第8章『決着!シュレーの丘』 2
「なるほど、そんなことがあったのか」
倒れた仲間たちを回収したセネリオは、アルセリアから何があったのかを聞いていた。
「まさかお嬢様が捕まっちゃうナンテね…」
「すまない、俺達が不意打ちを食らってなけりゃ切り抜けられてたかもしれねえってのに」
既に倒れていたメンバーも目を覚ましていた。
クノンはリンが捕まったことに珍しく沈んだ表情を見せ、ミステリアスは肝心なところで役に立てなかったことを詫びた。
「それで、レイ兄が一人で追いかけていったんだ」
「うん…あれからしばらく経ったけど、お兄ちゃん、リンさんに追いつけたかな…」
シノンの言葉にスクルドが肯定し、兄の身を案じる。
「…っていうか、なんか自己紹介もせずに普通に会話してるけどさ、この子がお坊ちゃんの妹?」
と、ここでクノンが先ほどから気になっていたことを切り出してきた。
「あ、はい。レイノスお兄ちゃんの妹のスクルドです。初めまして!」
クノンに話を振られて、スクルドが自己紹介をする。
「ヘェ〜話には聞いてたけど、美人さんだネ」
「えっと、クノンさんでしたっけ?まだ治癒術かけてないですよね?治療しますから、じっとしててください」
「…へ?あ〜、その、ボクはいいヨ〜。さっきグミ食べたし、もう元気いっぱいダヨ♪」
「でも、まだ傷だらけだし、念のために…」
「ダイジョウブダイジョウブ。妹ちゃんも、さっきまで仮面さんやおチビちゃんの治療して疲れてるだろうしサ」
「はあ、そうですか…」
クノンはスクルドをじろじろと見回すと、素直に美人だと褒める。
スクルドはそのことに照れつつ、クノンにまだ治癒術をかけていないことに気づき、治癒術を使おうとするが、クノンが頑なに固辞してきたため引き下がった。
「それでセネセネ、これから私たちはどうするの?レイ兄達を追うの?」
シノンが、これから自分達がどうするのかセネリオに判断を仰ぐ。
「ゼウスというヤツはかなりの強敵のようだ、レイノス一人では不安があるし、そうしたいところだが……どうやらそうもいかないようだ」
「? それってどういう…」
どういうことなのか、と言いかけたところで、シノンはハッとする。
そして、後ろを振り返った。
「どうしたんですか、シノンさん?」
「感じる、魔物の気配を…!」
「え!?」
突然後ろを振り返ったシノンに、アルセリアがどうしたのかと尋ねる。
それに対しシノンは、魔物の気配があることを告げた。
「シノンの言う通りだ、しかもかなりの数だ」
ミステリアスも魔物の気配を感じ取り、銃を構えた。
そして、しばらくするとシノンとミステリアスの宣言通りに、数十体の魔物が目の前に現れていた。
「うわあデジャヴ…こんな光景、何度目だろうネ?」
クノンがうんざりした顔をする。
これまで彼らは、何度となく不自然な魔物の大群の襲撃を受けてきた。
そして、その背後にはある人物が関わってきた。
「いるんだろう、フォルクス?さっさと姿を現せ」
セネリオが、この魔物の大群の原因だろう人物の名前を呼ぶ。
すると、目つきの悪い男が、魔物の群れの後方から現れる。
神託の盾第三師団師団長、フォルクス・ソレイユだ。
「あなたたちは、ここでこのフォルクス・ソレイユが殺します…どんな手を使おうと、絶対に!」
「だ、誰ですかあの人!?」
フォルクスと初対面のスクルドは、あれは誰なのかとセネリオに訊ねた。
「あいつはフォルクス・ソレイユ…神託の盾騎士団第三師団師団長で、俺達の度の邪魔を何度もしてきている」
「え?神託の盾騎士団って…どうして騎士団の人がそんなことを…?」
「そのあたりの事情は後で話す。とりあえず今は…ここを切り抜けなければな」
一同は、魔物とフォルクスに対処するため、それぞれ武器を構える。
「スクルド、お前は下がっていろ」
「嫌です!私も戦います!」
「だが…」
「私は…みなさんの力になりたいんです!私を助けるためにここまで来てくれたみなさんの…だから、私にも手伝わせてください!」
「ち…分かった。だが、無理はするなよ」
「はい!」
自らも戦おうとするスクルドを、セネリオは止めようとするが、スクルドは引き下がらない。
戦闘を前に長々と議論をしていても仕方がないので、やむなくセネリオはスクルドの戦闘参加を了承した。
実際、リンがいない今、譜術と治癒術を使える者の救援は有用ではある。
こうして、スクルドを加えた一行は、フォルクス率いる魔物軍団との戦闘を開始した。
