第7章『救出大決戦』 9
「ふ〜ん、それじゃあ今は仮面さん一人でその二人を相手にシてるかもしれないンだ」
クノン、シノン、アルセリアの三人は、先を急いでいた。
強敵二人を相手に戦っているであろうミステリアスの救援に向かうためだ。
「勝手に逃げ出してしまって…ミステリアスさんに合わせる顔がないです」
「それ以前にモウやられちゃってるカモ」
「……………」
「…ゴメン、さすがに失言だったヨ」
より一層落ち込んでしまったアルセリアに、さすがに悪いことをしたと感じたクノンは、素直に謝った。
「とにかく、急ごうよ!」
「みゅみゅ!」
「シノンさんとハノンさんは、大丈夫なんですか?さっきまで激しい戦いをしていたのに…」
アルセリアは隣で自分達と共に走るシノンとハノン(ハノンはシノンの頭の上に乗っているだけだが)を心配する。
シノンとハノンは先ほどまで激戦を繰り広げており、どちらも相当に消耗しているはずだった。
「平気、平気♪まだまだ戦えるよ」
「みゅうみゅう!」
「ハノンも気合入ってるね」
「みゅう!」
(なあ、ハノン)
シノンの隣を走っていたクノンが、小さな声でハノンに声をかける。
(みゅう?)
(張り切るのはいいけど、操られたことはあんま気負うなよ)
(みゅう…)
(やっぱ気にしてたんだ、シノンを襲ったこと。あいつも、ボク達もそんなこと気にしてないから、元気だせよ)
クノンの励ましに、ハノンはコクリと頷いた。
「ん〜?クノン、どしたの?ハノンとお話ししてるの?」
「イヤ〜、なんでもないヨ」
一方その頃、セネリオは相変わらずスクルドを抱えたバックスを追っていた。
「oh!お前、この俺のspeedについてくるとはやるじゃねえか!」
「ち!追いつけん…!」
セネリオは舌打ちする。
かれこれ十数分は追い続けているが、あいかわらずの膠着状態が続いている。
このバックスという男、人を一人抱えながらも自分やクノンと同等程度のスピードで走っている。
しかも、地の利は明らかに向こうに分がある。
(だが、そろそろ向こうは限界だな)
バックスは確かに速いが、持久力ではセネリオに分があったらしい。
というより、スクルドを抱えながら走っている以上、必然的に消耗は向こうの方が大きい。
「くそっ!くそぉ!てめえ、なんで振り切れねえんだよォ!?」
体力が底をつきかけているバックスは、悲鳴に近い悪態をつく。
「くそお!やべえ、やべえぞ……ウゴァっ!?」
バックスは遂に、足がもつれて転んでしまった。
「チェックメイトだな」
セネリオが、冷酷な表情でバックスを睨む。
「くっそお…こうなったら実力行使だ!battleでこの場を切り抜ける!」
バックスはスクルドをその辺に投げ捨てると、立ち上がって剣を構えた。
「女性をそのような乱暴に扱うのは感心しないな」
「うるせえYO!はあああああああ!」
バックスは超スピードでセネリオに接近し、斬りかかる。
「…遅いな」
が、バックスが斬りかかった時、そこにはセネリオの姿は消えていた。
「幻影陣!月閃虚崩!」
「がはああああああっ!」
背後からの攻撃を受け、バックスはその場に倒れる。
「ふん、体力がつきたその状態で、相手になるとでも思ったか?」
「終わりだ…!」
――FOF変化――
「ブラッディハウリング!」
「う、ううん…?」
スクルドは、先ほどバックスに投げ飛ばされた衝撃で、目を覚ましていた。
「こ、ここは…?」
「目を覚ましていたか」
目を覚ましたばかりで状況がつかめないスクルドの前に、一人の男が現れた。
