ、クノン。私、今の自分の気持ちを抑えられる気がしないの。だから、その…」
「うん、おチビちゃんのフォローはボクがするからさ、全力でやるといいヨ」
「ありがとう、クノン!」
「さあさあ、おしゃべりはそこまでです!ロックブレイク!」
フォルクスの譜術が、クノンとシノン目がけて放たれる。
「つかまって!跳ぶよ!」
「え!?」
クノンはシノンを抱きかかえると、凄まじい跳躍力で大ジャンプし、出現した岩を回避する。
「はっ、空中なら隙だらけです!レイトラスト!」
「それはどうかな!おチビちゃん、お願い!」
「それっ!」
シノンは迫ってくるチャクラムを自らのチャクラムで弾き返す。
チャクラムがフォルクスのもとに戻ってくるころには、二人は地面に着地していた。
「今度はこっちの番だよ!」
そういってクノンは、自慢の俊足で一気にフォルクスへと接近する。
「鷹爪蹴撃!」
「がはあっ!」
クノンの攻撃が、フォルクスへとクリーンヒットする。
「雷電!」
追撃するべく、シノンの雷をまとったナイフが放たれるが、
「くっ…ハノン、私をかばいなさい!」
「みゅう」
「え!?」
フォルクスの指示により、なんとハノンがフォルクスの前に出てきたのだ。
「みゅううう!」
シノンの雷電を受け、フォルクスに代わってダメージを受けるハノン。
「よくやってくれました、ハノン」
「っ!この…ド外道が!」
フォルクスの所業に、怒りの言葉を吐き捨てるクノン。
「みゅう…」
「ハノン…!」
ダメージを受けつつも立ち上がるハノンの姿を悲しそうに見つめるシノン。
「ふむ…そちらの少女は、どうやらこのチーグルとは戦えないようですね」
フォルクスは、そんなシノンの姿をニヤニヤしながら見つめている。
「それならば!ハノン、あの少女を徹底的にいたぶってやるのです」
「みゅう」
ハノンは、シノンに対して強力な体当たり…通称ハノンアタックで攻撃してくる。
「きゃああああああ!」
シノンは、ハノンの攻撃に思いっきり吹っ飛ばされる。
しかしハノンは、そんなシノンを追撃するべく近づき、今度は炎を浴びせてくる。
今度の攻撃はシノンもかわしたが、ハノンの苛烈な攻撃は止まることが無く、シノンは防戦一方だった。
「くそ…!」
クノンは救援に向かうべくシノンのもとへ向かおうとするが、
「おっと、そうはいきません!あなたの相手はわたくしですよ」
「ちっ!」
目の前に立ちはだかるフォルクスに、舌打ちする。
このままでは、シノンの救援には向かえない。
アルセリア・ステファニーは、もと来た道を引き返す形で歩いていた。
今すぐ引き返して戦いに戻らなければいけないのは分かっている。
それでも、いざ戻ろうとすると、足がすくんでしまう。
アルセリアには、家族がいない。
父も、母も、幼い頃に亡くしてしまったからだ。
父の死因はよく覚えていないが、母は強盗に襲われて殺されてしまった。
身よりもなく、孤児院で生活をすることになった。
そこでの生活も決して悪いものではなかったが、どうしても両親を失った悲しみと孤独感は晴れなかった。
あの二人も、そうした辛い思いを抱えながら生きてきたのではないだろうか。
もちろん、たとえ辛い日々を送っているからといって、あの二人が凶行を重ねることの免罪符にはならない。
おそらく、アテネもアレンも奪う側として多くの人々を不幸にしてきたはずなのだ。
「やっぱり、戻らないと…!」
アルセリアは、迷いつつも戦う決意を固めた。
彼女たちを放置しておけば、自分のように辛い思いをしなければならない人が増えてしまう。
それに、殺さずとも止める方法だってあるかもしれない。
ミステリアスは、おそらく今も一人で戦っているはずだ。
一刻も早く、戻らなければ。
「…ノン!ハノン!」
「あら?今の声は…」
ミステリアスのもとに戻ろうとしたその時、セリアの耳に聞き覚えのある声がした。
この声は、シノンだ。
どうやら自分は、フォルクスと遭遇した地点まで戻ってきてしまったらしい。
セリアは、声の聞こえてきた方へ向かうことにした。
ミステリアスを助けにいかなければいけないとはいえ、近くの仲間のことも放っておくわけにはいかないし、彼らと合流したほうが戦いが楽になる。
「いた…!」
フォルクスと遭遇した地点へやってきたセリアは、そこで二つの戦いを目にすることとなった。
一つはクノンとフォルクスの戦い。
そしてもう一つは…
「ど、どうしてシノンさんとハノンさんが!?」