倒れた仲間たちを回収したセネリオは、アルセリアから何があったのかを聞いていた。
「まさかお嬢様が捕まっちゃうナンテね…」
「すまない、俺達が不意打ちを食らってなけりゃ切り抜けられてたかもしれねえってのに」
既に倒れていたメンバーも目を覚ましていた。
クノンはリンが捕まったことに珍しく沈んだ表情を見せ、ミステリアスは肝心なところで役に立てなかったことを詫びた。
「それで、レイ兄が一人で追いかけていったんだ」
「うん…あれからしばらく経ったけど、お兄ちゃん、リンさんに追いつけたかな…」
シノンの言葉にスクルドが肯定し、兄の身を案じる。
「…っていうか、なんか自己紹介もせずに普通に会話してるけどさ、この子がお坊ちゃんの妹?」
と、ここでクノンが先ほどから気になっていたことを切り出してきた。
「あ、はい。レイノスお兄ちゃんの妹のスクルドです。初めまして!」
クノンに話を振られて、スクルドが自己紹介をする。
「ヘェ〜話には聞いてたけど、美人さんだネ」
「えっと、クノンさんでしたっけ?まだ治癒術かけてないですよね?治療しますから、じっとしててください」
「…へ?あ〜、その、ボクはいいヨ〜。さっきグミ食べたし、もう元気いっぱいダヨ♪」
「でも、まだ傷だらけだし、念のために…」
「ダイジョウブダイジョウブ。妹ちゃんも、さっきまで仮面さんやおチビちゃんの治療して疲れてるだろうしサ」
「はあ、そうですか…」
クノンはスクルドをじろじろと見回すと、素直に美人だと褒める。
スクルドはそのことに照れつつ、クノンにまだ治癒術をかけていないことに気づき、治癒術を使おうとするが、クノンが頑なに固辞してきたため引き下がった。
「それでセネセネ、これから私たちはどうするの?レイ兄達を追うの?」
シノンが、これから自分達がどうするのかセネリオに判断を仰ぐ。
「ゼウスというヤツはかなりの強敵のようだ、レイノス一人では不安があるし、そうしたいところだが……どうやらそうもいかないようだ」
「? それってどういう…」
どういうことなのか、と言いかけたところで、シノンはハッとする。
そして、後ろを振り返った。
「どうしたんですか、シノンさん?」
「感じる、魔物の気配を…!」
「え!?」
突然後ろを振り返ったシノンに、アルセリアがどうしたのかと尋ねる。
それに対しシノンは、魔物の気配があることを告げた。
「シノンの言う通りだ、しかもかなりの数だ」
ミステリアスも魔物の気配を感じ取り、銃を構えた。
そして、しばらくするとシノンとミステリアスの宣言通りに、数十体の魔物が目の前に現れていた。
「うわあデジャヴ…こんな光景、何度目だろうネ?」
クノンがうんざりした顔をする。
これまで彼らは、何度となく不自然な魔物の大群の襲撃を受けてきた。
そして、その背後にはある人物が関わってきた。
「いるんだろう、フォルクス?さっさと姿を現せ」
セネリオが、この魔物の大群の原因だろう人物の名前を呼ぶ。
すると、目つきの悪い男が、魔物の群れの後方から現れる。
神託の盾第三師団師団長、フォルクス・ソレイユだ。
「あなたたちは、ここでこのフォルクス・ソレイユが殺します…どんな手を使おうと、絶対に!」
「だ、誰ですかあの人!?」
フォルクスと初対面のスクルドは、あれは誰なのかとセネリオに訊ねた。
「あいつはフォルクス・ソレイユ…神託の盾騎士団第三師団師団長で、俺達の度の邪魔を何度もしてきている」
「え?神託の盾騎士団って…どうして騎士団の人がそんなことを…?」
「そのあたりの事情は後で話す。とりあえず今は…ここを切り抜けなければな」
一同は、魔物とフォルクスに対処するため、それぞれ武器を構える。
「スクルド、お前は下がっていろ」
「嫌です!私も戦います!」
「だが…」
「私は…みなさんの力になりたいんです!私を助けるためにここまで来てくれたみなさんの…だから、私にも手伝わせてください!」
「ち…分かった。だが、無理はするなよ」
「はい!」
自らも戦おうとするスクルドを、セネリオは止めようとするが、スクルドは引き下がらない。
戦闘を前に長々と議論をしていても仕方がないので、やむなくセネリオはスクルドの戦闘参加を了承した。
実際、リンがいない今、譜術と治癒術を使える者の救援は有用ではある。
こうして、スクルドを加えた一行は、フォルクス率いる魔物軍団との戦闘を開始した。
■作者メッセージ
というわけで前哨戦、VSフォルクスです