「あ、あなたは…?」
現れた男に、スクルドは警戒を強めた。
「安心しろ、俺は賊じゃない。お前を助けに来た」
「わ、私を助けに…?」
そこで、スクルドははっとした。
目の前の人物の姿に、見覚えがあった。
「あ、あなた、もしかして私の部屋の窓の向こうで見かけた…!?」
「…ち、気づかれていたのか」
「あ、あの、本当に賊の仲間じゃないんですね?」
スクルドは警戒しつつ訊ねた。
賊に捕らえられる直前にこちらの様子を窺っていたのだから、疑われても無理はなかった。
「違う、俺はお前が連れ去られる可能性があるという話を聞いてあの周辺を警戒していた。今はお前の兄と共に君の取り戻すために賊の足取りを追っていた」
「お兄ちゃん!?お兄ちゃんも一緒なの!?」
「そこまでだ!」
と、その時、怒号が響いた。
見れば、賊の下っ端と思わしき者達に囲まれていた。
その数は、ざっと十人程度だろうか。
「へへ、ファブレの令嬢を返してもらおうか」
「断る」
「だったら力ずくで奪い返すまでだぁ!」
賊たちは、一斉にこちらへ向かってきた。
「あ、あわわ、どうしたら…」
「心配するな…一瞬で決める」
セネリオはラグネルとエタルドを構え…十人もの賊を、二つの剣で宣言したとおりに【一瞬】で斬り伏せた。
「す、すごい…」
スクルドは、その光景に驚愕していた。
あれだけの数を、たった日本の剣の一閃でまとめて倒してしまうなんて。
「怪我はないか?」
「は、はい」
「そうか、なによりだ」
そういって、セネリオは薄く笑った。
その瞬間、スクルドの心臓がドクンと跳ねた
(あ…)
セネリオの姿を見ているだけで、顔が熱くなってくる。
彼から、目が離せない。
「どうした?」
「い、いえ、なんでもないです…それより、お兄ちゃんもここに来てるんですか?」
「レイノスだけじゃない、リンもいる」
「リンさんまで…」
「とりあえず、もと来た道を引き返すが、構わないか?」
「はい」
「じゃあ、行くぞ」
そう言って、セネリオはスクルドの手を握る。
「俺から離れるなよ」
「は、はい」
手を握られたことにドギマギしつつ、スクルドはセネリオに連れられて先へと進んだ。
スキット「恋の予感」
スクルド(強くて、かっこよくて、クールで…素敵だな)
スクルド(こうやって、手を握られてるだけで、ドキドキしちゃう)
スクルド(恋人とかいるのかな?こんなにかっこいいしなあ)
スクルド(はうう、キュンキュンが止まらないよ)
クノン、シノン、アルセリアの三人は、先を急いでいた。
強敵二人を相手に戦っているであろうミステリアスの救援に向かうためだ。
「勝手に逃げ出してしまって…ミステリアスさんに合わせる顔がないです」
「それ以前にモウやられちゃってるカモ」
「……………」
「…ゴメン、さすがに失言だったヨ」
より一層落ち込んでしまったアルセリアに、さすがに悪いことをしたと感じたクノンは、素直に謝った。
「とにかく、急ごうよ!」
「みゅみゅ!」
「シノンさんとハノンさんは、大丈夫なんですか?さっきまで激しい戦いをしていたのに…」
アルセリアは隣で自分達と共に走るシノンとハノン(ハノンはシノンの頭の上に乗っているだけだが)を心配する。
シノンとハノンは先ほどまで激戦を繰り広げており、どちらも相当に消耗しているはずだった。
「平気、平気♪まだまだ戦えるよ」
「みゅうみゅう!」
「ハノンも気合入ってるね」
「みゅう!」
(なあ、ハノン)
シノンの隣を走っていたクノンが、小さな声でハノンに声をかける。
(みゅう?)
