第7章『救出大決戦』 12
「爆砕斬!」
アテネに向けて斧を振るうアルセリア。
強力な斧の一撃が地面に向かって放たれる。
「おっと、危ない♪当たったらやばそうだね!」
しかしアテネは、楽しそうな様子で難なく攻撃をかわして見せる。
そして、バックステップで距離を取ると詠唱を開始する。
「させません!」
アルセリアは詠唱を止める為すかさずアテネに近づこうとするが、
「……………」
「なっ!?」
無口な戦士、アレンが立ち塞がり行く手を阻む。
「それならボクが!」
クノンがセリアとアレンの横を通り抜け、アテネに接近する。
「トリャアアア!」
そしてそのまま拳の一撃をアテネに叩きこもうとするが、
「にゃにゃっ!?」
なんとアテネは、両手で横向きに持った状態の槍を前に突き出すことによってクノンの拳の一撃を受け止めた。
そして、ニヤリと笑みを浮かべる。
「詠唱完了♪サンダーブレード!」
「がはああっ!?」
強力な雷の剣がクノンを貫き、クノンの身体は地面を転がりながら後退する。
「ウインドカッター!」
「きゃあっ!?」
譜術が決まってご満悦のアテネのもとに、リンの譜術が命中する。
サンダーブレードの命中に一瞬気が緩んでいたアテネは風の刃を無防備に食らう。
「スパイラルショット!」
「ぐはあっ!」
そこへさらにミステリアスの弾丸が放たれ、リンの譜術を受けた直後だったアテネはかわすこともできずその弾丸を受けてしまう。
「さっきのお返しだよ!」
先ほどアテネの攻撃を受けて倒れていたクノンが立ち上がり、アテネのもとへ向かう。
――FOF変化――
「空牙嵐蹴旋!!」
「がああああああああああああああっ!」
クノンの強力な一撃に、今度はアテネが地面を転がることとなった。
「姉さん!大丈夫…」
先ほどまでアルセリアと交戦していたアレンが、すぐさまアテネのもとへ駆け寄る。
「あははははははは…」
「姉さん…?」
「ねえ見てよ…アレン、私、こんなに血みどろで真っ赤だよ、えへへへ、綺麗だね…」
そういってアテネは、ケタケタと笑いながらクノンのもとに接近する。
「ニャ!?」
先ほどの三倍はあろうかというほどのスピードで迫ってきたアテネに、クノンは驚愕する。
そのままアテネの動きに全く反応できないまま、槍に貫かれる。
「ぐああっ!?」
クノンは槍に貫かれた激痛に苦しみつつも、クノンの身体から引き抜いた槍で二撃目を放とうとしたアテネの攻撃をなんとかかわし、一度距離を取った。
「なンなんだヨ、あの速さハ!?」
「さっきと同じだ…あの女、血を見ると…つまりは、攻撃を受ければ受けるほど動きが良くなるらしい」
アテネのあまりの速さに悪態をつくクノン。
ミステリアスはアテネの戦いぶりをみながら彼女の特性を見抜いていた。
「ハア、攻撃を受けるほど強くナル!?ふざけんなヨ、普通逆ジャン!?」
ミステリアスの解説に、クノンは驚愕しながら憤る。
確かに普通は攻撃を受ければ受けるほど動きは鈍くなるのが一般的だ。
「あの人、なんであんな血まみれで嬉しそうなの?怖いっていうより…なんだか悲しいよ」
シノンが、眼前のアテネの狂気の姿を見つめながら呟いた。
-------------------------------------------------------ーーーーーーーー
「姉さん…」
アテネの弟、アレンもまた悲しそうな表情で姉の姿を見つめる。
彼女は元々は、人殺しなどできない気弱な少女であった。
しかしある日、野盗によって彼ら姉弟の両親は殺された。
両親のことが大好きだったアテネは、目の前で父と母を殺され、二人の流した血で身体を汚すことになり…
『あは、あはは…あはははっははははははははははは!』
彼女は壊れた。
それ以来、アテネとアレンは身寄りもなく二人で生きていくことを強いられた。