(張り切るのはいいけど、操られたことはあんま気負うなよ)
(みゅう…)
(やっぱ気にしてたんだ、シノンを襲ったこと。あいつも、ボク達もそんなこと気にしてないから、元気だせよ)
クノンの励ましに、ハノンはコクリと頷いた。
「ん〜?クノン、どしたの?ハノンとお話ししてるの?」
「イヤ〜、なんでもないヨ」
一方その頃、セネリオは相変わらずスクルドを抱えたバックスを追っていた。
「oh!お前、この俺のspeedについてくるとはやるじゃねえか!」
「ち!追いつけん…!」
セネリオは舌打ちする。
かれこれ十数分は追い続けているが、あいかわらずの膠着状態が続いている。
このバックスという男、人を一人抱えながらも自分やクノンと同等程度のスピードで走っている。
しかも、地の利は明らかに向こうに分がある。
(だが、そろそろ向こうは限界だな)
バックスは確かに速いが、持久力ではセネリオに分があったらしい。
というより、スクルドを抱えながら走っている以上、必然的に消耗は向こうの方が大きい。
「くそっ!くそぉ!てめえ、なんで振り切れねえんだよォ!?」
体力が底をつきかけているバックスは、悲鳴に近い悪態をつく。
「くそお!やべえ、やべえぞ……ウゴァっ!?」
バックスは遂に、足がもつれて転んでしまった。
「チェックメイトだな」
セネリオが、冷酷な表情でバックスを睨む。
「くっそお…こうなったら実力行使だ!battleでこの場を切り抜ける!」
バックスはスクルドをその辺に投げ捨てると、立ち上がって剣を構えた。
「女性をそのような乱暴に扱うのは感心しないな」
「うるせえYO!はあああああああ!」
バックスは超スピードでセネリオに接近し、斬りかかる。
「…遅いな」
が、バックスが斬りかかった時、そこにはセネリオの姿は消えていた。
「幻影陣!月閃虚崩!」
「がはああああああっ!」
背後からの攻撃を受け、バックスはその場に倒れる。
「ふん、体力がつきたその状態で、相手になるとでも思ったか?」
「終わりだ…!」
――FOF変化――
「ブラッディハウリング!」
「う、ううん…?」
スクルドは、先ほどバックスに投げ飛ばされた衝撃で、目を覚ましていた。
「こ、ここは…?」
「目を覚ましていたか」
目を覚ましたばかりで状況がつかめないスクルドの前に、一人の男が現れた。
「あ、あなたは…?」
現れた男に、スクルドは警戒を強めた。
「安心しろ、俺は賊じゃない。お前を助けに来た」
「わ、私を助けに…?」
そこで、スクルドははっとした。
目の前の人物の姿に、見覚えがあった。
「あ、あなた、もしかして私の部屋の窓の向こうで見かけた…!?」
「…ち、気づかれていたのか」
「あ、あの、本当に賊の仲間じゃないんですね?」
スクルドは警戒しつつ訊ねた。
賊に捕らえられる直前にこちらの様子を窺っていたのだから、疑われても無理はなかった。
「違う、俺はお前が連れ去られる可能性があるという話を聞いてあの周辺を警戒していた。今はお前の兄と共に君の取り戻すために賊の足取りを追っていた」
「お兄ちゃん!?お兄ちゃんも一緒なの!?」
「そこまでだ!」
と、その時、怒号が響いた。
見れば、賊の下っ端と思わしき者達に囲まれていた。
その数は、ざっと十人程度だろうか。
「へへ、ファブレの令嬢を返してもらおうか」
「断る」
「だったら力ずくで奪い返すまでだぁ!」
賊たちは、一斉にこちらへ向かってきた。
「あ、あわわ、どうしたら…」
「心配するな…一瞬で決める」
セネリオはラグネルとエタルドを構え…十人もの賊を、二つの剣で宣言したとおりに【一瞬】で斬り伏せた。
「す、すごい…」
スクルドは、その光景に驚愕していた。
あれだけの数を、たった日本の剣の一閃でまとめて倒してしまうなんて。
「怪我はないか?」
「は、はい」
「そうか、なによりだ」
そういって、セネリオは薄く笑った。
その瞬間、スクルドの心臓がドクンと跳ねた
(あ…)
セネリオの姿を見ているだけで、顔が熱くなってくる。
彼から、目が離せない。
「どうした?」
「い、いえ、なんでもないです…それより、お兄ちゃんもここに来てるんですか?」
「レイノスだけじゃない、リンもいる」
「リンさんまで…」
「とりあえず、もと来た道を引き返すが、構わないか?」
「はい」
「じゃあ、行くぞ」
そう言って、セネリオはスクルドの手を握る。
「俺から離れるなよ」
「は、はい」
手を握られたことにドギマギしつつ、スクルドはセネリオに連れられて先へと進んだ。
スキット「恋の予感」
スクルド(強くて、かっこよくて、クールで…素敵だな)
スクルド(こうやって、手を握られてるだけで、ドキドキしちゃう)
スクルド(恋人とかいるのかな?こんなにかっこいいしなあ)
スクルド(はうう、キュンキュンが止まらないよ)
■作者メッセージ
というわけで、セネリオの手によってスクルドが救出されました
バックスがカマセすぎた…
バックスがカマセすぎた…