姉のアテネは、人を血まみれにして殺すのを好んだ。
そして自らもその殺した人の血で血まみれになった。
『人の血を浴びてるとね、パパやママを感じるんだ♪だからさ、世界中を血の海にしちゃえば、パパやママにいつでも会えるんじゃないかな♪』
それが、姉の口癖だった。
彼女は、あの日のように血を浴びることによって、両親の幻影にすがり続けているのだ。
「俺は…」
姉の行為が歪んでいることは分かっている。
それでも、それでも自分は、彼女の…アテネの弟だから。
「俺が…姉さんを守る。たとえこの命に代えても…!」
---------------------------------------------------------
「とりあえず、戦えば戦えば強くなる以上、下手なダメージを与えるのは危険だ」
「それならどうするんですか?ミステリアスさん」
アルセリアが、ミステリアスに意見を求める。
「そうだな…一撃必殺で倒すしかねえかもな」
「イチゲキヒッサツ…それならボクに任せてヨ!」
そういうと、クノンの身体が蒼白く輝いた。
オーバーリミッツの輝きだ。
「はああああああああああ!」
オーバーリミッツを発動させたクノンが、アテネに急接近する。
「くっらええええええええ!掌底破!」
「ぐはあああっ!」
パワーもスピードも跳ね上がったクノンの攻撃を、アテネはもろに受ける。
「悪いけど、一気にこれで決めさせてもらうよ!」
そういうとクノンは、闘気を最大限まで高め、オーバーリミッツの力を全開放する。
「あれってチーグルの森でセネセネがやってた…!」
「ああ、秘奥義だ」
「クノンさんも使えたんですか!?」
――秘奥義発動――
「殺劇舞荒拳!!」
「姉さん!」
アテネに向けてクノンの秘奥義が放たれようとしたまさにその時、アレンがアテネの前に立ち塞がる。
「姉さんは…俺が守る!」
「何っ!?チェ、仕方ない!二人まとめてだ!」
アレンが現れたことに一瞬戸惑ったクノンだったが、構わず接近し、そして…
「だりゃりゃりゃりゃりゃだりゃりゃりゃりゃりゃらァァァアァァァァァ!!」
何発もの蹴りや拳による乱舞を、アレンとアテネ、まとめて浴びせる。
クノンの乱舞は的確に二人にヒットしていく。
しかし、
「くそっ!倒しきれなかった!」
アテネとアレンは、クノンのあれだけの乱舞を受けてなお、無事であった。
アレンの乱入により、ダメージが分散されたのだろう。
「後は俺に任せろ!クノン!」
そういってこちらに走ってくるミステリアスの身体は、先ほどのクノン同様オーバーリミッツの光に包まれている。
一度発動したものの、あれから再び発動の為の気力が溜まっていたのだ。
――秘奥義発動――
「プリズムバレット!!」
アテネとアレンの二人に接近したミステリアスは、ゼロ距離射撃で二人を狙い撃つ。
「これで終わりだああああああ!!」
そこから更に、極太のレイジレーザーが放たれ、光が姉弟を包んだ。
------------------------------------------------------------
「アレン…ねえ見て。パパとママがいる」
光に包まれながら、アテネはアレンに対して呟く。
「うん…見えるよ。姉さん」
アレンもまた、光の中に両親の姿を見ていた。
どうやら、お迎えが来たようだ。
「へへ、またパパとママと…それからアレン、みんなで一緒にいられるんだね」
「ああ…俺達は、ずっと一緒だ」
お互いに穏やかな表情で微笑みながら、アテネとアレンの意識は、まばゆい光の中、永遠に闇へと沈んだ。
アテネに向けて斧を振るうアルセリア。
強力な斧の一撃が地面に向かって放たれる。
「おっと、危ない♪当たったらやばそうだね!」
しかしアテネは、楽しそうな様子で難なく攻撃をかわして見せる。
そして、バックステップで距離を取ると詠唱を開始する。
「させません!」
アルセリアは詠唱を止める為すかさずアテネに近づこうとするが、
「……………」
「なっ!?」
無口な戦士、アレンが立ち塞がり行く手を阻む。
「それならボクが!」
クノンがセリアとアレンの横を通り抜け、アテネに接近する。
「トリャアアア!」
そしてそのまま拳の一撃をアテネに叩きこもうとするが、
「にゃにゃっ!?」
なんとアテネは、両手で横向きに持った状態の槍を前に突き出すことによってクノンの拳の一撃を受け止めた。
そして、ニヤリと笑みを浮かべる。
「詠唱完了♪サンダーブレード!」
「がはああっ!?」
強力な雷の剣がクノンを貫き、クノンの身体は地面を転がりながら後退する。
「ウインドカッター!」
「きゃあっ!?」
譜術が決まってご満悦のアテネのもとに、リンの譜術が命中する。
サンダーブレードの命中に一瞬気が緩んでいたアテネは風の刃を無防備に食らう。
「スパイラルショット!」
「ぐはあっ!」
そこへさらにミステリアスの弾丸が放たれ、リンの譜術を受けた直後だったアテネはかわすこともできずその弾丸を受けてしまう。
「さっきのお返しだよ!」
先ほどアテネの攻撃を受けて倒れていたクノンが立ち上がり、アテネのもとへ向かう。
――FOF変化――
「空牙嵐蹴旋!!」
「がああああああああああああああっ!」
クノンの強力な一撃に、今度はアテネが地面を転がることとなった。
「姉さん!大丈夫…」
先ほどまでアルセリアと交戦していたアレンが、すぐさまアテネのもとへ駆け寄る。
「あははははははは…」
「姉さん…?」
「ねえ見てよ…アレン、私、こんなに血みどろで真っ赤だよ、えへへへ、綺麗だね…」
そういってアテネは、ケタケタと笑いながらクノンのもとに接近する。
「ニャ!?」
先ほどの三倍はあろうかというほどのスピードで迫ってきたアテネに、クノンは驚愕する。
そのままアテネの動きに全く反応できないまま、槍に貫かれる。
「ぐああっ!?」
クノンは槍に貫かれた激痛に苦しみつつも、クノンの身体から引き抜いた槍で二撃目を放とうとしたアテネの攻撃をなんとかかわし、一度距離を取った。
「なンなんだヨ、あの速さハ!?」
「さっきと同じだ…あの女、血を見ると…つまりは、攻撃を受ければ受けるほど動きが良くなるらしい」
アテネのあまりの速さに悪態をつくクノン。
ミステリアスはアテネの戦いぶりをみながら彼女の特性を見抜いていた。
「ハア、攻撃を受けるほど強くナル!?ふざけんなヨ、普通逆ジャン!?」
ミステリアスの解説に、クノンは驚愕しながら憤る。
確かに普通は攻撃を受ければ受けるほど動きは鈍くなるのが一般的だ。
「あの人、なんであんな血まみれで嬉しそうなの?怖いっていうより…なんだか悲しいよ」
シノンが、眼前のアテネの狂気の姿を見つめながら呟いた。
-------------------------------------------------------ーーーーーーーー
「姉さん…」
アテネの弟、アレンもまた悲しそうな表情で姉の姿を見つめる。
彼女は元々は、人殺しなどできない気弱な少女であった。
しかしある日、野盗によって彼ら姉弟の両親は殺された。
両親のことが大好きだったアテネは、目の前で父と母を殺され、二人の流した血で身体を汚すことになり…
『あは、あはは…あはははっははははははははははは!』
彼女は壊れた。
それ以来、アテネとアレンは身寄りもなく二人で生きていくことを強いられた。
姉のアテネは、人を血まみれにして殺すのを好んだ。
そして自らもその殺した人の血で血まみれになった。
『人の血を浴びてるとね、パパやママを感じるんだ♪だからさ、世界中を血の海にしちゃえば、パパやママにいつでも会えるんじゃないかな♪』
それが、姉の口癖だった。
彼女は、あの日のように血を浴びることによって、両親の幻影にすがり続けているのだ。
「俺は…」
姉の行為が歪んでいることは分かっている。
それでも、それでも自分は、彼女の…アテネの弟だから。
「俺が…姉さんを守る。たとえこの命に代えても…!」
---------------------------------------------------------
「とりあえず、戦えば戦えば強くなる以上、下手なダメージを与えるのは危険だ」
「それならどうするんですか?ミステリアスさん」
アルセリアが、ミステリアスに意見を求める。
「そうだな…一撃必殺で倒すしかねえかもな」
「イチゲキヒッサツ…それならボクに任せてヨ!」
そういうと、クノンの身体が蒼白く輝いた。
オーバーリミッツの輝きだ。
「はああああああああああ!」
オーバーリミッツを発動させたクノンが、アテネに急接近する。
「くっらええええええええ!掌底破!」
「ぐはあああっ!」
パワーもスピードも跳ね上がったクノンの攻撃を、アテネはもろに受ける。
「悪いけど、一気にこれで決めさせてもらうよ!」
そういうとクノンは、闘気を最大限まで高め、オーバーリミッツの力を全開放する。
「あれってチーグルの森でセネセネがやってた…!」
「ああ、秘奥義だ」
「クノンさんも使えたんですか!?」
――秘奥義発動――
「殺劇舞荒拳!!」
「姉さん!」
アテネに向けてクノンの秘奥義が放たれようとしたまさにその時、アレンがアテネの前に立ち塞がる。
「姉さんは…俺が守る!」
「何っ!?チェ、仕方ない!二人まとめてだ!」
アレンが現れたことに一瞬戸惑ったクノンだったが、構わず接近し、そして…
「だりゃりゃりゃりゃりゃだりゃりゃりゃりゃりゃらァァァアァァァァァ!!」
何発もの蹴りや拳による乱舞を、アレンとアテネ、まとめて浴びせる。
クノンの乱舞は的確に二人にヒットしていく。
しかし、
「くそっ!倒しきれなかった!」
アテネとアレンは、クノンのあれだけの乱舞を受けてなお、無事であった。
アレンの乱入により、ダメージが分散されたのだろう。
「後は俺に任せろ!クノン!」
そういってこちらに走ってくるミステリアスの身体は、先ほどのクノン同様オーバーリミッツの光に包まれている。
一度発動したものの、あれから再び発動の為の気力が溜まっていたのだ。
――秘奥義発動――
「プリズムバレット!!」
アテネとアレンの二人に接近したミステリアスは、ゼロ距離射撃で二人を狙い撃つ。
「これで終わりだああああああ!!」
そこから更に、極太のレイジレーザーが放たれ、光が姉弟を包んだ。
------------------------------------------------------------
「アレン…ねえ見て。パパとママがいる」
光に包まれながら、アテネはアレンに対して呟く。
「うん…見えるよ。姉さん」
アレンもまた、光の中に両親の姿を見ていた。
どうやら、お迎えが来たようだ。
「へへ、またパパとママと…それからアレン、みんなで一緒にいられるんだね」
「ああ…俺達は、ずっと一緒だ」
お互いに穏やかな表情で微笑みながら、アテネとアレンの意識は、まばゆい光の中、永遠に闇へと沈んだ。
■作者メッセージ
というわけで、アテネ&アレン戦、一気に決着まで書かせていただきました。
この姉弟については、せっかくなんで新たに過去描写を追加してみました
アテネの攻撃を受けるほど強くなったり、血の色が好きっていう設定はもとからあったんですが、そこに理由付けをする感じで
この姉弟については、せっかくなんで新たに過去描写を追加してみました
アテネの攻撃を受けるほど強くなったり、血の色が好きっていう設定はもとからあったんですが、そこに理由付けをする感じで